●数学の天才の映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

数学の天才の映画 ベスト10

 

数学の天才、数学者を扱った作品の特集

 

1 Gifted ギフテッド

とにかく子役のマッケナ・グレイスの演技が素晴らしく、数学に特殊な才能を持ちながらも、普段は育ててくれるおじになつき、無邪気に踊ったりする姿は意地らしいの一言です。英才教育を施したい祖母に対し、普通に子供らしい生活を望む息子である主人公。かつて主人公の姉に英才教育を施し、数学の才能を大いに伸ばしながらも、自殺で失っていた二人。懲りない母親に対し、金はなくても友達のいる環境で育てたいと願う息子の対立は、裁判所で争うこととなり、親子の争いとしてはかなり辛いもの。その中で自分の育て方に自信を無くし、取引に応じて里親に預けてしまうのも仕方ない話かもしれません。それでも結局姪っ子が大好きなのはおじさんであるわけで、里親に預けて別れるシーンは、本当に涙を誘う場面でした。そしてそれを演じたマッケナちゃんの演技が実に圧巻。けっして派手ではない作品ですが、心に染み入るように響いてくるのは、彼女の演技によるところも大きかったのではないでしょうか。良い作品でした。

 

2 ラスベガスをぶっつぶせ

天才的な数学の才能を持った学生である主人公が、その才能をギャンブルに生かさないかと教授に誘われ、ラスベガスに乗り込みます。このギャンブル映画はなかなか面白いのではないでしょうか。展開自体はこの手のもののほぼ常套手段を使った構成ながら、勝って負けてリベンジしての期待通りの組み立ては、なかなか痛快。「ブラックジャック」の遊び方を詳しく知っていればより楽しめただろうことはありますが、知らなくてもどういう状況かは分かりますし、それほど苦にしないで観ることはできます。地味な工科大学のキャンパスと、派手できらびやかなラスベガスとを行ったり来たりしながら対比させる効果で、夢と現実を行き来しているような感覚にもなり、ついつい成り行きに引き込まれてしまいます。

ラスベガスをぶっつぶせ

 

3 アルキメデスの大戦

戦艦大和の作られた裏側にこんな二転三転のドラマがあったとしたら面白いなと思います。そんな空想を膨らませたような世界が繰り広げられ、特に菅田将暉演じる数学の天才の見事な瞬時の判断は、夢が膨らむような思いです。コンピュータのない時代にそんな天才が実在して、戦争を止められることができたのなら…。しかしながら一方で戦争へと突入していった当時の軍国主義の前では、どんなことも結局は無力で、大きな波は止められなかったのだという諦めのような思いもこの映画はもたらせます。国威発揚、戦意高揚の象徴として作られた巨大戦艦が、実は沈没することまで予め想定されて作られたもので、その沈没をきっかけに戦争を飽きられてもらえたら…裏にそんな思いが本当にあったとしたら、それはそれで興味深い事実にはなったでしょう。

 

4 武士の家計簿

森田芳光らしいユーモアセンスがあちらこちらに散りばめられたホームドラマ風時代劇といったところでしょうか。堺雅人が天才的な数学感覚を持った武士を演じています。今の時代ではほぼ壊滅寸前状態になってしまった家長としての強い責任感、子孫代々にまで財産としてお金ではない財産を残していこうという心意気、そんなものを強く感じながら、現代人もそういったものをまた思い出していくことも大事なのではないかと考えさせられました。ただ作品としては無難にまとめた感じで、これといった山場がないまま、長い時間の経過をわりと淡々と綴っていったような印象です。刀を抜くことのない時代劇はさほど珍しくなくなってはいますが、その分見せ場が弱いので、見せるための作品としては、もう一工夫欲しかったかもしれません。

武士の家計簿

 

