●新聞記者の映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

新聞記者の映画 ベスト10

 

1 ゾディアック

知的な謎解きミステリーで、約2時間30分まったく飽きることなく、一級のサイコ・ミステリーを味わうことができ満足です。この作品は謎解きの面白さと、それに関わる人々の苦悩をクローズアップすることで、一線を画しています。それでいて、犯行のシーンや狙われる恐怖を見せるシーンでは、巧みに緊張感を演出し、スリリングな場面もきちんと押さえています。その瞬間までジリジリと恐怖が忍び寄るような、「早く済ましてくれー」と言いたくなるような、そんなスリルを上手に作り出しているのです。ですから、結果的になにごともなく終わった場面においても、ドキドキ感がたまらないのです。新聞記者、刑事、それぞれが犯人に迫ろうとしてするわけですが、結局…。とにかく見応えあるサイコ・ミステリー映画として、デヴィッド・フィンチャー監督作の最高作になったと思います。

ゾディアック

 

2 めぐり逢えたら

この中では色合いの違う作品で、出会いそうで出会えない、そんな二人がようやく出会うまでを描いたラブ・コメディです。ということでよく考えると,主演の二人は二つのシーンでしか共演していないのですが、運命に引き寄せられるように、最後に対面にまでこぎつける展開がロマンティックに感じられるのです。ヒロインのメグ・ライアンが新聞記者なのです。

めぐり逢えたら

 

3 オペラハット

莫大な財産を引き継ぐことになった田舎の朴訥とした青年(ゲイリー・クーパー)と、それに群がってくる都会人。どちらが正常でどちらが異常か、風刺をこめながらも、人情に満ちたいい作品になっています。ジーン・アーサーが魅力的で、新聞記者として主人公に近づき、そして愛し合うようになるヒロインを好演しています。

 

4 クライマーズ・ハイ

熱くそして重厚な社会派ドラマとして、非常に見応えのある作品になっていました。かなり長めの作品ではありますが、飽きることなく、最後まで引っ張られてしまいました。大事故を題材にして、新聞社という特殊な中で戦っている記者たちのドラマを熱気ムンムンに描き出す、そんな映画でした。地元新聞社ならではの意地というものもありまして、その中で少しでもライバルよりも先に抜こうと、記者さんたちも結構必死なのですよね。ある種、やくざな世界なのですよね。この主人公のように、上司や先輩に対して横柄な言葉遣いや態度で実際通用するのかどうかということは分かりませんが、少なくともこの世界の特殊性のようなものは伝わってきたように思います。

クライマーズハイ

 

5 スポットライト 世紀のスクープ 

作品自体は何の衒いもない正攻法にそして実直に作られた社会派ドラマとなっています。封印していた教会の組織ぐるみの悪事を暴こうと、新聞社の新任局長の長いものに巻かれない強い意思から始まり、チームが一丸となって証拠固めに情熱をもって奔走する様子を、娯楽映画として無理に脚色することなく、ストレートに描いています。実話ベースということですが、まさにこれこそがマスコミの存在価値であるし、その矜持を彼らの姿から感じ取ることが出来ました。作りかたによっては、もっとスリリングに、サスペンスフルに、娯楽的要素を盛り込んで作ることもできる素材だけに、もしかするとそのあたりで物足りなさを感じる向きもあるかもしれませんが、作り手の思いという物は充分に伝わったように思います。

スポットライト世紀のスクープ

 

6 新聞記者

実際にこのようなことがどこまで行われているかは知りませんが、国そのものからの圧力の大きさというものを強く認識されられる話です。軍事利用のための大学新設という計画自体は、やや嘘っぽいところがありますが、これをもっとリアルにしてしまうと、フィクションではないように捉えられかねず、バランスとしては仕方のない設定だったのかもしれません。自殺者を出してまでも国が守りたいもの、そのためにはどんなこともするのでしょうか。自らの正義と良心から行動に移した主人公でしたが、それでも最後には屈服させられてしまうのでしょうか。本来はラストシーンの続きまで、記事がどうなったか、主人公がどういう選択をしたのかをきちんと描いてほしいところですし、作り手も描きたいのでしょうが、結局ここで終わってしまったというのは、やはり残酷でやるせない続きが待っているからなのではないかと、観ている側としては捉えてしまいます。松坂桃李が最後につぶやいた言葉をいろいろ考えてはみるものの、直前にこちらで想像していた言葉であったように思います。リアルな恐ろしさを感じさせる手前で、見せることをやめたような設定であり、ラストでもありました。

 

7 群衆

実にフランク・キャプラらしい作品で、「オペラハット」や「スミス都へ行く」と似た構図の風刺コメディです。新聞の部数を売るためだとか、選挙に当選するためだとか、それぞれの利益のために言いくるめられて利用される人の良い主人公には、ゲイリー・クーパーがはまり役。その陰謀に気づき抗おうとすると、巨大な力で逆にはめられてしまうものの、最後は愛と大衆の力が勝るという展開です。善意が最後には勝つことで、観ているものに安心感と心地よい余韻を残して終わるキャプラらしさのあふれたこの映画は、人間にとって大事なものは何か、いつもながら考えさせてくれました。

 

8 フロント・ページ

結婚を控えた記者とボス、ライバル記者と処刑犯、婚約者など、登場人物達のやりとりが軽妙に描かれています。設定もやや常識外れなのも、意外とドタバタがすぎず、適度な可笑しさを出していました。オチが洒落ていますね。

フロントページ

 

9 大統領の陰謀

政治腐敗の問題についてまじめに取組んだ渾身の一作といったところです。それぞれ事件を追う新聞記者を演じたダスティン・ホフマン、ロバート・レッドフォードとも気合のこもった演技で、実際に起きたことをベースとしたスリリングな物語を緊張感たっぷりに見せてくれていました。

 

10 非情都市

新聞記者としてスクープ記事の獲得にすべてをかける主人公、自分の渾身の記事がボツになった裏側に何かを感じたところから、犯罪行為に加担することになっていく様子が、ある部分社会の病んでいる部分を映し出しているようです。正義感とそれを貫くために手段を選ばないこと、それは実は紙一重のところにあり、一方で事なかれ主義、対面だけを繕おうとする権力と組織。結局は個人の力では到底叶うものではなく、取り扱いに困るようになるとどんな能力のある者でもポイッと捨てられてしまう。皮肉たっぷりに描いています。