●肢体不自由者の映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

肢体不自由者の映画 ベスト10

 

1 AIKI

交通事故で下半身麻痺による車いす生活を余儀なくされた青年が、合気柔術に魅せられて打ち込んでいく様子を描いたドラマ。キャスティングがぴったりはまっているので、くさいと思われる話も全く違和感無く入り込めます。加藤晴彦はもちろん、ともさか、石橋凌、火野正平、桑名正博と重要な役割にそれらしいキャストをしっかりしているのが光りました。また、映画として無理に芸術性やメッセージ性を意識しないで、素直な映像で見せてくれているのも好感が持てました。自分の運命を嘆き、模索し、やがて光を見出して行くまでの過程が丹念に描かれている佳作でした。

AIKI

 

2 最強のふたり

決して派手な作品ではないのですが、いつの間にかスクリーンに惹きつけられてしまう魅力的な作品でした。観ていて自然に笑みがこぼれてしまうような、二人の会話がユーモアに富み、楽しかったです。特にドリスのキャラクターがチャーミングで、がさつで単純なのですが、正直で優しく飾らないところがどうにも憎めなく、特に障碍を持ったことで恐る恐る気を使いながら接する人が多かったであろうフィリップにとっては、とても新鮮に映ったのだろうなというのがよく分かります。二人とも決して善意の塊というわけでもなく、傲慢な部分があったり、見栄っ張りだったり、時に弱気になるところもあったりと、欠点の多い二人なのですが、それだからこそ余計に愛らしく感じるのでしょうね。結局は相性がぴったりだったということで言い片づけることもできるのかもしれませんが、でもそこが人間らしいところでもあり、このテーマでここまで魅力のある作品に仕上げたことには感服しました。

 

3 37セカンズ

障がい者の自立心と家族をはじめとする周囲との距離感、そんなことを考えさせてくれる素敵な作品です。まずなんといっても脳性麻痺で車いす生活を送る主人公を演じた加山明がとってもチャーミング。けっして美人とかいうわけではないのですが、笑ったときの表情がとても可愛らしく、周りの人がついつい助けたくなるのも納得の魅力なのです。そんな中で心配のあまりに過保護になり、常に目の届くところに置いておきたい母親と、健常者と同じような経験をしようと世界が広がり始め、自立心が強くなっていく娘、それぞれの思いのぶつかり合い。ともに気持ちが理解できるだけに、ちょっと切なくなってしまいます。健常者であったら普通にできることが制限されてしまうやるせなさ。一方で漫画家としての夢も持ち続け、そのために世界を広げようとする行動力は、その方法はともかくとして、一人の女性としても魅力的なのです。

 

4 だいじょうぶ3組

乙武洋匡が小学校の先生役を務めた作品。廣木監督にしてはスマートに手堅くまとめてきたという印象です。いろいろ問題が多いとされる昨今の小学校ですが、みんなが互いに個性を認めながらも伸び伸びしている小学生たちを見ていると、子供らしくて素直でいいなあとは思います。そして赤尾先生の教える一言一言も、決して上から目線ではなく、同じ視線から、それも押しつけでなく、子供たち自身で気づくように諭していることに、非常に好感が持てました。それと同時に、観ている私自身も教室で授業を受けているような、そんな気持ちにさえさせられました。

 

5 こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

大泉洋演じる体が不自由な鹿野やヒロインの高畑充希演じる美咲の人間性がにじみ出た作品となっています。冒頭はちょっと嫌な奴に思えた二人ですが、物語が進むにしたがって、みんながそこに集まる理由のようなものが次第に伝わってきました。実話ベースということで説得力がある上に、障碍者の生き方、あるいは医療の在り方というものにも問題提起する一方で、人生をせいいっぱい楽しむために道を嫌い開いていくバイタリティ、そして彼からあふれるユーモアなど、作品の中にいろんなものが吹きこまれています。一方イケメン医大生との恋愛と将来を第一に考えているような普通のフリーターが、鹿野の影響で再び大学を目指し勉強を始めるという生き方も前向きになっていくのです。対照的なのが三浦春馬演じる医大生。ボランティアの中で自分の目標を見失い、ボランティアまでやめてしまいます。そんな意味で鹿野という人は、周りの人にも大きな影響を与えるような人物であったことも伝わってきました。大泉の飄々とした味わいがうまくはまって、魅力的な作品になっていました。

