●スポーツ伝記映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

スポーツ伝記映画 ベスト10

 

実際の人物を描く伝記映画の中でも、

スポーツ選手にしぼって集めてみました。

ボクシングと野球が強いですね。

 

1 傷だらけの栄光

盗みをしては刑務所に出入りを繰り返し、軍に入隊して逃げ帰りしていた男ロッキー・グラジアノがボクシングに生きる道を見つけ更生、チャンピオンになっていくというサクセスストーリーは実在のチャンピオンの伝記映画でもあります。ボクサーとしての成長とともに、人間としての成長もきちんと描かれ、主人公に感情移入しやすい構成になっています。さらに夫婦愛が素晴らしい。ボクシングなど怖くて見ることも出来なかった可愛らしいお嬢さんが、次第に強くたくましく、逆に夫を励ますほどにまでなっていき、まさに夫とともに妻も成長していくのです。時にはおだて、時には叱咤し、描かれている二人の関係は非常に好感の持てるものでした。モノクロの映像もニューヨークの貧困な街の雰囲気を見事に表現していて秀逸。テンポもよく最後まで一気に魅せる演出も素晴らしいものでした。ニューマン、かっこいいです。

傷だらけの栄光

 

2 ザ・ハリケーン

冤罪で終身刑を言い渡された実在のボクサーのルービン・カーターと、彼を支援するグループとの交流を描いた伝記ドラマです。思わずジーンとしてしまうシーンがところどころにあって、あと味もよく、さすが。事態を幾重にも交錯させながらの手法も分かりにくくなく見やすい。釈放決定のシーンはうるうるしそうでした。ボクシングシーンはあまりないですが、心を揺さぶられる傑作です。

ザ・ハリケーン

 

3 打撃王

伝説のバッターであるルー・ゲーリックを描いた伝記映画です。彼の家族思いの純粋さはもちろんですが、なんといっても夫婦の関係がとても素敵。ゲイリー・クーパー自身のキャラクターともどこか重なり、ルー・ゲーリックの好人物ぶりが伝わってきます。またテレサ・ライトが妻をチャーミングに演じていて、最後の引退の場面はせつないほどいじらしかったです。

打撃王

 

4 オールド・ルーキー

文字通り年を取った新人野球選手ジム・モリスを描き、清々しい気分になれる野球映画の佳作です。デニス・クエイドが35歳という設定にはちょっと無理があるのですが、年齢の差を明確にしたかったということもあるのかもしれません。長男の子役の笑顔がなんともいえず穏やかで、それがこの映画のすべてを物語っているようにも思えました。

オールドルーキー

 

5 シンデレラマン

ボクサーのジム・ブラドックを描く実話だけに説得力がありました。映画自体は出来すぎぐらいに綺麗に作られています。妻や子供を愛し、家族の生活のためには命を賭けて戦い抜く、その主人公には誰もが感情移入せずにいられないでしょう。展開にも無駄がなく、最後のクライマックスまでの盛り上げ方もそつがありません。そういった意味で誰が観ても良い映画ではないでしょうか。ただあまりに綺麗過ぎて、どこか不満が残らないでもないのです。

シンデレラマン

 

6 42 世界を変えた男

黒人大リーガー1号であるジャッキー・ロビンソンの苦悩と勇気、そして彼の背中を押していった人々の苦労と思いが素直にたわってくる作品でした。観やすかったです。何事も最初の一歩は困難を極めるということでしょう、スポーツに限らずすべての道に通ずることとして、改めて認識させられました。

 

7 キーパー ある兵士の奇跡 

英国において元ドイツ人捕虜という、国民感情として反感の強い立場ながら、地元チームのゴールキーパーとして、ブーイングの嵐を歓喜の嵐に変えていった実在の選手の人生を描いています。戦中に銃を向けられた子供を助けることができなかったというトラウマを抱え、それを妻にも打ち明けられずに生きる中、自分の息子を事故で失ってしまう苦悩が痛々しく、その心中は察するものがあります。必要以上に自分を責める姿には、結局のところ、戦争というものが招いた悲劇といえるでしょう。戦中のトラウマ、ドイツ人という超アウェイな環境、息子の死というさまざまな困難に向き合って、成果を残し人々の気持ちを勝ち取った人生は、まさに波乱万丈でした。

 

8 ザ・ファイター

ボクサーのミッキー・ウォードを描いた内容そのものは可も不可もない、そんな程度だと思います。しかしながら、平凡な内容の作品を埋もれたままにしないで、存在を知らしめる結果になったのは、やはりオスカーを獲得したクリスチャン・ベイルとメリッサ・レオの演技だったとは思います。ベイルについては、作品ごとにそのストイックさがエスカレートしている印象ではありましたが、ついにここまでやってしまったかという感じ。こう太ったり痩せたりを繰り返していて、体の方は大丈夫なのか心配してしまいますが、それだけ役の中に魂が入り込んでいたのでしょう。そしてヒステリックな母親を演じたメリッサ・レオですが、彼女も賞に相応しい演技だったと思います。ここ2,3年でようやく注目されだした、かなり遅咲きの女優だといえるでしょうが、特に今作では役にぴったりとはまっていたのではないでしょうか。ということで、ドラマよりも演技に注目でしたね。

ザファイター

 

9 バトル・オブ・ザ・セクシーズ

テニスの歴史の中にこんなことがあったとは知りませんでした。スポーツ界での男女の扱いの差がまだまだ大きかったころ、それを主張し、スポーツ界を変えていったキング夫人の勇気を持った行動は、いまの女子テニス界のみならずスポーツ界全体に与えた影響は計り知れないものがあるように思います。作品では性差別の問題だけでなく、同性愛の問題にも踏み込み、キング夫人についてかなり突っ込んだ描写に挑んでいました。現役バリバリの女子チャンピオンと55歳のかつての男子チャンピオンの闘い。映画の中のテニスのシーンは、ややスピードにかける印象でしたが、実際の当時の試合はどうだったのでしょうか。そのあたりは気にはなりますが、彼女の実績を汚すものではけっしてありません。何事も古い考えを変革していくということはエネルギーがいるもので、それを成し遂げていったということは、それだけで尊敬できるものだと思います。エマ・ストーンが本人に近づこうと熱演。

 

10 力道山

まずソル・ギョングの流暢な日本語に驚きました。力道山という人物は、いろんな場面で語られていることなので、そこにそれほど新しい発見のようなものは少なかったかもしれませんが、米国に戦争で敗れたあと復興に賭ける当時の日本人の熱さが充満する時代の中、彼がどのように国民的ヒーローとして生きてきたかがよく分かりました。決して超人でも聖人でもない、人間・力道山の生き様がプロレスラーとしての誇りとともに伝わってきたのです。それとともに、ヒーローゆえに感じる孤独と疑心暗鬼、そんな人間らしい弱い部分も描かれていて、親近感さえも覚えました。映画としては正道をいっており、真剣に力道山という人物をスクリーンに映し出そうという意思は感じられました。

力道山

 

選外になりましたが、なりきり演技が評価を呼んだ『アリ』『レイジング・ブル』や伝説のスラッガーを描く『夢を生きた男 ~ザ・ベーブ~』『タイ・カップ』などがあります。