●黒木華 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

黒木華 出演映画 ベスト10

 

1 幕が上がる

正々堂々と直球勝負でアイドル映画を作りあげようとしたことで、それを大きく超えるキラキラして素敵な青春映画に仕上がったという感じです。人気アイドルにセリフを言わせて、とりあえずストーリーにはめてみましたというやっつけ仕事ではなく、きちんと準備をして、そして手を抜かずに撮り上げたということが十分に伝わってきます。彼女たちの演技も、本格的な映画が初めてということにしてはちゃんとしていて、これなら見せられるというレベルにまで高めて望んでいますし、その彼女らを支える黒木華の演技がまた素晴らしいので、アイドル映画にありがちな安っぽさを完全に払しょくしています。ストーリーも演劇部の活動一本に絞り、青春物語としては恋だの愛だのという要素をまったく排除している潔さも、結果的に奏功したのではないでしょうか。映像面でもいろいろ工夫が観られ、最初から最後まで惹きつけられっぱなし。良い映画でした。昔演劇に携わっていた新任教師を黒木華が演じています。

 

2 ソロモンの偽証 前篇・事件

見応えのある前篇に仕上がっていて、早くも後篇が観たくてワクワクさせられています。登場人物がかなり多いのですが、それらが無理なく整理されていて、それぞれの性格や相関関係がすんなりと入ってきます。生徒たちは皆オーディションで選んだということで、それぞれが役柄にはまっていますし、特に主演の藤野涼子も演技経験がほとんどないとは思えないしっかりした演技で抜群の存在感。普段はチョイ役の多い木下ほうかや安藤玉恵といったいじわる(?)教師陣も見せ場が多く健闘。ほぼ素人の中学生たちを、豪華な俳優陣が周りから支えるといった構図がみごとにはまっていました。まだ半分なので、点数的に大盤振る舞いはできませんが、きっちりとした組立てで、原作力に加えて映画としての編集力・演出力にも優れ、後半に観客を引っ張るという意味では成功の内容といえるのではないでしょうか。黒木華は教師の一人として出演。

 

3 銀の匙 Silver Spoon

好感度の高い爽やかな青春コメディでした。吉田監督、ちょっとひねった感じの作品群とは違ったストレートな味わいながらも、コメディ映画をきちんとまとめ上げる力量に改めて感心させられました。高校生ながらそれぞれが背負う物を抱えている生徒たちに、ともするとどこか説教臭くなりやすいところを、硬軟緩急を使い分けて、笑えて泣ける作品に仕上げていたと思います。また、作品ごとに個性的なキャスティングを見せる吉田監督ですが、今回もところどころ絶妙な配役を見せています。生徒を演じたキャストたちは、けっして演技が上手いというわけではないのですが、個性的でキャラクターも明確。その分周囲に贅沢なほどに知名度実力充分の名優、人気俳優を配置。かと思うと、映画にはほとんど縁のない上島氏をぽっと使ったり。そのあたりの絶妙な加減もあって、十分に楽しませていただきました。広瀬アリス演じるヒロインのかつての同級生を黒木華が演じています。

 

4 日日是好日

茶道を知らなくても、十分にこの映画の良さを堪能できます。20歳から24年間の一人の女性(黒木華)の人生と、彼女の生活の中に入り込んで影響を与え続ける茶道との関係を、丁寧に描いています。四季の移り変わり、時代の移り変わりの中で、毎年同じことを繰り返していく茶道の世界。しかし茶道を続ける人々にとっては、その変わらぬことに幸せを感じ、悲しい時も、辛い時も心の中に寄り添って、いつの間にか癒してくれる存在でもあるのです。茶室の外から見える四季折々の景色、あるいはその日その日の天気に、人生の悲喜こもごもが重なって、情緒的にもなってしまいました。いろいろあっても茶道を続ける主人公を黒木華が好演。こういった日本文化的なものがほんとうに似合う女優さんです。そして遺作となってしまった樹木希林。持ち味が十分に出た作品といえるでしょう。

 

5 ノイズ

3人の親友がはずみで殺してしまった死体を隠すためについた嘘が新たな犯罪を呼び、さらに嘘を重ねることに。一人は島の救世主だと期待される農家、一人は赴任間もない警官、そして一人は独身の漁師。警官としての立場、母親からの期待の狭間で苦しむ新任刑事の衝撃的な最期。そして島の人たちのためにも犯罪者を出すことはできないと、それこそ島ぐるみで事件を隠そうとする一体感の裏で、最後に明かされる親友の強烈な嫉妬。みんなから尊敬されているようにみえた町長の裏の傲慢強欲さも含め、表面には出ない裏の本音が交錯し、それぞれの打算計算とあいまって、思わぬ方向へ転んでいった事件を重く複雑に描いた作品です。いったいこの事件の出口はどこにあるのか、どんな形が一番良いのか、そんなことを考えながらの鑑賞となりました。真実がすべて明確になって罰せられべき人が罰せられるのが一番だとはどうも思えなくて、隠し通してうやむやになる方がむしろみんな幸せなのではとさえ思ったのですが、それを良しとしない人物が一番近くにいたわけで、結果としては一番やるせなくすっきりしない形になってしまい、観終わってからももんもんとした思いをひきづるような結末になってしまいました。黒木華は藤原竜也演じる主人公の妻役。