 

6 淪落の人

事故で下半身不随になった中年男と、フィリピンから働きにやってきた家政婦の友情物語といったところです。一見気難しそうな男ですが、根はやさしく、自ら英語を覚えたりと、言葉が通じないと知ると彼女側に寄り添う姿勢を見せます。一方家政婦の彼女も解雇されたくないと必死の中、広東語を覚えたいと言ったり、彼女側からも歩み寄りを見せるなど、互いのそういう気持ちに、馬が合ったというところもあるのでしょう。やがて彼女の夢を知ると、家政婦をやめられてしまっては困るにも関わらず、遠慮してとどまろうとする彼女の背中を押し、羽ばたかせてあげるという心憎いことをするのです。年齢も性別も生まれた国も境遇もまったく違う二人がこうしてお互いを思いやる姿がとても素敵でした。

 

7 しあわせな孤独

物語そのものは実に冷たい。障害者になった婚約者を捨て、別の男と不倫の愛に走る。だがこれが現実なのかもしれません。妻子がいながら若い女に走る男も同様です。弱いものを捨て、刺激的な新しいものに走る。捨てられた方は現実を受け入れるまでに苦悩する。温かみがないといえばそうかもしれないですが、ある意味それだからこそ人間くさいのかもしれないとも感じました。

 

8 ボストンストロング ダメな僕だから英雄になれた

ボストンマラソンのテロで両脚を失った男性のその後に注目した作品です。息子を英雄にしたい母親と、けっして英雄ではないことを自覚し戸惑う本人。そして彼を支える元恋人。三者三様の思いが交錯し、言葉として出る部分、出ない部分を含めて、複雑な心理の葛藤がスクリーンからにじみ出てくるようです。胸に重い何かを抱えた人物を演じるのは、こういった役柄が多いジェイク・ギレンホール。世間の期待を受け入れ、前向きになるには、なかなか時間がかかったことでしょう。さらにそもそも大人になり切れていないところで、献身的な(元)恋人の妊娠の発覚には取り乱す場面も。ただもしテロに逢わなければ、彼や彼女の人生はどうなっていたのか、二人はもしかすると別れたままだったかもしれません。そう思うと、やはりテロが被害者やその周囲の人々に与えた影響というものは、計り知れないものがあるのです。

 

9 潜水服は蝶の夢を見る

本人にとって、そして家族にとっても、これ以上ないというどん底に落とされたような状況であるにも関わらず、それほどの悲壮感を感じさせず、まばたきだけで意志を表すことのできる主人公を淡々と描いています。特に、ものも語れない、動くことも出来ない主人公からの目線で描かれたシーンは非常に特徴的です。大抵、身動きも出来なくなった人を描く場合は、どうしてもベッドに横たわっている対象を、哀れみを含んだ目線で映し出すことが多くなってきます。それはある意味仕方のないことで、動けない喋れない本人が、どういう思いで何を考えているのか、伝える手段がないので、誰も本当のことが分からないですから。しかし、こうして本人自身が自分の言葉で本を出すという快挙(!)によって、身動きができなくても、何を感じ、考え、伝えたいのかが周りの人々が理解し、こうして映像化することも出来たということで、そういった意味で意義深い作品であったと思います。

 

10 海を飛ぶ夢

尊厳死を巡る一人の四肢障害者と廻りの人物たちの葛藤と人生観を描く社会性を持ったドラマ。はじめから展開は淡々と進み、死をなしとげる部分まで続きます。彼の周りに現れる、彼の死を手助けしようとする者、そっと見守り意志に任せようとする者、生きる素晴らしさを説き思い止まらせようとする者、それぞれの考えや立場がぶつかりながら、気持ちを変えながら事体は動いていく。寝たきりながら女性になぜかもてる主人公の寝たきりの男をハビエル・バルデムが好演し、観るものに何が正解なのかを問いかけます。しかしこの作品では1つの考え方として示したに過ぎず、その答えは観るものに委ねられて終わる、そんなふうに受け止めました。

 

11 君と歩く世界

12 トゥヤーの結婚

13 マルガリータで乾杯を!

14 スウィート・ヒアアフター

15 RUN

16 水上のフライト

17 パーフェクトワールド 君といる奇跡

18 ボーン・コレクター

19 7月4日に生まれて 

20 マーダーボール