●ポール・ダノ 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

ポール・ダノ 出演映画 ベスト10

 

個性的な曲者俳優さんです。

 

1 リトル・ミス・サンシャイン

ちょっと可愛らしい家族のドラマです。バラバラの家族がミスコンへ参加しようとする道中に起こるさまざまな出来事の中で、まとまりを取り戻していくというストーリー。個性の強い、変わり者揃いの家族で、騒がしい道中はやや大げさな印象もありますが、観ていて飽きません。子供のミスコンというのがあまりピンと来ず、どちらかというと顔をしかめたくなるようなコンテストなのですが、このオチならそれも逆に生きてきますね。主人公の変わり者の兄がポール・ダノ。

リトルミスサンシャイン

 

2 ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

石油を掘って大金を手にすることを人生の第一目標とし、それを邪魔する者に対しては、非情なほどの行動に訴える主人公。それゆえに敵を多く作り、また聴力を失った息子にはどう接していいかわからず、これまた非情な行動に出てしまう。反感こそ呼んでも、決して共感を引き込むような人物でないのですが、不思議にこの主人公の一挙一動にひきつけられてしまうのは、なんといってもダニエル・デイ=ルイスの力によるところが大きいでしょう。年もとったせいか、若い頃の雰囲気とは変わってはきていますが、やはり味のある俳優であることには違いないでしょう。そんな彼の演技が目立つこの作品ではありますが、作品で繰り広げられるドラマはなかなか強烈です。人間の欲望がギラギラと「てかり出て」いるような、人間の嫌らしさがあふれ出てくるような作品であり、嫌悪感さえ抱いてしまう場面も数多く出てきます。特にラストの(息子との、そして牧師との)場面での後味の悪さといったら…。狂言的な牧師をポール・ダノが演じています。

 

3 それでも夜は明ける

当然テーマとしては重い部類ですし、現代人としては知るべき歴史、繰り返してはいけない歴史であることは間違いないでしょう。そういった意味では伝えたいことが伝わるよう真摯に、そして手堅く作られた作品になっていました。よく出来ていたと思います。ただそこからのプラスアルファという部分では、やや弱かったかなというのも正直なところで、観ている者の心をえぐるような痛み、或いは鬱屈されたものが解き放れたような爽快感など、感情的に揺さぶられるようなところがあまりありませんでした。わりと長い期間の出来事を描いているので、内面を深く掘り下げて描くような作業が少なかったのかもしれません。どぎつい虐待のシーンなどは、だれが観ても辛さ、痛さ、苦しさが伝わってくる描写ではありますが、多少そんな虐待の視覚的描写に頼りすぎてしまったこともあるでしょう。主人公をいたぶる大工役でポール・ダノは出演。

 

4 ウッドストックがやってくる!

これだけ大勢の人を集め、当時のファッションやライフスタイルを真似させ、今の時代に再度ウッドストックの空間を作り出したことには感服しました。しかしながら、その空間を再現することに精力を使い果たしてしまったのか、狂騒の描写がややうわべだけで終わってしまった印象です。何もない田舎にこれだけの若者たちがやってくるというのは、映像だけでも尋常ではないことは分かるのですが、ではそれを受け入れた人々の非日常性は?というと、金をもうけてウハウハしたり、好ましくないスタイルに抗議したり。その表面的な部分は描かれているのですが、彼らが狂騒に振り回され、利用し、利用されしている中で、実際にどんな思いで対峙してきたかというのが残念ながら伝わりませんでした。それにやはりステージのシーンがまったくないのは拍子抜け。遠目でもいいので、音だけでなく、映像としても観せてくれれば、主人公の達成感、或いは村人にとっての夢のような3日間の集大成的な感傷にも浸ることができただろうにと、残念でなりません。面白い素材でしたが、どうも生かしきれなかったように感じました。ヒッピー男の役でポール・ダノは出演。

 

 

