●どろどろした人間模様を描く映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

どろどろとした人間模様を描く映画 ベスト10

 

抽象的なテーマで、

恋愛もの、権力争いもの、青春ものとジャンルもいろいろですが、

観たときの感想でそう思った作品を選びました。

 

1 女の園

今見てもかなり衝撃的な映画です。全寮制の女子大を舞台に、新しい時代の中、自分の道を自分で考えて選んでいこうともがく女子大生たちに対し、封建的な支配を続けようとする学校や親たち。その対立はこの時代ならではのものかもしれませんが、時代が変わっていこうとする時期には似たような形の対立は必ずといって起こります。この作品ではその対立が行き着くところまで行き着き、最後に悲劇的な結末を迎えるのです。一致団結しようとする学生たちをあざとくも乱れを誘おうとする学校側。それにより、互いの自由への思いの距離感の違いに不満が噴出し、バラバラになってしまう学生たち。気の弱い主人公は父親から会うことさえ禁じられている恋人をのもとへ無意識のままやってくるのですが、恋人の優しささえも、重荷になっていると思いつめてしまうほど精神的に追い詰められていくのです。人が死んだことで、それまで心の中に抑えていたことがようやく爆発していくのです、時期既に遅しです。木下恵介監督らしい、どろどろした人間ドラマが凝縮して詰め込まれた青春ドラマですが、さらに来たるべく学生運動を暗示しているような社会派ドラマとしての側面も持ち合わせた作品でもあり、いろいろ考えさせられる重い映画でした。

女の園

 

2 彼女がその名を知らない鳥たち

ダメな男、ゲスな男、それに対して男に振り回され振り回ししている女と、欠陥だらけの男女が織りなすどろどろの人間ドラマかと思いきや、警察が表れたところから、ミステリーの要素を強めていきます。そしてさらにそれが意外な展開になり、最後まで筋が読めませんでした。別れた好きな男を断ち切れず、一方で自分を好きな男の金で暮らし続け、それでいながら、さらに別のイメケンと情事を重ねる日々。相手によって態度を変え、好感を持ちにくい主人公を蒼井優が熱演しています。登場人物がみんな濃いキャラクターですので、ドラマ自体も濃密なものとして展開。見ごたえある作品でした。

 

3 白い肌の異常な夜

世間とは隔離されたような女の園に入り込んできた負傷兵の伍長。普段男性がいない環境で過ごす彼女たちは、老若男女白人黒人問わず、興味をもって彼に接し、それを逆に利用した伍長は、敵への通報を阻止するため、そして自らの欲望を満たすために、女たちの間を立ち回るわけです。そのせいでバランスが崩れた女の園の世界、その結末は衝撃的な展開が待っていました。人前では清廉潔白を装っても、内に秘めた女としての性を消し去ることができない女たち、その本性を見抜いてそして利用した主人公でしたが、その自分勝手さが結果的に自らの破滅を招くわけですから、やはり女の嫉妬は恐ろしいということでしょうか。男どもは肝に銘じろ、そんなメッセージを残すどろどろムービーでした

 

4 安城家の舞踏會

戦後間もない時期、社会的にも経済的にも窮地に追い込まれた華族のプライドと覚悟と悲哀が入り混じり、その奥にそれぞれが抱えている思いが交錯する様子が間近に感じられる作品です。かつての繋がりに固執し助けを借りようとする父親、目的もなく退廃的に女性をぞんざいに扱う長男、プライドが高く成り上がったかつての運転手の助けを受けられない出戻りの姉、冷静かつ合理的になんとか家族を救ってくれる方法を画策する妹。最後に華族として生きてきた証として華やかな舞踏会を舞台に、愛と金を巡るどろどろの駆け引きを描いた脚本が秀逸で、おそらく下界では相当貧しい生活が繰り広げられていたであろうこの時代に、世間とは隔離されたような華やかな世界はある種のおとぎ話のようでもあり、興味深く観られました。面白かったです。

安城家の舞踏會

 

