●ブラジル映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

ブラジル映画 ベスト10

 

他国との合作も含めています。

 

1 シティ・オブ・ゴッド

2002年ブラジル映画。骨のあるしっかりした語り口のドラマでありながら、メッセージ性・娯楽性双方をも満たした作品になっています。ドキュメンタリー映画のような雰囲気もありつつ、映像的にも展開方法も凝った部分を見せてくれています。けっして明るい映画ではなく、生々しさに目をしかめたくなるようなシーンも多々あり、手放しで楽しめる、或いは納得させられるというばかりではないのですが、猥雑ととしたスラム街の匂いまでが伝わってくるようで、こういう世界があることを思い知らされるには充分でした。

 

2 彼の見つめる先に 

2014年のブラジル映画。目の見えない主人公の男子学生と彼の近くでいつも助けてくれる同級生の女子、そこに入り込んできた転校生の男子。それにより3人の間のバランスが崩れ出す中、それぞれ秘めた思いを抱えながらの高校生活が展開されていきます。そこに転校生にアプローチを続ける女子が絡み、蓮位関係も意外な方向に。そこには、視覚障害の有無も関係なく、繊細な10代の純粋な相手を思う気持ちが行き交い、なんともキュンとさせられます。目が見えない同級生に気遣うことなく、容赦なくからかいの言葉を浴びせてくる同級生たちの中で、堂々と揺るがない3人の態度はなかなか立派。主人公に秘かに思いを抱きながらも、衝撃の告白を受け止め、接していく女の子がまた素敵でした。

 

3 セントラル・ステーション

1998年ブラジル映画。口は悪いけれど根はやさしい代筆屋の中年女と、母親を事故で失ったばかりの素直でない男の子が次第に心を通じ合わせていくという、一見ありきたりのドラマを、父親を捜す道中での二人の交流の中で、温かい気持ちにさせてくれる作品です。ブラジルの街の雰囲気がドラマにしっかり調和していていい感じです。

セントラルステーション

 

4 汚れた心

2011年ブラジル映画。終戦直後の地球の裏側で、このような争いが起きていたことを、この映画を通じて初めて知りました。同じ民族同士の争いは、対立する国同士で戦う戦争本体以上に悲惨さが極まり、虚無感しか残らない辛くやるせないもの。情報が入らないがゆえにもたらす狂信的な「大和魂」信者たちの暴走によるものであるから、余計に虚しくなります。加えて、戦争中に植え付けられた教育が、戦争が終わった後も何一つ得るもののない殺し合いをもたらす馬鹿馬鹿しさ。そんなことを感じながら、それだけでもこの映画を作った意義はあったのではないかと思うのでありました。

汚れた心

 

5 私はヴァレンティナ

2020年のブラジル映画。トランスジェンダーの主人公が様々な障害にあっても、自分を強く持ち、立ちはだかる障害に正面から立ち向かおうとする姿には心打たれるものがあります。前の学校から追われるようにやってきた町、再び逃げる選択をせずに、その町から新しい学校へ通うことを選んだ決意は並大抵の思いではなかったでしょう。そんな彼女を支えたのは、娘がどうであろうと無償の愛で包んでくれる母親と、トランスジェンダーに理解を示す友人たち。この作品を観ると、彼女のような存在に無理解なのは子供達よりも、差別はいけないと頭では理解している大人たちなのですよね。クラスメートたちが最後に彼女をバリケードのように守ったシーンを思うと、今後社会は少しずつ彼女たちが生きやすい方向に変わっていくのかななんていう期待は持つことができました。

 

6 ぶあいそうな手紙

2019年ブラジル映画。年の離れた同士でも通じ合う心というものはあるもので、互いに寂しい毎日を送っていた二人がちょっとした出会いからともに暮らすようになり、そして人生の次の一歩を踏み出すまでを描いた、地味ながら人と人の繋がりを感じる優しいドラマです。主人公の視力の具合が、どれくらいなのか、わりとすんなり状況を理解して進んでいくシーンもあって、そのあたりがやや伝わりにくかったです。

 

7 ライトハウス

2019年米国とブラジル合作映画。モノクロの映像の中での孤島を舞台にした二人芝居。妄想と現実と過去が入り乱れて、作品としてはかなり難解なものになっていますが、この作品についてはストーリーさして重要ではないでしょう。ベテランのウィレム・デフォート若手のロバート・パティンソンの演技のぶつかり合いがこの映画最大の見どころということで、確かに二人の熱演は鬼気迫るものがありました。

 

8 ストリート・オーケストラ

2015年ブラジル映画。とにかく編集が独特で、それが評価にも分かれるような気がします。大事な決断とか分岐点となる本来ならもっとも必要なシーンを見せずに、前後の様子だけでストーリーを想像させる編集は、敢えてそうしているのでしょう。審査に合格してそのことを伝える場面、教室を去る場面、再び戻る決断やそれに関する楽団との交渉、そして子供たちに対面する場面、演奏会に臨む場面、初舞台に臨む場面…。欲しい部分が全部省略なので、流れとしては非常に悪いし、スムーズに頭に入ってきません。しかしすべて流暢に見せてしまうと、平凡な作品で終わってしまうリスクもあると考えたのでしょうか。正直なところ流れが悪くなっただけにように私は感じ、それが感情移入にもマイナスの影響を与えたように思いました。

 

9 ブラインドネス

2008年カナダ・ブラジル・日本の合作映画。設定の期待度の割には尻すぼみのいまひとつ盛り上がらない作品になってしまいました。冒頭が一番面白くて、その後は正直なところちょっと退屈してしまいました。結局描かれている感染症の正体についても、症状を描いただけで、一体なんだったかについてはほとんど語られず終い。こんな人間の醜さが露呈してしまった社会の中で、人々は果たしてそれまでどおり普通に暮らしていけるのかなと考えると、この結末もなにか虚しくさえ思えてしまいます。

ブラインドネス

 

10 マイ・バッハ 不屈のピアニスト

2017年ブラジル映画。バッハの伝記映画をブラジルが制作したというのが不思議なところではありますが、基本的にあの世界的音楽家の人生を描いたドラマです。障害に苦しみながらもピアニストとして頑張る姿を描いていました。