5 奇蹟がくれた数式

実話に基づく作品ということで、戦前戦中にインドから英国にやってきて数学界に貢献した青年がいたこと、そして志半ばで病気で他界してしまったことに、まずは驚きを覚えました。独学で学んだというインド人の彼はおそらく天才という言葉で括られていい人物だったのでしょう。ただ如何せん教育をちゃんと受けていないということで、招いた教授がそのあたりの教育とフォローをすることで、世間で認められる発表に至ったということで、まさに二人三脚の成果だと言えそうです。一方で当時としては手紙でのやりとりしか連絡手段がない中、遠い故郷に妻を残してきた寂しさ。そして送った手紙が届いていないという行き違いにより、焦燥していく彼と妻の様子にはまた観ていてやるせないものも感じました。文化の違い、人種差別、教育のなさ、家族がそばにいない寂しさ、そんな困難や辛さを乗り越えてのこの結果は見事だといか言いようがありません。もし彼が再び、今度は妻を連れて英国に戻っていたとしたら、それを想像するだけでもまたワクワクするものがありますが、それも叶わないことでした。

 

6 博士の愛した数式

寺尾聰・深津絵里・吉岡秀隆・浅丘ルリ子…。考えてみればこのキャスティングを聞けばだいたい映画の雰囲気は想像がつきます。要するにそんな感じの真面目でしっとりと落ち着いた映画です。そういう意味では期待を裏切りません。良い話です。数学というものに対し興味を持ってくれるように丁寧に描いているのは好感が持てます。そう言う意味では、多少不適切な部分もあっても、子供達にも観てほしい映画だなとは思います。学生時代を少し思い出してしまいました。

博士の愛した数式

 

7 イミテーション・ゲーム エニグマと天才科学者の秘密

英国が50年以上も隠し続けてきたエニグマ暗号読解の裏側。そのことを知らしめてくれる映画ということで、知的満足を満たしてくれる作品ではありました。密室でしかも世間から隠れた作戦なので、動きとしては至って地味。しかも具体的にどんな作業をしているかまでは、到底映画で説明できるようなものでもないのでしょう、そのあたりのどうしても表面的な描写になってしまうところがこのテーマの限界なのかもしれません。カンバーバッチの超天才の同性愛者という役柄はうまく演じていて、真実味のあるキャラクターになっていたと思います。前半眠ってしまったのがちょっと残念。ベネディクト・カンバーバッチが天才数学者の主人公を熱演。

イミテーション・ゲームエニグマと天才科学者の秘密

 

8 ビューティフル・マインド

これがアカデミー作品賞を受賞したかと考えると拍子抜けしてしまうような平凡な作品に思えました。確かに映画としては流れもスムーズで、観ていて飽きることはありません。しかしそれを越えて情感に訴えてくるものがないのです。一人の変わり者の数学者の幻覚への悩みと妻との関わりを描いているのは分かるのですが、それだから?とつい問うてしまいたくなるのですよね。ラセル・クロウもジェニファー・コネリーも頑張ってはいますが、結局は数学者の業績や成功はほとんど描かれておらず、内面の葛藤ばかりを扱っているところに、いきなりノーベル賞という大成功のクライマックスを持ってこられても、正直ピンとこないのです。

ビューティフルマインド

 

9 星に想いを

数学者と婚約した、自身も数学者の主人公をメグ・ライアンが演じたラブ・コメディです。頭をよく見せるための嘘はありがちですが、それがみんなでやれば怖くないという感じで、ばれそうになるのを必至に取り繕う様が可笑しかったです。ただ、ティム・ロビンスはこういった役には合わない印象。なんだかんだいっても当時のメグ・ライアンは最強でした。

星に想いを

 

10 グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち

マット・デイモンが数学の天才を演じた繊細な青春ドラマです。たびたび問題を起こしてきた主人公が、大学の教授や友人、ガールフレンドらとの交流の中で、少しずつ人として成長していく様子を描いています。マット・デイモンとともにベン・アフレックを世に送り出した作品といってもいいでしょう。一方でロビン・ウイリアムスのその後を思うと、この作品はとてもせつなく感じられてきます。

グッドウィルハンティング旅立ち