タイトルが「~娘」の映画 ベスト10
1 ライアンの娘
3時間以上の壮大なドラマに仕上がっていて、人間との本能と嫌らしさがあちこちに観られる作品です。ここにはある意味で人間社会の縮図のようなものがあるとさえ感じられました。妬み、嫉妬、裏切り、犯罪、弱いもの苛め‥人間の醜い部分がつめこめられている一方、許し、愛という人間の理性的な部分、さらに性欲、物欲という本能的な面、それぞれが絡まって人間くさいドラマになっています。しかも海岸の静かな景色と、人間などものともしない自然の荒々しさが人々の前に立ちはだかって、対比的に描かれているのが印象的。
2 落語娘
なんといっても女性落語家の主人公を演じるミムラが良いです。正直なところ、これまでミムラという女優にあまり良い印象を持ったことはなかったのですが、今作で見直しました。落語もかなり練習したのでしょうか、難しい役であったとは思いますが、男社会の中で紅一点頑張る凛とした姿はなかなかカッコよかったです。一本芯のようなものが通っているようで、そのおかげで作品自体もしまったものになったと思います。そして彼女が師事するのが、津川雅彦演じる破天荒な落語家ということですが、はちゃめちゃを繰り返しながらも、ここぞというところで通じ合う師弟愛のようなものが暖かく描かれていました。対峙する古典派の先鋒落語家(益岡徹)との対照を前面に押し出したため、やや大げさな描写だったのかもしれませんが、落語映画ということを考えると、かえってそちらの方が「らしい」演出だったかもしれません。最後にはほっとするような形でまとまり、後味も良かったですね。
3 私のように美しい娘
社会学者が、刑務所で研究の為に出会った女の男遍歴と生い立ちを聞いていく中で、のめりこみ逆に利用され、最後は無実の罪で収監される過程をブラック調に描いた、なかなか凝った映画で面白い一本でした。
4 神さまがくれた娘
知的障害者の子育てと聞くとどうしても『アイ・アム・サム』を思い浮かべるのは仕方ないところで、そのインド版という言い方もけっして遠いものではないでしょう。しかしそこはインド映画、ミュージカルシーンは欠かしませんし、立場の違う敵方があの手この手で妨害を入れてくるのもお馴染みのスタイル。そしてお決まりの形でハッピーエンディングかと思いきや、もうひとひねりしたラスト。最後に現実的な落としどころというものを加えてくるところに、めでたしめでたしチャンチャンだけで終わらない、作り手側の責任感のようなものも感じ取ることが出来ました。
5 橋の上の娘
ナイフ投げ男と出会って別れるまでの過程はなかなかいいのですが、最後の再会の場面はどうにも納得いきませんでした。フランス映画らしい雰囲気とモノクロームによる効果が良かっただけに残念。
6 青空娘
若尾文子主演、恵まれない環境の中でも前向きに日々を生き、はつらつとした姿で元気を与えてくれるような作品です。いかにも昭和30年代の雰囲気がにじみ出ていて、時々この時代のこういった作品を観たくなるんですよね。
7 銀座カンカン娘
終戦後に活気づいていく日本を象徴するような一曲「銀座カンカン娘」ですが、いわゆる歌謡映画の初期の作品といった位置づけになるでしょうか。戦後独特の解放感がいっぱいに現れていて、これから迎える明るい時代にみんながうきうきしているような、そんな気持ちが伝わってきました。
8 ルパンの娘 劇場版
いかにもテレビドラマのスペシャル版といった、海外を舞台にしたチープな作品。
9 将軍の娘/エリザベス・キャンベル
やたら理屈っぽくて考えながらみていかないと、展開をつかめず、ミステリーものとしてはやや期待はずれ。死んだ将軍の娘が奔放な性行動に走っていた理由も不明。
10 シュシュシュの娘
映像が全体的に暗くぼやけていて、福田沙紀の顔でさえもぼんやりと見えてしまうのがストレスとなって、ストーリーにもあまり入り込めませんでした。移民排除の問題だったり公文書改ざんだったり、社会派的要素も混ぜつつも、主人公が忍者の末裔だということから忍者のかっこうして歩き回ったりと、ふざけた要素も入り込んでいるので、いまひとつ作者の意図が分かりにくい面もありました。