●テレビ業界映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

テレビ業界映画 ベスト10

 

テレビ番組の裏側やテレビ局の内部を描いた映画の特集

 

1 ブロードキャスト・ニュース

プロデューサー役を快活なホリー・ハンターのキビキビした動きが非常に印象的なさわやかなドラマ。頭脳はともかく要領と運が抜群で、キャスターとしてあれよあれよという間に昇進していくトム(ウィリアム・ハート)と、実力はあるが要領の悪いニュースライター兼レポーターのアーロン(アルバート・ブルックス)との間で揺れながらも、実力を発揮していくジェーン、この三角関係が織り成す報道局での人間模様が魅力的に描かれていて好感が持てました。

ブロードキャストニュース

 

2 スキャンダル

実際の事件を脚色して映画にしている作品、こんなひどいセクハラが長年に渡ってテレビ局内で横行していたと思うと、なんともやるせなくなりますが、でもそれが事実なのでしょう。権力を振りかざして、仕事と引き換えに性的欲求を満たそうとする男が大会社のトップであり続けていたことで、女性たちにとっては本来の実力とは別のところで評価され、仕事を得たり失ったりしてきたという歪みを生んでいたことも、セクハラだけでなく、大きな罪と言ってもいいでしょう。そのセクハラに対して立ち上がる女性キャスターたちを、3人の女優が熱演しています。それぞれその立ち上がり過程は異なるものの、沈黙から転じていく様子には拍手を送りたくなるものがあります。結末はわかっていても、どのような過程でその結末に繋がっていくのか、社会的な立場の危うさ、マスコミとの確執などの問題もあって、スリリングで最後まで目を離せず、作品としても見応え十分でした。

 

3 恋とニュースのつくり方

何も憂いを持たずに明るく楽しめる映画はいいですね。ニューヨークのテレビ局を舞台に、レイチェル・マクアダムスの明るいキャラクターが作品全体を引っ張り、とにかく爽やかであと味もすっきり!正攻法のサクセスストーリーにラブロマンスをからめ、好感の持てる作品に仕上がっています。ベテランの俳優陣が脇を固め、それぞれが個性を生かした安心の演技。重い映画に疲れた時にはぴったりです。

恋とニュースのつくり方

 

4 さよならテレビ

夕方のニュース番組のメインキャスター、派遣でやってきたばかりの若い記者、ジャーナリズムに大した独自の持論を持つ熱血記者の3人にスポットを当てて、テレビ局の裏側を見せています。作り手からは、特に答えを示すわけではなく、ぼんやりとして今を見せることで、観ている側に何かを感じてもらおうということでしょうか。私がこの映画から感じたことは、やはり視聴率をとるための厳しさです。マスコミの役目として、権力の監視だとか、弱い人を助けるとかいってはいるものの、結局は視聴率がとれなければ、キャスターは交代させられるし、派遣記者は首を切られるということ。数字を取ることが第一になってしまっていることで、向いている方向がちょっとずれてきていると感じました。そのためにキャスターも批判はされても、どこか遠慮がちで、自分を表現しきれていないですし、顔出しNGの映像の処理ミスで顔を見せてしまったりといったミスも出てしまうのではないでしょうか。熱血記者も理想はありながらも、一方で「是非ネタ」にも応じないといけない理想と現実。人の好さそうなアイドルオタクの新米記者君も、番組で取り上げられることを優先した結果の、取材相手とのコミュニケーション不足を起こしてしまうわけで、そう考えると、テレビ局の闇は思った以上に深いのかもしれません。

 

5 クイズ・ショウ

メディアという大きな力の前に翻弄される一般人の姿は、実にやるせなさが残ります。テレビが普及し始めた頃、いわばメディアの力が世を圧倒し始めていく前触れのようなこの時代の出来事を、ロバート・レッドフォード監督がテーマをもって臨んだことが伝わってきます。深く考えさせる作品でした。

クイズショウ

 

6 トットチャンネル

主人公が新しいテレビの世界に入って、この道で生きていこうと決意していくまでのほろ苦い青春の数々を、コメディタッチで、ノスタルジックかつみずみずしく表現しています。大森一樹&斉藤由貴コンビの2作目ということで、前作よりも成長した斉藤を見られます。ややオーバー気味の演技は気にならないこともないですが、相変わらずの個性を発揮している。周りの人物象がもう少し掘り下げて描かれていたら、より味わいのある楽しい作品になっただろうが、それでもテレビ創世記に携わった人々の熱意が伝わって、好感の持てる作品に仕上がっていました。

トットチャンネル

 

7 グッドモーニングショー

ワイドショーで扱うニュースの順番や企画などがどうやって決まっていくのか、番組の裏側を見られたというのがまず面白かったのと、思い込みの激しい勘違いキャスターを演じた長澤まさみがいい味を出していて、特に前半は笑わせてもらいました。ただ人質と澄田との交渉が始まってからは、どこか人情ものの方に走ってしまっていて、笑いの要素は激減。オチもこれといってつかず、なんとなく終わってしまったような形はちょっと残念でした。それでもフジテレビらしい賑やかなキャストと混乱した現場の描写は、気楽に楽しむには充分なものでした。

 

8 ニュースの真相

実話ベースというので興味を持って観ることが出来ましたが、実際に大統領選挙に絡む陰謀や泥仕合は、ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプとの争いを見ても明らかなように、本来の政策論争とは違うところでの争いが、勝敗に大きく左右してくることがあり、疑問に感じる部分はあります。でもこれが現実なのでしょう。ブッシュの軍歴詐欺疑惑をスクープし、テレビ番組で訴えながら、そこで使われた文書が偽造でないかと指摘され、不利になるまでの闘いが描かれているこの作品でも、それは同じ。正対する敵側ばかりでなく、背後からも圧力をかけられ、結果として屈する形になってしまったプロデューサーたちですが、そもそもは敵と見立てるブッシュを追いこもうとも意気込んで集めた証拠を基に繰り出した大スクープだったはず。その気持ちばかりが大きくなりすぎて、僅かに指摘された疑問点も都合のいいようにしか捉えなかったことから起こったほころび。これだけ世界中に監視されている中、報道する側も慎重に慎重を期していかないと、なかなか思い切ったこともできないと思うと、息苦しさを感じずにはいられませんでした。

 

9 アンカー・ウーマン

分かりやすいサクセスストーリーです。男が女を助けるという点で、女性の自立を詠いながらも、どこか男性優位の社会を感じずにはいられませんが、これもまたこの時代の現実なのだろうから仕方ないところかも。ミシェル・ファイファー、ロバート・レッドフォードとも型通りの奇麗な役といってしまえばそれまでですが、ある意味女性にとって理想の出世物語でありラブストーリーであるのかもしれません。全体的にはストレートで奇麗な展開で、あまり奇をてらった部分がないので、良くも悪くもハリウッド的な夢物語という印象でした。

アンカーウーマン

 

10 ネットワーク

どぎつい視聴率競争の裏側をいささか大袈裟気味に描いてはいますが、作り手側の意欲とメッセージを感じる力強い作品になっています。なんといってもフェイ・ダナウェイ演じる視聴率に取り付かれ我を失って行く女性ディレクターの演技が目立ちます。オスカーをとっただけの存在感ある演技でした。また狂気にとりつかれたようなキャスターを演じるピーター・フィンチも、これまたオスカーを獲得しただけある抜群の存在感を見せてくれました。

ネットワーク