 

6 余命10年

必ず毎年のように出てくる若いカップルの難病もの。今作もその王道パターンにある一作です。愛し合う二人の一方に死の影を与えることで、ロマンスをよりせつなく悲しいものに盛り上げようという目的は、この作品でもきちんと果たされました。やはり美男美女に優しい家族や賑やかな友人たちというピースが揃うと、泣ける物語になりますね。今作はまさに王道中の王道を行くストーリーで、無理な気の衒い方をしない素直さが功を奏したのでしょう。ヒロインを演じた小松菜奈の姉を黒木華が演じています。

 

7 舟を編む

辞書編集という地味で時間のかかる作業を取り上げてはいますが、それだけに達成感もまた心地よいものでした。15年あればいろいろなことがあるのは当然ですし、人の入れ替わりもあるわけで、その中で最初から最後までぶっ通しで携わった主人公には、不思議な愛着がわいてきました。松田龍平としては珍しい、不器用で朴訥、地味でオタクっぽい役どころでしたけれども、違和感なく演じていましたね。さらには池脇千鶴、黒木華、渡辺美佐子といった脇役の女性陣のキャラクターが経っていて、地味な主人公に対していいアクセントになっていたと思います。宮崎あおい演じる香具矢との関係性がもう少し丁寧に描かれていたらなお良かったですが、全体として好感の持てる作品になっていたと思います。

 

8 リップヴァンウィンクルの花嫁

言ってしまえばこの主人公、どんくさくて要領が悪く、観ていていらいらするのは確か。人が良すぎて利用されてばかり。しかし様々な試練を乗り越えて強くなったうえでの最後の爽やかな旅立ちのシーン。きっとこれから先は素晴らしい人生に変わっていくに違いないと思わせるラストにはほっとさせられました。このようにとにかく黒木華演じる主人公の女性としての成長物語といった趣が強くなっていて、ほぼ出ずっぱりとなっています。3時間という長さはほとんど感じませんでした。ターニングポイントでその都度絡んでいく謎の男を綾野剛がまたいい役割を果たしています。依頼人(夫の母親だったり、心中相手探しの末期がん患者だったり)に対して忠実である彼は、ときに彼女を貶めるような結果になってしまいながらも、その彼女をまた救ってあげるのも彼。なんとも不思議な役どころでありました。

 

9 永い言い訳

主人公の人間としての成長を丁寧に追った繊細な作品で、その繊細さは西川監督ならではという感じです。妻と二人の生活の中ですっかり冷え切りながらも、表面的には取り繕い、その裏で愛人を自宅に呼び情事を重ねる日々。妻が死んだその時にも愛人と寝ていたという事実が心の引け目となって、妻の死後もねじれていくのです。妻の「愛してない」というメールを見たときのショック。そこに彼の頑なな心を解きほぐしていったのが二人の子どもと、一途にまっすぐに死んだ妻を愛し続ける無粋なトラック運転手。酔っぱらって心にたまっていたものをぶちまけた夜もあったものの、敢え無くなると心にぽっかり穴があいたように喪失感。そんな中で心に穏やかさを取り戻していく様子に、観ていてほっとしていくのです。唯一彼だけが写っていなかった写真に、彼が加わったような思いをさせるラストは、彼の今後にも光が見えたようで、後味よく作品は終わっていきました。主人公の不倫相手が黒木華。

 

10 小さいおうち

戦中当時としては比較的裕福でモダンな家族の中の秘められた恋。その秘密を一生背負って生きた一人の女中。いわゆる山田洋次的な世界とはやや趣きの違う印象で、新鮮な印象を受けました。もちろんお得意のある「家族」を舞台に描いてはいるのですが、家族の繋がりとか絆とかよりもそことはずれた箇所が物語の軸になっているというところに因るものかもしれません。時子さんの行動は、当時としてはかなり「進んだ」女性だったのでしょう。彼女の葛藤のような部分の描写がいまひとつ伝わらなかったところはありますが、でもメインはやはりタキさんのとった行動。彼女の行動が違っていたら、また違う結末になっていたのでしょうか、それは分かりませんが、少なくとも彼女自身の人生は変わっていたかもしれないと、そんなことに思いを巡らしたくなるような最後でした。そんなタキさんの若いときに黒木華を配したことは大成功でした。観終わると、彼女しかこの役はいなかったのではと思わせるぐらいのハマり方だったと思います。

 

11 星の子

12 ソロモンの偽証 後篇・裁判

13 先生、私の隣に座っていただけませんか?

14 浅田家!

15 散り椿

16 繕い裁つ人

17 ちょっと今から仕事やめてくる

18 くじけないで

19 母と暮らせば

20 海辺のリア