第80回 代表曲と売れた曲は一致するのか
サザンオールスターズ
私が小学生の時から今に至るまで、一線で活躍しているのは驚異的です。とにかく日本の数あるバンドの中でも、頂点にいるバンドといってもいいように思います。代表曲も数知れずといったところではあり、駆け足になってしまいますが、売上枚数や順位との関係も見ていきましょう。
【鮮烈なデビュー】 1978~1979年
「勝手にシンドバッド」「気分しだいで責めないで」「いとしのエリー」
「思い過ごしも恋のうち」「C調言葉に御用心」
当時のヒット曲2曲を合わせてタイトルにした「勝手にシンドバッド」は、当時の周りの大人たちは〈何を言っているのかわからない〉と切り捨てるほど、コミックバンドの色合いが強かったのですが、それを3th「いとしのエリー」で一新。コミカルもシリアスもいける実力派バンドと一気に世の中の見る目が変わったように感じました。セールス面でも5曲連続のトップ10入りと、デビューしたてにも関わらず大健闘となっています。
【売上低迷期】 1980~1981年
「涙のアベニュー」「恋するマンスリー・デイ」
「いなせなロコモーション」「栞のテーマ」他
ところが6thシングル以降は売上も低下し、低迷期に入ってきます。作品的にもかなり癖のある作品が続き、仲にはこれは売れないだろうなという曲もいくつかありましたし、売上よりも音楽性での主張を優先させたような、なんか好きなことをやっているようなところはあったかもしれません。のちに人気となる「栞のテーマ」あたりも、まったく売れなかったのですよね。
【バンド内結婚、再浮上、そして安定へ】 1982~1985年
「チャコの海岸物語」「匂艶THE NIGHT CLUB」「Ya Ya」
「ボディ・スペシャルⅡ」「ミス・ブランニューデイ」「Bye Bye My Love」「メロディ」他
そんな中桑田佳祐と原由子の結婚の話題が舞い込んできて、そのタイミングで出した「チャコの海岸物語」が久しぶりのヒットとなり、低迷状態から再浮上のきっかけとなると、再びチャートトップ10の常連になっていったのです。作品的にもバラエティに富んでいて、お得意の路線の1つとなるエロ系作品「匂艶THE NIGHT CLUB」「ボディ・スペシャルⅡ」、風刺の効いた「ミス・ブランニューデイ」、バラード系「Ya Ya」「メロディ」と、とにかく引き出しの多さを改めて認識させられる時期でした。
【活動再開から初の1位へ】 1988~1991年
「みんなのうた」「さよならベイビー」「フリフリ’65」「真夏の果実」「ネオ・ブラボー!!」他
「メロディー」の後活動休止期間を経て、約3年ぶりに発売したシングルが「みんなのうた」ということで、待っていたファンが多く、早速2位を獲得。そして翌年、「さよならベイビー」で待望のオリコン1位にたどりつきました。それ以降は、まるで足かせが外れたように、続々と1位を獲得するようになり、名実ともに日本のトップバンドとして君臨するようになるわけです。
【ミリオン連発し国民的バンドに】 1992~1996年
「シュラバ★ラ★バンバ」「涙のキッス」「エロティカ・セブン」
「マンピーのG★SPOT」「あなただけを」「愛の言霊」「太陽は罪な奴」他
売上のアベレージという点では、この時期がピークとなり、ミリオンセラーも4曲送り出します。1992年、1993年と2年連続して、夏にシングル2枚同時発売を敢行するなど、まさにいけいけどんどん。もはや王者の風格が漂うほどでした。そんな中でも「エロティカ・セブン」「マンピーのG★SPOT」といったお得意のエロ系路線は定期的に突っ込んできますし、その間に「涙のキッス」「あなただけを」といった王道のラブソングと、しっかりとファンの期待に応えるところはさすがとしかいいようがありません。
【とりあえずの集大成】 1997~2000年
「BLUE HEAVEN」「LOVE AFFAIR」「PARADISE」「TSUNAMI」「HOTEL PACIFIC」他
1997年に入ると、売上面ではやや落ち着きを見せ、オリコン1位からはしばらく離れ、枚数的にも「LOVE AFFAIR」を除くと、20万枚前後と伸び悩むようになります。ところがここで、それまでの集大成のような「TSUNAMI」が超絶大ヒットとなるのです。そしてそれまで縁がないと思われていたレコード大賞も獲得。キャリア最高の売上に加えて、有無を言わせない評価も手に入れたのでした。
【堅実に1位を獲得】 2003~2006年
「涙の海で抱かれたい」「彩」「君こそスターだ」「愛と欲望の日々」「DIRTY OLD MAN」他
ブランクが2年以上あったのち、久しぶりにシングルをリリースすると、これが1位を獲得すると、以降は出す曲のほとんどが1位を獲得という状態になります。
【CD最後の時代】 2008~2014年
「I AM YOUR SINGER」「ピースとハイライト」「東京VICTORY」
音楽界の状況がいよいよ変わり、CDが売れなくなるのに併せるかのように、CDのリリース間隔もあいていきますが、出したシングルは必ず1位を獲得しています。ただ例にもれず、この後はサザンも新曲は配信へと移行していくことになります。
■売上枚数 ベスト10
1 TSUNAMI 293.6万枚
2 エロティカ・セブン 174.3万枚
3 涙のキッス 154.9万枚
4 愛の言霊 139.5万枚
5 あなただけを 113.2万枚
6 シュラバ★ラ★バンバ 96.9万枚
7 HOTEL PACIFIC 82.4万枚
8 涙の海で抱かれたい 74.2万枚
9 いとしのエリー 72.8万枚
10 クリスマス・ラブ 66.7万枚
今回は特別に10位までを上げてみました。錚々たる作品が並んではいますが、印象としては、あの曲は?この曲もない…というところがあるのではないでしょうか。
■最高順位
1位 … さよならベイビー、ネオ・ブラボー!!、涙のキッス、エロティカ・セブン、
あなただけを、愛の言霊、TSUNAIMI、勝手にシンドバッド(2003)、
涙の海で抱かれたい、彩、君こそスターだ、DIRTY OLD MAN、
I AM YOUR SINGER、ビースとハイライト、東京VICTORY
以上15曲
前半はなかなか1位を獲得できず、2000年代以降に1位獲得曲を連発していて、時期的にはかなり偏っています。
■代表曲
A 勝手にシンドバッド
いとしのエリー
真夏の果実
涙のキッス
TSUNAMI
B チャコの海岸物語
ミス・ブランニューデイ
エロティカ・セブン
愛の言霊
LOVE AFFAIR
A群5曲、B群5曲という感じで選んでみると、こんな感じじゃないかなという10曲です。シングル曲以外でも「希望の轍」「Oh!クラウディア」なんとこころも代表曲に入ってきそうですが、今回はシングル限定にさせてください。
■好きな曲 ベスト5
1 LOVE AFFAIR ~秘密のデート~
2 思い過ごしも恋のうち
3 いなせなロコモーション
4 栞のテーマ
5 EMANON
とにかく曲数も多いので迷うのですが、シングル限定としてはこんな感じです。
代表曲10曲に売上上位10曲に入っているのが5曲、1位を獲得しているのが4曲ということで、多少ぶれがあるように思います。長い期間活躍していますので、世の中的にレコードやCDが売れる時期とそうでない時期があったことで、発売時期によって横並びに比べられないということもあるでしょうし、当時売れた曲と、後に残る曲はまた別ということもいえるでしょう。
結論:代表曲と数値的に売れた曲は必ずしも同じではない。


