5 刺青

増村保造らしい女の情念に満ち溢れたどろどろの悲劇になっています。気弱な愛する男をそそのかすように駆け落ちを果たした質屋の娘ですが、悪党に騙され芸者へと売られてしまいます。ただここからがすごく、男への復讐とばかりに、妖艶な魅力で男たちを虜にさせ、金を踏んだくっていく。そしてそれが邪魔になると、自分を愛する気弱な男に、次々とその相手を殺させていくという、見事な悪女ぶり。いかにも愛しているのはあなただけというようなふりをしていますが、よくよく考えてみるといいように利用しているだけ。それが証拠に、最後には自ら手を下してしまうわけですから。ただその彼女に芋さらなる衝撃的な結末が待っていて、三人折り重なるように息絶えたラストシーンはとにかく驚き。女は恐い、そんな思いを強くさせる作品でした。

 

6 クルーエル・インテンションズ

高校生でこの悪女ぶり、将来が思いやられますが、最後にはちゃんと自分に帰ってきたところで、とりあえず安心しました。それにしたもこの作品は自分好みのえげつないどろどろの世界。死なれてからの復讐の悲劇に落とし入れられるオチも好きですし、惹きこまれる展開もなかなか。ただ出てくる人物みんな馬鹿に思えてしまうというのはありますが。

クルーエルインテンションズ

 

7 けものみち

愛欲と権力にまみれた大人のどろどろの世界が繰り広げられ、特に後半は次から次へと人が死んでいき、めまぐるしい展開。松本清張の匂いがプンプンと匂ってくるような官能ラブサスペンスになっています。池内淳子が妻役を熱演しています。

 

8 スカーレット・レター

いろんな要素の詰まった映画で、かなりどろどろした作品になっています。特に最後に明かされる意外な事実、つまり女性同士の愛情関係が明かされると、それまでのシーンがどういう意味だったのかというのが全く違う捉え方になってくるのが面白い。ミステリーものか、不倫純愛ものか、と思うとある意味ホラー的な要素まで含んでくるのです。韓国映画らしく、トランクでの血みどろの場面、殺人事件の真実を明かす場面、そして例の事実など、悪趣味と囚われそうなシーンも多かったです。

スカーレットレター

 

9 儀式

とにかく一言にするなら異様な一家です。独裁政権のような一家の長の祖父の元、葬式、結婚式の儀式が行われるごとに母親の違う兄弟親せきが集まるのですが、まあそのどろどろ具合といったら常軌を逸しています。さらには特定の政治思想に傾倒している者がいたり、死への願望があるものがいたり、その中でみながらの乱れた男女関係が繰り広げられたかと思うと、事故死だったり、謎の死だったりと、とにかく何が起きても不思議ないのです。映像的にもかなり独特で、陰影を使って、おどろおどろしいとさえ感じるような雰囲気を創り出し、どこか舞台劇のような印象さえ抱かされるのです。なんとも理解しがたい一家の悲劇の数々…不思議な作品でした。

 

10 妻として女として

妻と愛人、互いに存在を知り、愛人の産んだ子供を、子供の産めない体の妻が育てます。しかし子供が成長したときに、子供を返してと言い出した愛人、夫と合わせた3人が対面する修羅場のシーンはまさに緊張感でゾクゾクするのです。現代からすると違和感を持つ部分もある設定だが、どろどろした男女の世界に巻き込まれ、何も知らなかった子供たちが事実を知った瞬間、それまで体裁を取り繕ってきた家族が崩壊し、それぞれ何かを失っていく怖さ。妻にも愛人にも言い分はある。しかしどちらも自分勝手といえば自分勝手。だが最も反感を持つのはやはり夫。すべて決断は他人に任せ、もとはといえば自分のした後始末さえできない。どこかもやもやが残ったまま映画は終わっていくのですが、実に成瀬監督らしい不思議な力を持った作品でした。

 

11  王妃の紋章

12 天国の駅 HEAVEN STATION

13 ブリング・ミー・ホーム 尋ね人

14 氷点

15 色男ホ・セク

16 風水師 王の運命を決めた男

17 ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮

18 ふたりの女王 メアリーとエリザベス

19 ハモンハモン 

20 華麗なる一族