●小林桂樹 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

小林桂樹 出演映画 ベスト10

 

今回は社長シリーズなどで活躍した俳優さんです。

亡くなって10年以上経つのですね。

 

1 女の中にいる他人

小林桂樹主演。最初から最後まで、常に緊張感の漂う繊細な心理描写が見事な心理ミステリー。親友の妻と情事を重ね殺してしまった男、黙っていることができずに、妻、親友と打ち明けても心は晴れない。やがて自首を決意しますが、自分や子供を守るために妻は夫を自殺に見せかけて殺してしまいます。黙っていれば分からないという心と、良心の呵責とのせめぎあいの中で、次第に良心の部分が大きくなってくる男でしたが、それと逆行するように、真実を知った妻が隠そう隠そうという気持ちが強くなっていく妻の対比が見事。皮肉にも最後は夫と同じ痛みを抱えることになってしまったところで映画は終わりましたが、それまでの移行も上手い。いつも穏やかな妻の中に潜んでいた冷酷な「他人」。自分や子供の身を守るためにはどんなことでもしてしまうのです。大きなアクションのある映画ではないにも関わらず、観ている者を画面から引き離さず、じわじわと揺れ動く夫婦の心のうちを見事に表現している成瀬巳喜男の力を感じさせられました。

 

 

2 八甲田山

まさに力作という言葉が相応しいスケール感のある映画。大半が冬山でのシーンで、死と背中合わせの中必死に任務を遂行しようとする男たちの必死の様子が臨場感をもって伝わってきます。映像的に迫力のあるものになっていて、観ていて惹きつけられていきました。物語は史実に基づいているため、わりと有名な話ではありますが、説得力があるのです。今とは時代も違い、どうしてここまでしないといけなかったのか、というのは感覚的に理解するのは難しいかもしれないですが、使命を追って男たちが自然の難関を克服し、無事目的を達成しようとする男意気というものは充分に響いてきました。小林桂樹は津村中佐役。

 

 

3 黒い画集・雨サラリーマンの証言

小林桂樹が主人公のとある会社の課長を演じています。良心と自己保身の間で揺れる主人公の苦悩が伝わってきますし、自業自得ともいえる結末のやるせなさと皮肉も冴えています。さすが松本清張といったところでしょう。ドラマでありながらエンタテイメントとしても見せてくれる力のある作品になっていました。

 

 

4 名もなく貧しく美しく

家族の歴史を描いた一代記といいましょうか。いろんな苦難を乗り越え、ささいな喜びを得、そしてまた辛い出来事の繰り返し。しかしながらそれでいても、支え合って生きる二人を見ていると、家族の良さと言うものを実感するわけです。貧しくても美しく生きる、まさにタイトルどおりのドラマでした。小林桂樹は夫となる男性を演じています。

 

 

5 けものみち

愛欲と権力にまみれた大人のどろどろの世界が繰り広げられ、特に後半は次から次へと人が死んでいき、めまぐるしい展開。松本清張の匂いがプンプンと匂ってくるような官能ラブサスペンスになっています。池内淳子が妻役を熱演しています。小林桂樹は刑事を演じています。

 

 

6 日本のいちばん長い日

歴史的な一日を描いた作品として非常に興味深い内容となっています。すんなりと降伏に至ったわけでなく、強力に抵抗する軍部や自殺するものなど、陰ではさまざまなドラマが渦巻いていたことを知らし召され、衝撃さえ受ける内容でした。キャストも男優勢ぞろいといった様相。特に狂人のようにポツダム宣言受諾に反対する2人の軍人の狂気の行動が強烈に印象に残りました。小林桂樹は徳川侍従を演じています。

 

 

7 日本沈没

今観てしまうと特撮はかなりちゃちではありますが、それ以外については奇想天外であったリメイク版より重厚ですし、リアリティも感じられます。この時代としてはかなりの大作だったことでしょう。小林桂樹は田所博士役。

 

 

8 激動の昭和史 沖縄決戦

沖縄にスポットを当てた大作です。軍人も地元住民も悲惨な戦争に巻き込まれ、国の為にといって若い命を次々と犠牲にさせていく惨状は観ていて辛く酷いばかり。題材が題材だけに、戦争映画の中でも殊に主観を挟むことなく、淡々と戦況を追っていますが、それだけに余計にこれらの史実に苦しくなります。主人公の中将が小林桂樹。

 

 

9 続サラリーマン清水港

小林桂樹演じる秘書課長の恋愛沙汰が中心となり、ちょっとのことで落ち込んだり、すぐ元気になったりと現金なもので、それが楽しくて最後まで観てしまいました。そしてもうひとつ、借金の返済に関するライバル会社との裏でのやりとりの経緯も、結末はわかってはいても展開が楽しくて、今作は余分なこと考えずに楽しむことができました。

 

 

10 紳士同盟

ラストは大団円で丸く収まるまでの準備や駆け引きを、見せる部分と見せない部分を混ぜ合わせて、登場人物も、観客も一緒に騙してしまおうというコン・ムービーの一種といっていいでしょう。バブル絶頂期直前の時代の空気があちらこちらに垣間見え、当時の浮かれた雰囲気が、よりこの手の金に絡む詐欺にとっては、取り組みやすくしていたのだろうなと思ってみたりもしました。脇役にもかなりのメンバーが揃い、アイドル映画とは思えない演技派そろいのキャストではありましたが、作品的にはそれなりに面白さはありますが、毒や刺激はわりと少なく、展開的にもわりと想像してように進んでいく部分はありました。