- もう誘拐なんてしない (文春文庫)/東川 篤哉
- ¥620
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バイトをしていた樽井翔太郎は、ひょんなことからセーラー服の美少女、
花園絵里香をヤクザ二人組から助け出してしまう。
もしかして、これは恋の始まり!?
いえいえ彼女は組長の娘。
関門海峡を舞台に繰り広げられる青春コメディ&本格ミステリの傑作。
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読んでいて楽しい作品。
文章が軽めで気楽に読める。
かと言って内容が薄い訳ではなく、しっかりとした構成も魅力。
中盤以降はミステリー的展開だけど、ミステリーがあまり
好きでない人も楽しめると思う。
伏線やトリック、犯人の悪あがきなど早く読み進めたい気持ちに
なるし、結果的にもその気持ちを十分に満たしてくれる。
北九州や下関といった身近な土地が舞台なのも◯。
しかもかなりローカルネタを盛り込んでいて興味が湧く。
逆にその土地にゆかりの無い人でも、行ってみたい衝動に
かられるんじゃないだろうか。
ヤクザが登場するものの、そこはコメディ。
怖さや凄みよりは、ユーモアの方が優っているヤクザ者達。
特に親分の情けなさと、子分達からの信頼の無さが笑える。
娘達からも冷たくあしらわれてるし、ちょっと可哀想だ。
翔太郎や絵里香、その他の人物も愛着が持てる。
翔太郎が草食系で無いのが良い。
活発で行動的でもあり、最近の作品の主人公としては
珍しい印象。
あとがきにあるように、あまり読書しない人にオススメする
作品としてはピッタリだと思う。
小説作品の魅力が詰まっている作品だ。
他の東川作品も面白そうなラインナップ。
これから読んでいきたい。