●母親の死を描く映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

母親の死を描く映画 ベスト10

 

1 RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語

丁寧に描かれた好感の持てる作品です。鑑賞しながら、自分の現在のしている仕事と重ね合わせた方も多いのではないかと思われますが、私もそんな一人です。ある意味、転職を誘発するような作品かもしれません。この映画に背中を押されて、実際に仕事を変えてしまう人も、一人以上は必ず発生するのではないでしょうか。それだけ主人公の決断には説得力がありましたし、嫉妬さえ感じる生き方でもありました。現実的には経済的なこともありますので、そう簡単にはいかないとは思いますが、好きでもない仕事を嫌々毎日こなしている身にとっては、刺激にはなりましたね。作品としても奇をてらわない、そして急がない、腰を据えた演出が心地よく、キャストも堅実派を揃え、全体としてのまとまりも良かったのではないでしょうか。

 

2 ミモザの島に消えた母

家族にとっての忘れたくても忘れられない母親の死の真相を、30年経って明らかにしていくという、ひとつのミステリー映画といっていい作品でしょう。溺死したと言われ続けた主人公が、久しぶりに訪ねた子供時代の家に働き続けていたお手伝いさんから聞いた一言をきっかけに、真相は別にあるのではないかと思い始め、突き進んでいきます。その真相は、確かに衝撃的ではありましたし、父親や祖母にとっては隠し続けたかった事実でしょう。しかし母親を大好きだった子供としては、当然本当のことを知りたいし、嘘をつき続けた父や祖母は、真相を言わない限り、あらぬ疑いが増すばかりなのも確か。それが生死にかかわることだとすればなおさらです、その思い荷物を持ち続けていた関係者たちが、それを降ろすかのように語り始めたときに分かる事実。それでもこの主人公はそれを自分なりに受け止め、消化していこうという様子は、ラストの場面でも感じられます。果たして最初から真実を言っていた方が良かったのか、タイミングを見つけて切り出すぺぎったのか、母親に女性の恋人がいたという事実からすると、あまりにも難しい答えです。

 

3 悲しみに、こんにちは。

作中のセリフにもありましたが、良心がないと、嘆く育ての母親となる叔母さん。幼い従妹を森に置き去りにしたり、手柄を奪ったり、おばあちゃんたちと帰るとわかがまま言ったり、とにかく手を焼いている様子が伝わってきます。それが最後のシーンで、堰を切って泣き出す主人公の女の子。考えてみれば、母親の死のシーンから一度も涙を見せてなかった少女だけに、やはり常にどこか気を張っていたのかもしれません。あるいは母親の死を現実的な感覚で受け入れられていなかったのかもしれません。それがようやくどこか安心したのでしょう。本当の親子や姉妹のようにはしゃいだ後での大粒の涙。今まで我慢していたものが急に流れ出してきたような、そんな涙ではないかと捉えました。このあときっとほんとうの親子として、素直に育っていくのではないでしょうか、そんな予感のするラストでした。女の子の演技が実に上手でした。

 

4 食堂かたつむり

田舎の風景の中で穏やかな作品になっています。演出としては、ややファンタジー色を強めに押し出してきていて、そのあたりで好き嫌いが分かれてきそうです。出だしの怒涛のバックグラウンド説明を見たところでは、もっと激しい展開が待ち受けているのかとも思いましたが、その後は意外に淡々とした動きで終わった印象です。原作を無視すれば、それぞれのエピソードをもっと映画的に、派手な展開のよりファンタジックなものにすることもできたでしょうが、やりすぎても嘘っぽくなるし、このあたりが限界だったのかもしれませんね。ファンタジックな映像をあれこれ差し込んだ割には、手堅くまとめたという気はしました。

食堂かたつむり

 

5 獣は月夜に夢を見る

静かな中に潜むコントロールできない狂気。主人公に潜む驚きの病気の正体が明らかになるにつれて、観ている側もヒリヒリするような気持ちになりました。しかしそのヒリヒリ感は、彼女に襲われるという相手側から見たヒリヒリ感ではなく、いつどのタイミングで恐怖が飛び出すかという本人の側に立ったヒリヒリ感です。同僚たちのひどい仕打ちや、母親から継いだ過酷な運命、彼女に降りかかる想像を絶する運命と困難を積み重ねていくことで、自然と観客も彼女の気持ちになっていくように仕向けられている部分は、映画としては当然あります。さらにはソニア・ズーのはかなげなルックスと華奢な体躯も作用しているでしょう。しだいに制御が利かなくなる本能をもてあましながらも、それを理解し唯一受け入れてくれる恋人と最後に見つめ合う表情はなんともいえないものがありました。

 

6 キトキト!

母一人で二人の子どもを育てた豪快な母ちゃんと、家を飛び出しながらも、そんな母をどこかで思い、そして母の死と共に地道な暮らしを取り戻す姉弟。あっけらかんとした母親を演じる大竹しのぶが、魅力的な母親像を描き出しています。

キトキト

 

7 マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ 

思春期を迎えようとする少年や周囲の男女の性差への目覚めがさわやかに瑞々しく描かれているのが光ります。母親や愛犬との別れなど、人生における悲しい出来事にも遭遇しながらも、少しずつ強くなっていく主人公が愛らしい。

マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ

 

8 わたしはダフネ

実際のダウン症患者が演じたダフネが実に魅力的で、彼女の魅力でこの作品は成り立っているようなものでしょう。ダウン症というイメージ自体をも彼女が変えさせてくれたように思います。頭がよくて、ユーモアがあって、職場でも人気者。衝突しても父親思いですし、ふたりの道中を観ていると、絶好のコンビネーションに感じてきます。「私たちは共働きで、ひとつのチームなの」と父親を叱咤するところなどは、実に頼もしく感じられ、好感度の高い作品となりました。

 

9 シェリー

作品としてはチープですし、ドラマもくさい。だくさいのですが、心に響く何かがあることは確かです。年を重ねてみれば母親の口うるささも愛情の裏返しということは分かるのですが、当然20歳になるかならないかの男子にとってみれば「うざい」のが当たり前。しかし母親を失う時になって初めてその愛の深さを知る、ある意味お決まりのパターンではあるのですが、やはり溶解した母と息子の関係を見ると、ほっとするものです。そしてガールフレンドの女の子の気持ちもまたコロコロかわり、これもまた女心なのでしょうか。多少無理な展開はないではないですが、悪い映画ではなかったです。無名俳優が多い中、袴田吉彦が一人作品を締めていた印象。

 

10 母の眠り

がんに犯された母親をメリル・ストリープ、その娘をレニー・ゼルウィガーが演じた母娘のドラマです。さすがに演技派揃い。特にメリル・ストリープガだんだんと病気で衰退していく様はメイク含めてリアルです。さらにレニ-・ゼルウィガーはほとんど出ずっぱりでしたが、現代風の女性の役を的確にこなしていて好感が持てました。

母の眠り

 

11 ワカラナイ

12 テヘラン悪ガキ日記 

13 しあわせカモン

14 ママの遺したラヴソング

15 2つ目の窓

16 はじまりへの旅

17 マルタのことづけ

18 瞳は静かに 

19 クルックリン

20 眉山