●大楠道代 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

大楠道代 出演映画 ベスト10

 

近年の作品が中心になってしまいますが。

 

1 空中庭園

家族について鋭くしかし皮肉っぽい視線で描いたホームドラマです。途中まではブラック・コメディかとも思ったのですが、最後は希望の持てる明るい結末です。夫婦と2人の子供の家族の決まりは「秘密を持たない」こと。パートをしながらも良い家庭を必死に作ろうとしている小泉演じる主人公は常に笑顔を心がけています。しかしながら、人に見せない素の時間にはその笑顔はありません。そして何よりも家族4人それぞれに秘密を抱えているのです。秘密を抱えながらも、秘密はないと装い、表面的な幸せ家族を演じる一家には、やはり破綻が訪れてきました。家族にとって、何が必要なのか、それを実に考えさせられます。秘密もなくすべて明け透けに話すことが良い家族の条件か、その答は否でした。表面をとつりつくろうことよりも、本音でぶつかること。この家族がある晩、表面の平和が崩壊したときから、少しずつ変化をしてきます。そして最後に、何もかも話すばかりが良いことではない、秘密は秘密として死ぬまでそのままにしておくことも大事なこと、ということもまた語ってくれます。私個人としても、日ごろ思っていることでね、このことはとても共感できました。そして希望の持てるラストにほっとしました。小泉今日子演じる妻の母親役が大楠道代。

空中庭園

 

2 春の雪

まだ大人になりきれない妻夫木聡演じる主人公の不器用な愛情表現を上手に表現しています。失うことで初めて自分の思いの強さに気づき、歯止めが利かずにエスカレートしていく恋の中で、周りも見えずに暴走していく様子が、冷静な周囲と対照的であるほど、誰もが予想できる悲しい結末としてより切なく映し出されていくのでした。綾倉家の侍女役で大楠道代が出演。

 

 

3 氷点

どろどろと渦巻く一家の愛憎劇を見応えある映画にしていますが、いかにもこの時代らしい性質の映画になっていました。互いに疑心暗鬼になり、恨みながらも復讐をしようし、別れることのない夫婦。それと対照的な純粋な兄妹。妹に対する女性としての愛情など、大人と子供が対照的ですが、それだけに最後にやってくる悲劇と、それをきっかけに心を取り戻して行く夫婦の様子が強く印象に残るのです。殺人犯の娘を安田道代が演じています。

 

4 団地

大阪らしく住民の会話の掛け合いの中で笑いを誘い、大阪そして団地特有の濃密な人間関係が、この映画の肝にもなっています。そこに表れるまったく異質な斉藤工演じる青年。たどたどしい、というかわざとらしい日本語の誤使いが最初はギャグかと思うのですが、実はそこに謎が隠されていたわけです。どのあたりからその謎に気付くかで、この作品に対する見方ももしかして変わってくるのかもしれません。周りの団地のおばちゃんや自治会長たちの会話は楽しかったのですが、本筋のこの謎の宇宙人らしき人々と主人公夫婦のやり取りが、今一つ盛り上がらなかったのが残念なところでしたが、阪本監督が本格的コメディに取り組んだという意味では意欲的な作品ではありました。自治会長の夫婦役で大楠道代は出演。

 

5 金環蝕

ボリューム感のある政界ドラマです。金と地位に目のくらんだ人物たちのオンパレードで、よくもまあ悪い奴ばかり。キャストもあくの強い面々が並び、いい意味で暑苦しい映画。今のも昔も政治家のやっていることは何にも変わらないという感じで、日本の政界はまったく成長していないし変わっていないというように率直に思いました。作品としてはまずまず面白かったです。安田道代は官房長官の女役。

 

 

6 座頭市

北野武版です。単純明快なストーリー、怪しい人物はそれとなくほのめかす時代劇の王道のストーリーに、場違いとさえ思えるギャグやタップを混ぜ込んで、北野としてはめずらしくエンタテイメントに徹した作品になっています。田んぼでの桑を振り落としてリズムにしてしまうところなんかは感心してしまいました。だが残念なのはせっかくの剣豪として登場した浅野忠信との対決があまりにあっけなかったこと。ここは山場になるはずだから、緊張感を演出してもよかったようには思いました。大楠道代は野菜売りの女役。勝新太郎の座頭市シリーズ『座頭市海を渡る』にも出ていました。

 

 

7  BU・SU

富田靖子のプロモーション映画としては最高の出来。青春の一こまを切り取って集めたポートレイト的な味わいとして、このあたりは市川準のうまさなのでしょう。音楽の使い方も巧みで、エンドロールでさえも手を抜かず、これから長く生きていくであろうヒロインの大人への最初の一歩を温かい視線で描き出しています。ただストーリー的にはその分弱いのがやや物足りない感じはします。そのあたりは市川のその後の作品にも言えるところで、違業界から進出してきた市川ならではなのかもしれません。富田の表情を巧みに切り取っていました。富田靖子演じる主人公の叔母で置屋を営むのが大楠道代演じる女になります。

 

8 ジャージの二人

なーーんにも起こらないほのぼの脱力系映画なのですけれど、ちょっぴり切なさも感じます。東京の暑さを避けて避暑地にやってきた父親と息子。時々訪問者がやってくる以外は、特にすることなく日々だらだらとすごすのんびり感を、癒しととるか退屈ととるか。すでに差し掛かった冬にみると、いまひとつ共感しにくかったりするのですが、おそらく真夏にこれを観たら、きっと涼しい軽井沢での生活を羨ましく思ったことでしょう。父親は一応カメラマンという職業なのですが、特に仕事をしている様子も見られませんし、息子は目下失業中で、小説家の夢に対しても、それほど一生懸命さを感じません。生活は大丈夫だろうかと余計な心配さえしたくなるのですが、毎日決められた時間に出勤し働いている身からすると、やはりずっとでなくても一度はこう過ごしてみたいという憧れなのですよね。大楠道代は謎の隣人役。

 

9 一度も撃ってません

阪本順治としても異色のコメディです。ハードボイルド風の雰囲気で、小説家が取材のために殺し屋のネタ集めをしているうちに、敵の殺し屋からも狙われてしまい、しかも妻にもあらぬ疑いをかけられるという、思わぬ方向へ行ってしまうことに可笑しさを笑いにしたというところでしょうか。笑いと言っても、腹を抱えて笑うという類のものではなく、ニヤリと内心で笑うタイプのコメディですね。主要キャストがまた渋く、石橋蓮司に岸部一徳、桃井かおりに大楠道代と、往年のスターを、旬の俳優たちが脇を固めるといった、通常とは逆のパータン。阪本順治監督も遊びたかったのでしょうね。石橋蓮司演じる小説家である主人公の妻役が大楠道代。

 

10 顔

当時評価の高かった藤山直美主演の作品。実在の事件をヒントに作られた作品ですが、思ったよりは正統な映画という印象でした。殺人を犯して、バーや田舎の小島に身をひそめる冴えない女が主人公。妹を殺してしまい全国を転々。この妹役の牧瀬里穂がいきなり殺されてしまって、これが一番印象的だったかも。個人的には題名の「顔」がそれほど強調されてもなく、やや期待はずれ感はありました。