●ロバート・アルトマン 監督映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

ロバート・アルトマン 監督映画 ベスト10

 

1 ショート・カッツ

アルトマン得意の大人数が登場する群像ドラマの典型。アルトマン監督らしさに見事にはまっている作品だと思います。とにかくキャストが豪華で、主演やヒロイン級の男優女優が勢ぞろい。そのメンバーを観ているだけでも楽しいです。作品的にはアルトマンらしく、斜めから人間どもを眺めたシニカルな視点がどこかコミカルにさえ感じられました。

 

2 ザ・プレイヤー

ハリウッドの裏を皮肉的に扱っている作品ですが、冒頭の長回しがかっこよくて印象的。サスペンス調から、恋愛のごたごた映画の趣になる後半だれるのがやや残念。それでもこちらも豪華ゲストが多数出てきて、キャストを眺めるだけでも見所十分。

 

3 ゴスフォード・パーク

最大の欠点は登場人物があまりにも多くて、人間関係を整理して把握するに労力を使ってしまうこと。それがアルトマンらしさではあるのですが、時々観ていてよく分からなくなってしまいます…。それがなければ、この群像ミステリー劇はアルトマンらしいウィットに富んだ会話が繰り広げられ、またミステリーとしても見事に仕上げていました。

ゴスフォードパーク

 

4 クインテット

異色のSF映画。未来らしい映像にはお金をかけず、氷河に襲われた退廃感のある背景をバッグに、ただただ殺し合いのゲームでしか生きることを感じられなくなった人類を強烈に皮肉っています。と同時にSF映画大作が人気を呼んだ当時、アルトマンのへそ曲がり精神のようなものか、金をかけずにSF映画を創り上げるぞと言うねじまがった意気のようなものも感じました。

 

5 今宵、フィッツジェラルド劇場で 

アルトマンの遺作となってしまったこの作品、こうしてみると遺作に相応しいノスタルジックでファンタジックな哀愁の漂う作品に仕上がっています。ラジオで公開中継されるショーの最終回に出演するミュージシャンや司会者たちの、伝統あるショーや古い劇場に対する愛着、自分の仕事に対する誇り、仲間たちへの愛情、そんないろんな思いがあふれてきます。それが昔ながらのカントリーソングや放送風景、はたまた効果音の技術などに調和して、最後の夜を惜しむに相応しい雰囲気を醸し出しているのです。舞台の途中で死んでしまったベテラン、その夜初めて歌った歌手の卵、去るものと新しく出てくる者、そんな当たり前のように新旧入り混じっての劇場での最後の舞台…そういった意味で、アルトマン監督を送り出す遺作として相応しい作品ではないかと思うわけです。聞くところによりますと、出演者の歌も吹き替えなしだといいます。さすが一流俳優だけあって、歌もなかなかのものです。下ネタ満載のジョン・C・ライリーとウデイ・ハレルソンのコンビの歌は最高に楽しく、笑わせていただきました。

今宵フィッツジェラルド劇場で

 

6 M★A★S★H

いかにもカンヌに受けそうな作品ではあります。戦争をあっけらかんと捉えた、なんとも人を食ったような映画です。エンドロールがまた独特。

MASH

 

7 ニューヨーカーの青い鳥

アルトマンらしい会話中心のコメディ。屈折してちょっと変わった一癖も双癖もあるキャラクターたちが登場して、恋の騒動を繰広げる。どことなくフランス映画の雰囲気が漂うのだが、舞台はニューヨーク。しかしフランスレストランで締めくくりは「パリへの新婚旅行」の会話。

ニューヨーカーの青い鳥

 

8 ナッシュビル

当時の社会、風俗、文化が如実に表れていて、その意味では今観ると面白い部分はありますが、アルトマン独特の群像ドラマにどこかついていけない部分があり、また肌でこの時代のアメリカの文化に触れていないこともあって、いまひとつ感覚的にピンと来ない部分はありました。人物も多すぎて、それぞれを把握することも難しかったです。

ナッシュビル

 

9 ロング・グッドバイ

この時代のミステリーものらしいトーン。親友が妻を殺し、自殺したことで騒動に巻き込まれる私立探偵が、最後に偽装自殺を見抜き、射殺してしまうシーンは冷たさにぞッとします。

 

10 クッキー・フォーチュン

親戚の自殺を偽装したことで、無実の善人を容疑者に落とし入れた姪が、最後は自分が容疑者になってしまうブラックぶりにニヤリ。全体的にのんびりムードで最後に痛烈な皮肉。