●内部告発映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

内部告発映画 ベスト10

 

1 インサイダー

たばこ会社の内部告発を描く硬派の社会派ドラマですが、次にどうなるのか展開に惹きこまれる面白さもあり、娯楽作品としても緊張感を楽しめる作品になっています。実話ベースということもあって説得力も充分。アル・パチーノは正義の男という感じハいつもどおりの熱い演技ですが、これがかっこよすぎ。逆にラッセル・クロウも抑えめの感じが抜群。

インサイダー

 

2 空飛ぶタイヤ

さすが池井戸潤だけに、骨太で見ごたえのある作品になっていました。登場人物が多く、キャストもなかなかの豪華メンバーにもかかわらず、きっちりと分かりやすい構成で、すんなりついていくことができます。架空の話ではありながらも、実際に起きた事件でないかと思われるリアリティもあり、ぐいぐいと引き込まれていきました。遺族、銀行、従業員、家族と責められる中、一瞬お金に揺らぎながらも、結局は最後まで信念を通し続け、巨大な力に抗い続けた主人公の姿は実にかっこいい。社長に最後までついていくと言って転職を断った若者たちの姿もまた感動もの。そこに内部から告発しようと左遷されたり不当な扱いをされながらも尽力した少数の社員、安易に融資を行わなかったグループ銀行の担当職員の意思も加わって、リコール隠しを続けたきた巨大な力が倒れ始めたことは、観ていてそう快感さえ持ちました。それを盛り上げたのが、いかにも悪そうな常務を演じた岸部一徳。面白かったです。

 

3 ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男

フライパンでよく使われるテフロンがこんなに害を与えていたということ自体まずは驚きでした。実際の企業訴訟を扱ったということで内容自体は重いテーマですが、実際の訴訟があまりに時間がかかっていることも含めて、非常に興味深く観ることができました。これだけ時間がかかってしまうと、特に被害を受けている原告側にとっては、状況が大きく変化している場合も多く、裁判に関わる弁護士やその家族までにも影響を与え続けるなど、要する時間の長さはなんとかならないものかと思ったりもしました。まずき知ることだけでも意義のある作品ではありましたが、一本の映画としても十分に見ごたえのあるものになっていたと思います。

 

4 トガニ 幼き瞳の告発

この映画がまたこの事件の真相究明や法改正に向けて動き出しと言いますから、それだけでも作られた意義は大きいですし、それだけ人を動かす力のある作品だと思います。作品の出来がどうこう、脚本がどうこう、そういう評価の対象となるところに意味を持たない映画だとも言えそうです。この映画で描かれていることがどこまで真実で、どこからが脚色かは分かりませんが、誰がどう見ても善悪は明確。心情的にも到底許せる行いではありません。口の不自由な子供たちがなんとか伝えようとしている表情を見れば、よほどのへそ曲がりでなければ、感じることがあるはず。その意味では、とにかく多くの人に伝えることを目的に分かりやすく作られていました。それにしても脂ぎった校長は、見事に反感と嫌悪感を買うような容姿で、同じものが2人並ぶとさらにそれらも倍増。見事なキャスティングでした!?

 

5 セルピコ

腐敗した警察組織の中で孤立しながらも、整理のために汚職をただそうとした実在の警官の寂しさと孤独感のようなものが伝わってきます。そんな警官をアル・パチーノが熱演しています。お金や名誉を頑なにまで拒否し、長いものに巻かれることなく、仲間たちを徹底的に追及するエネルギーとはいったいどこから発せられているものなのか、その強さには脱帽というしかないでしょう。このあと警察の体制は変わっていったのか、後日譚も気になります。

セルピコ

 

6 スノーデン

オリヴァー・ストーンらしく今回も社会的なテーマに斬り込んだ作品を作りました。それもわりと近い過去、現在もその影響が続いている出来事にメスを当てたという意味で、思いは強いものがあったのでしょう。いわゆるスノーデン事件ですが、ごく普通の青年が国家のとんでもない実態を掌握した時に、自らの危険や安定を省みず、国民全体にその実態を知らせるために立ち上がって勇気にスポットライトを当てました。一方でその彼が未だに国に帰れない事実も示し、そのことで彼に対して米国はどうするべきかという課題を投げかけているようでもあります。普通の生活を捨ててまで正義感を持って内部告発したスノーデンですが、国が監視の体制を認め改善した今でも、犯罪者として扱われ続ける矛盾。作品的には主人公がわりとポーカーフェイスで淡々としているので、いまひとつ深刻な感じが伝わりにくかったのは、いつも熱いストーン監督にしては、大人しかったかなとは思いました。

 

7 ザ・バンク 堕ちた巨像 

銀行の不正に関わる内部告発をめぐる本格的な正統派サスペンスとして楽しめましたし、派手な銃撃戦も映画的でいいのではないでしょうか。やや難しいテーマで理解しづらい部分もありましたが、見ごたえはありました。

 

8 ザ・シークレットマン

たびたび映画で取り上げられるウォーターゲート事件ですが、今回は内部告発者であったFBI副長官を主人公にした視点で描いています。自身が内部告発の当人にもかかわらず、周りから犯人は誰か探すように言われたり、あるいは盗聴器を仕掛けられてピンチに陥ったりと、緊張感あるやりとりが繰り広げられ、見ごたえのある展開となっています。ただそのわりに演出が地味で、極端に緊張感を煽るような見せ方をしていなかったのが、娯楽性としては、いまひとつ物足りなさに繋がってしまったのかもしれません。正義と保身の間で揺れる主人公の苦悩を、リーアム・ニーソンがやつれたような表情をもって巧みに表現していました。

 

9 記者たち 衝撃と畏怖の真実

イラクが大量の破壊兵器を保持しているという国家絡みの「嘘」に対して、唯一疑問を呈してきた新聞紙の記者たちを描く作品。今だからこそこうしてマスコミとして正しい在り方を示したということで賞賛されていますが、当時としては風当たりも強かったことでしょう。確固たる証拠もないまま、戦争をするために正当な理由が欲しい国家を助長するマスコミが相次ぐ中で、信念をもってマスコミとしての正義を貫いた姿勢は、当たり前のことをしたまでといえど、大したものだったと思います。と同時に、右ならえで戦争へと導いてしまった他のマスコミについては、その在り方、あるべき姿を問われるべきであり、改めてその怖さを認識させられる、そんな作品でもありました。

 

10 インフォーマント!

マット・デイモンが頑張っています。ちょっとわかりにくいところもあるのですが、周りに翻弄されるかなり変わった人物を頑なに演じている感じがいいですね。新しい引き出しを見せてくれました。