5 プリズナーズ

最後までもやっとしたまま終わってしまいましたが、神父、アレックス、テイラーといった3人の容疑者、そしてホリーの関係性がどうも整理できずに終わってしまいました。子供は結局何のために、そして何をされ、どうやって過ごしていたのか。容疑者たちの異様な生態はぼんやり伝わってくるのですが、どうも核心の部分が明確にされていなかったのが、分かりづらかったです。釈放される第一容疑者をポール・ダノが演じています。

 

6 ナイト&デイ

ど真ん中ストレートのスター映画というものが最近特に少なくなっているように思うのですが、この作品はまさにそのど真ん中を行く作品。ハリウッド映画でないと作れない類の作品ですし、ハリウッド映画に求めるのもまさにこんな作品でしょう。見ている間中は無心に楽しめて、見終わった瞬間にスコン!とすべて忘れてしまう、言ってみれば2時間の夢を見せてくれるような作品。久しぶりにハリウッドらしい作品を観た思いでした。中身なんてさして重要ではありません。そもそもが非現実の世界、つまり夢を見せるのが目的なのですから。ちょっと歳はとってきたけれど、文句なしにスターと呼ぶことができる貫禄十分の二人が主演という安心感もありますし、十分にこの作品の役割を果たしたといえそうです。深みとか社会性とか、そんなものはまったくないですけれどね。天才少年を演じるのがポール・ダノ。

 

7  LOOPER ルーパー

いろいろこねくり回して難しい設定を考えたものだというのが最初の印象で、とにかく主人公の置かれている状況を理解するまでが結構大変でした(二人の自分の容姿があまりに違いますし…)。しかしながら、単純にSFアクション映画としての追いかけっこを楽しむというよりも、母と息子を取り巻く人間ドラマを味わうことが主軸である作品だと分かってからは、一味違うタイムワープものとして、それなりに作品の中に入り込むことができました。それに男の子の不気味な描写には思わずゾクッとするなど、スリリングな展開も一方ではきちんと作られていましたので、結構面白がって観ることができました。あっといわせるような結末の付け方にはいろいろ好き嫌いは出てきそうですが、これはこれでキレのあるオチとして、個人的には「あり」だと思います。

 

8 ルビー・スパークス

一風変わったラブコメディは、どこからが現実でどこまでが創作か、不思議な作品。どうも作り物だと分かってしまうと、ふたりへの感情移入というものが弱まってしまうようで、いまひとつはいりこめなかったです。ポール・ダノが主人公の天才作家を演じた主演作。

 

9 キング 罪の王

グチョグチョドロドロの心理ドラマが展開されます。映画だと分かっているから、作り話と割り切って観られるものの、これが現実であったなら、到底受け入れ難いストーリーです。特にガエル君演じる主人公のしていることにはまったく共感を持てず、その目的を理解しようとすると戸惑ってしまいます。実の父親を探すと、彼にはちゃんとした家庭があった。そこで彼はそこに入り込もうと近づいていくわけなのですが、その相手が父親の娘、つまり自分の妹であった…というところから、期待通りの展開。理解できないとしても、話としては興味を惹かれてしまうのが悲しいサガなのでしょう。大げさな演出は控え、主人公の心理を淡々と描いていることで、かえって涼しい顔をした普通の青年の裏側に潜む狂気のようなものが増幅され伝わってきます。その密かな狂気がスリルと緊張感を生み出し、ラストの衝撃につながって行くのでした。主人公が再会した実の父親のが暮らす家族、優秀な息子がポール・ダノ。

 

10 ラブ&マーシー 終わらないメロディー

天才が抱える天才ならではの悩みというものは凡人には分からないのでしょう。さらにそれを利用して企みを抱える側近のふりをするものも湧き出てくるもので、華やかな世界の裏側の恐ろしさを知らしめされました。一度売れても常にいい曲を売れる曲を出し続けていかなければならなというプレッシャーは相当なものということでしょう。しかしその弱みに付け込んでくるものは必ずいるもので、ポール・ジアマッティの演技のリアルだっただけに腹立たしく感じました。ザ・ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンをポール・ダノが演じています。