●密室サスペンス映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

密室サスペンス ベスト10

 

1 ハードキャンディ

全編のほぼ9割が2人きりの密室の中という閉塞感の中で、まだあどけない顔の14歳の少女が大人の男に仕掛ける罠が実にスリリングで、一時も目が離せませんでした。さらに男の隠す真実、少女の本当の狙いなど、なかなか見えてこない部分も多く、ミステリアスな展開。これだけ限定された状況ながら、独創的な展開で少しも飽きさせないどころか、なかなか結末が予想できない見事な脚本。少女優位の状況の中でも、必死に活路を見出そうとする男の心理的に追い詰められた状況が、手にとるように伝わってきて、まるで自分がその男になったような気分にさえなってきます。男が本当に犯罪者かどうなのか最後の最後までそれを明確にしないことが、2人の間の心理的緊張感を保つことにうまく作用していました。また、縛られたままの去勢手術の場面も、その肝心な部分を見せない(もっとも映せませんが…)ことで、手術しているところを実際に見られない男と同じ気持ちで見ることができ、そして氷で感覚が麻痺していることから、もしかして本当にはやっていないのではないかとさえ思わせる演出力も圧巻。お金もかけず、スターを使わなくても、まだまだアイディアでいくらでも面白い作品ができるという見本にもなるのでしないでしょうか。

ハードキャンディ

 

2 CUBE

続編やリメイク作などが次々に作られた密室型サスペンスの1つの原型ともいえる密室サスペンス・ホラーです。公開当時としてはかなりデジタルゲーム的で無機質なムードが新鮮。その中でも人間同士の疑心暗鬼だったり、逆に誰を信頼していくのかというドラマも描かれていて、とにかくアイディアには驚かされた一作でした。

CUBE

 

3 フィードバック

ほぼワンシチュエーションですが、密室、そしてラジオの生放送という状況を利用して、スリリングで展開の読めないサスペンスに仕上げています。突如放送中にブースに閉じ込められ、仮面の男に脅されるところから始まり、次第に犯人一味の正体や彼らの求めることが明かされていくのですが、それでも真実ははっきりとしません。主人公のDJが嘘をついているのか、犯人一味が何か誤解をしているのか、人が一人二人と殺され、さらには娘を人質に取られる中で追い詰められていく一方、犯人グループ内でも意志の乱れがみられ。緊張がマックスに達した場面で明かされた真実…。ノンスター低予算ながらアイディアと展開の速さで、最後まで目を離せずに楽しむことができました。

 

4 デストラップ・死の罠  

ほとんどが劇作家の家の中での密室劇ですが、攻守がくるくる変わる二転三転の展開はかなり凝っています。限られた登場人物ながら、最後まで目の離せない趣向を凝らした脚本は見事です。ラストの捉え方は含みがありそうですが、やはり漁夫の利ととらえるのが、この作品らしい皮肉がこめられていいのではないでしょうか。

デストラップ死の罠

 

5 ブレーキ

密室で動きの全くない空間、電話の会話と周りの音声だけで飽きさせずに引っ張る力がある作品で、まずまず面白かったです。しかし助かったと思ったのも束の間、最後の不条理な終わり方が気になったままでした。

 

6 ロープ

ヒッチコック最初のカラー作品は、密室での短時間の出来事を、ほぼそれと同じ時間信仰で描く密室スリラー。いきなり冒頭から殺人シーンで始まり度肝を抜かれますが、じわじわと秘密がばれそうになる過程の焦りと同様が伝わってくる作りはさすがヒッチコック。けっして派手な作品ではないですが、こじんまりとした展開とセットの中にもサスペンス・スリラーとしての楽しさと、その中での人間の様々な感情というものが入り乱れてしゃれた作品になっていました。

 

7 サプライズ

B級に徹した作品で、それなりに楽しめます。黒幕明かしが中盤でされてしまうのがやや物足りない感じはしましたが、そのあとの展開もまた予想外。次々に殺され続け、最後はもうわけのわからない展開に。とにかく殺すことに徹底したホラーサスペンスでした。

 

8 暗くなるまで待って

盲目の主婦を演じるオードリー・ヘプバーンは、ほとんど密室内での演技に終始し、難しそうな役を熱演しています。盲目ならではの暗闇を逆手にとった演出をもう少し生かせればという面はありましたが、終盤のどんでん返しまで目の離せない展開でした。

暗くなるまで待って

 

9 パニック・ルーム

密室劇なので動きが少なくなるのは仕方ないですが、それを補う緊迫感がいまひとつ物足りなく、結果的に平凡な作品に落ち着いてしまって残念。これなら別にジョディ・フォスターである必要もなく、彼女ならではという良さが表されていないでしょう。泥棒一味の関係もどことなくちぐはぐで、デヴィッド・フィンチャ-らしさも感じられないストレートでシンプルな展開。それがいい意味で生かされれば良かったのだが、残念ながらやや期待外れに終わってしまいました。

パニックルーム

 

10 アルビノ・アリゲーター 

クライム・サスペンスだ映画ですが、物語の大部分が密室の中でのやりとりになっています。ケヴイン・スペイシー監督らしい作品ではありますが、緊張感はあまり伝わってこなかったのが正直なところ。マット・ディロンの演技も単調だし、兄弟関係がいまひとつどうなっているのか、重要な要素であったにも関わらず、すっきりしないままでした。