●警察の腐敗を描いた映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

警察の腐敗を描いた映画 ベスト10

 

1 チェンジリング

さすがイーストウッド、きちんとした良作を作ってきます、実話だけに説得力がありますし、腐敗しきった警察の体制を露にし、時代は変えても、もしかして今の時代にも通じているものがあるのかもしれません。実際にこのようなことが当時行われていたとすると、それは実に恐ろしいことです。ジョリーがやせこけて疲弊したヒロインを熱演。面白かったです。

チェンジリング

 

2 ポチの告白

力感抜群、ボリュームたっぷり、ずしりずしりと響いてくる重さ十分の社会派ドラマとして、とにかく見応えのある作品になっていました。3時間を超える長さもまったく苦にならず、途中で緩慢になることもなく、最後までぐいぐいと引き付ける脚本と演出力は見事でした。警察を敵に回す挑戦的で告発的なテーマ、主役を含めた地味なキャスト、前述のように3時間を超える上映時間と、映画として商業ベースに乗せるは二の足を踏む条件が揃い過ぎていたせいかどうか、製作からも結構な時間が経過しているようですが、なかなかどうして。映画としての魅力も十分な出来栄えだったと思います。近年マスコミを賑わせる警察のあらゆる不祥事のニュースを盛り込んでいるようで、これでもかこれでもかというぐらいの分かりやすい演出。暴力、収賄、薬物、強姦、恐喝、違法捜査、身内への甘さ…極端ではないかと思わせるぐらい、警察という組織に関わる人々の悪事を積み重ねて提示してきます。善人も無垢な新人もその組織の中ですべて色に染まっていく姿を描くことで、個人としての悪というよりも組織としての異常さを暴き出そうという作り手の意気・意欲をとにかく強く感じました。さらにはそれを取り巻くマスコミや法曹界の腰の引け具合も強烈に皮肉ることで、それらを許している国家に対しても責任を問おうとしている姿勢、正直なところ恐れ入りました。知名度にとらわれないキャスティングも光ります。

ポチの告白

 

3 L.A.コンフィデンシャル 

2度観ると2度目のほうが味の出るタイプの硬派の骨太サスペンス。謎解き以外にも男の熱いドラマが、野心、愛、打算、いろいろ入り混じって展開される。これを機にブレイクしたガイ・ピアース、ラッセル・クロウ、新境地開拓のベイシンガーと、出ている俳優たちにとっても意味深い作品になったようである。謎解きとしては、けっして機を衒ったものではなく、むしろ正攻法で、初見ではもうひといきといった感じもしないではなかったのだが、その裏のドラマが興味深い映画であることをあとで気付くのである。

 

LAコンフィデンシャル

4 セルピコ

腐敗した警察組織の中で孤立しながらも、整理のために汚職をただそうとした実在の警官の寂しさと孤独感のようなものが伝わってきます。そんな警官をアル・パチーノが熱演しています。お金や名誉を頑なにまで拒否し、長いものに巻かれることなく、仲間たちを徹底的に追及するエネルギーとはいったいどこから発せられているものなのか、その強さには脱帽というしかないでしょう。このあと警察の体制は変わっていったのか、後日譚も気になります。

セルピコ

 

5 日本で一番悪い奴ら

実話に基づいている話ということで、時々挿し込まれる新聞記事の見出しのようなテロップが、社会派ドラマのような趣を醸し出していますが、一方で強烈なキャラクターやインパクトのある演出で、どこかコメディのような雰囲気も持ち合わせている不思議な作品です。自信なさげな新人警官があっという間に「エース」にのし上がりながらも、最後にはとことんまで堕ちていくという、乱高下の激しい警察人生を描いています。最後の弁護士の接見に対し、組織の問題をまったく考えもせずに信じ込む姿が結局のところすべてを物語っているように思いました。まるで洗脳するかのように、目的達成のためには、別の犯罪を見逃し、それが組織の中で評価されていくうちに、それが正しいと思い込まされていく環境。それがおかしいことだとも気づかずに突っ走っていく姿は、はたから見ていると実に滑稽でもあります。そんな滑稽さを綾野剛が見事に表現できていたのではないでしょうか。

 

6 笑う警官

リアリティは別として、そんなに悪い映画でも、つまらない映画でもなく、むしろ私は飽きることなく集中して観ることができました。人気よりも実力重視のキャスティングにより、かなり乱暴な組み立ても許せるような、重厚感のある作品になっていたと思います。警察の腐敗というテーマは映画や小説でも多く取り上げられるテーマであり、話としてのオリジナリティを出すには、ある程度の強引な展開も仕方ないのかなと思いますし、ある程度先の読みやすい構成や演出も、意外性を売りにするような類の作品でもないでしょうから、それを不満に思うこともありません。色んな世代の刑事が、それぞれの信念や立場・経験を通して、ひとつのことに対しても色んな見方をしてくるのが非常に興味深かったですし、それらがぶつかり合いながらも捜査は進んでいくというところに、ある種の現実を感じることもあります。勧善懲悪の簡単明快な構図ではなく一筋縄でいかないこの作品、私は結構好きですよ。

笑う警官

 

7 コップランド

警察内部の陰謀を正義感に目覚めた保安官のスタローンがお約束通りの解決を果たすわけですが、なかなか面白く、アクションをおさえた分、ストーリーは濃くなっています。

コップランド

 

8 刑事ジョン・ブック/目撃者

正統派の刑事映画といった印象。しかし警察内部の悪事、信頼していた上司の裏切り行為に母娘を守る使命、恋愛などの要素に加え、そして文明社会と離れた社会の存在との対比により、いかに現代の犯罪社会が人間を信頼することができない異常な社会かという問題提起にまで踏み込み、単なるサスペンス映画にとどまらない格調を備えています。ハリソン・フォードが正義感のある刑事を好演していました。ただし、田舎の生活がやや極端な印象は受けます。

刑事ジョンブック

 

9 21ブリッジ

警察官たちが裏で組織的に麻薬取引をしていたというオチのための前振りが、多くの警官が殺されていく撃ち合いという凄惨な展開ということで、この手の警察物のアクション映画としては定番的な流れではあります。何かありそうだなという雰囲気は常にぷんぷん匂わせているのですが、案の定でした。

 

10 黒い罠

刑事の悪事に気づき、はめられたライバル刑事が真実を明かすために盗聴を仕掛け、最後は悪徳刑事が撃たれて死ぬというこの時代らしいハードボイルド。チャールトン・ヘストンが粗っぽいがしつこく熱意のある刑事を熱く演じています。

黒い罠