山下リオ 出演映画 ベスト10
1 朝が来る
子供が欲しいけれどできない夫婦、子供を育てられないけれど妊娠してしまった女性、そんな両者を結び付ける理由は、子供に親を見つけてあげるため、その言葉がとても重くのしかかってくるような作品でした。河瀬直美監督としては珍しくストーリーをきちんとみせた作品で、これは原作に因るところが大きいのでしょうが、そのおかげで公開規模もまた珍しくどのシネコンでかかるようなものに。前半は子供を受け入れる夫婦の立場から、子供が育った今と、ここまでに至る過程を見せておいて、後半からは生んだ側の女性から、脅迫電話に至るまでの経緯を見せていくという構成にも工夫がみられ、観ている者を飽きさせない流れになっていたのも、いつもの河瀬監督とは違うところでした。同じような悩みを抱えた夫婦、或いは女性は多いことでしょうし、命の重さから考えると、こういった選択肢が増えていくこともけっして悪いことではないはず。そんなことを知らしめるという意味でも、存在意義の高い作品ではなかったでしょうか。山下リオは風俗嬢を演じています。
2 伊藤くん A to E
岡田将生の周りが見えない、空気が読めない、自分流のほんとに嫌な男感が圧倒的に印象に残ります。そして一方で木村文乃演じる主人公の、話を聞いている無様な女たちをのぞき見するような形で笑うことで、自分の無様さから目を反らしていた感もまたリアルな女心といった感じで、面白く観ることができました。最後にもう一歩キレのある結末で伊藤をギャフンと言わせることができると完璧でした。それにしても『天然コケッコー』で純な二人を演じていた岡田将生と夏帆がこういう形で共演するというのも感慨深いものがあります。山下リオは伊藤くんに関わる志田未来演じる女性のルームメイト役。
3 MW－ムウ－
私はそれなりに面白く観させていただきました。頑張りすぎて無理やり派手にしようとして、それが返って嘘っぽくなったりと、演出の粗は多々あるのですが、展開としてはスリルも緊張感もあって、先を楽しみに期待しながら観ることができましたし、なんといっても玉木宏の艶っぽさが、いかにも心に闇を抱えているような謎めいた雰囲気をかもし出していて、私は好きです。ドラマとしては確かに弱い部分があって、主人公がここまでモンスターのようになってしまった心の深層はあまりうまく描かれていなかったと思いますし、事件絡みのアクションシーンに力を入れすぎたせいもあるでしょう。また原作を知っている方には不満な部分も多く出てくるでしょうし、そうでなくても「手塚治虫」の名前だけで何か深いテーマやメッセージを求められてしまうので、その部分では「薄い」というのも仕方ないかもしれません。それでも単純に、狂った男による犯罪サスペンスとして割り切れば、これはこれで面白いのではないかと、そんな感想を持ちました。山下リオは教会の少女役。
4 あのこは貴族
二人の対照的な過程で育った二人の女性。水原希子演じる地方出身の女性は、貧しい家で育ち、せっかく入学した大学も学費を払えずに退学。その後は水商売のアルバイトをしながら、その中で出会った縁で就職。さらには起業する融資戦の誘いに乗っかり独立と、とにかく人生を自分で判断して決めてきたという女性。一方の門脇麦演じるお嬢様は、若いうちに良い結婚相手を見つけて収まるところに収まるというのが、小さいころから植え付けられてきた価値観で、その通り紹介してもらった相手と結婚、とにかく決められたレールの上からはみ出さない人生を送ってきました。その二人が一人の男性の存在で繋がってくるのですから、人生は不思議なものです。我々凡人からすると、前者の生き方は実感も共感もしやすいのですが、後者の生き方は同じ環境に置かれないとなかなか理解できないかもしれません。昭和の時代ならともかく、今でも後継ぎだとか、分相応の相手だとか、そういうことに重点を置かれて、人生を決められる家庭環境、そしてそれに疑問も持たずに素直に応じる生き方。これは何も女性ばかりでなく、高良健吾演じる結婚相手も同様。自分の決められた役割を果たすだけ、それも自分の意志といってしまえばそうなのかもしれませんが、果たしてこんな人生で幸せなのか、ちょっと考えさせれる繊細な作品でした。水原希子演じる地方出身の女性の地元の友人が山下リオ。
5 Ribbon
コロナ下における閉塞感の中で、学校にも行けず、卒業イベントも中止になってしまった美大生の鬱屈された日常を描いていて、今だからこその題材として、面白いところに目をつけたなという感じです。ちゃんとマスクをしたり、ソーシャルディスタンスを意識したりと、ちゃんとコロナ社会の現実を描いているところは、逆に新鮮でした。多くの映画がマスクなしの生活を現実社会として割り切って描いているのに対し、そこにまともに向かい合って一本を撮り上げたということが、意義深いのではないでしょうか。この時期に卒業を迎えた大学生の悲喜こもごもですが、この時代の世相をけっしてネガティブ一辺倒になることなく敢えてコミカルに描き、最後には前を向うとしているところで、元気をもらえました。のん演じる主人公の親友役で山下リオは出演。
6 書道ガールズ！！わたしたちの甲子園
ベタな展開ですが、アンジェラ・アキの歌がマッチしていて、最後はすがすがしい気持ちになれた青春文化系部活動映画になっていました。男子部員の影の薄さと、ところどころにあるわざとらしさがなければ、より自然に受け入れられたでしょう。そこが惜しいです。山下リオも書道部の生徒役で出演。
7 ねこタクシー
温かくてガツガツしていない雰囲気が素敵な映画になっています。猫好きな方はもちろんですが、特に猫を好きでなくても、ほんわかと優しい気持ちになれる作品でしょう。人付き合いが苦手で仕事ではうだつもあがらない主人公ですが、それでも美人の奥さんにも応援してもらって、娘もいい子に育っているわけで、そのあたりの人間的な魅力がにじみ出ているところが、この作品自体の魅力にもなっているのかもしれません。世間的にいえば負け組みとか、落ちこぼれ組の範疇に入ってくるのかもしれませんが、それよりも根っこにある他人や生き物への優しさに惹かれて、家族も会社の人もついつい手助けしたくなるこのキャラクターは、竹山自身のキャラクターとも被ってくるのかもしれませんね。カンニング竹山演じるタクシー運転手の娘役で山下リオは出演。
8 武士道シックスティーン
剣道少女を主人公にしたノーマルな部活ものですね。常に不機嫌そうな成海璃子の役がまったくかわいげがなくて、魅力ないのが難点。北乃きい演じる主人公のライバルの友人を山下リオが演じています。
9 RISE UP ライズアップ
ひき逃げ事故で失明した気の強い少女(山下リオ)、出会った二人の青年と少女の兄。設定としては重い部分もありますが、さわやかな3人が最後にはよい後味を残してくれました。
10 寝ても覚めても
男からしてみると、この女のとった行動はなかなか理解しがたいものがあります。突然現れた昔の恋人に迷うことなくついていき、追いかける恋人を振り切り、友人たちとの交流も断つ覚悟で「戻らない」と言ったにもかかわらず、途中で気が変わり恋人のもとに戻っていく…。もしかするとこれは夢か妄想の描写ではないかと思ったほど、現実感のない元カレとのドライブシーンだったのですが、どうやらそうでもなく、とにかく元カレについていく、今カレに戻る、どちらの決断も迷いもなく即座にされたことがどうにも、共感できませんでした。こんなことで今後二人はうまくいくのだろうかと、ラストシーンにも不安で仕方ないまま終わってしまいました。山下リオは唐田えりか演じるヒロインのルームメイトである舞台女優を演じます。
