ファン・ジョンミン 出演映画 ベスト10
韓国映画を観ると、たびたび目にする俳優さんです。
日本の伊原剛志にちょっと似ていると思っています。
1 国際市場で逢いましょう
主演ファン・ジョンミン。これは韓国人々にとっては琴線に触れる物語であることは間違いないのでしょう。朝鮮戦争による南北分断、海外での出稼ぎ、ベトナム戦争…と国が発展する家庭での近代の歴史的出来事と、そこで生きてきた家族のドラマとが重なり、なんともいえないノスタルジーを感じるであろうことは想像に難しくありません。韓国版「三丁目の夕日」というのもうなずけます。日本人にとっての東京オリンピックや東京タワー開通、高度成長などの出来事が、韓国人にとってはそういった出来事になるのでしょう。朝鮮半島特有の事情も重要な要素となって、テレビを通しての兄妹の再会は、演技と分かっていても感動ものでした。
2 新しき世界
韓国映画らしい強引すぎるぐらいの力強さがある面白い作品です。物語の進行とともに緊張感が増していく中、どんどんとストーリーに引き込まれていきました。これが完全にオリジナルのストーリーであったなら大絶賛といきたいところではあるのですが、設定から進行、結末から構成まで、どうしても『インファナル・アフェア』とかぶってしまう部分は否めませんので、そこにちょっとずるさは感じました。それでも刻々と観に迫ってくる緊張感に対するイ・ジョンジェの表情の見せ方が見事で、それだけでもスリルを煽るには充分。とにかく濃いキャラクターが次から次へと登場して主導権を争う様相は、マフィア映画ならではのもの。質はともかくスリルがあって面白い映画を観たいのであれば、この映画は「あり」でしょう。組織のNo.2的な役をファン・ジョンミンが演じています。
3 甘い人生
当時の宣伝は恋愛映画のようなかんじでありましたが、内容はハードボイルド・バイオレンス。過激な殺し合いやリンチシーンが続き、思わず眼を背けたくなるシーンも多々あるのですが、ひきつける力はたいしたもの。やくざの世界の厳しさとその中で生きていく術、そんな一匹狼のような男の生き方をイ・ビョンホンが凄まじい演技を見せてくれます。残念なのは、主人公が3日間で惚れるほどの魅力がヒロインに感じられなかったことと、社長がヒロインの裏切りに気づいたきっかけとその後の描き方がはしょりすぎていること。ファン・ジョンミンは社長役。
4 哭声 コクソン
ボリューム感がある上におどろおどろしさが常に継続し、怖さの面でもかなりのもの。田舎の粗野な警察官の娘が悪魔の標的にされ、汚い言葉を吐いて叫んだり、隣人に大けがを負わせたりと、とんでもない言動を取り出した頃からその恐怖も増幅。さらに終盤は二転三転する展開で、いったい誰が悪霊使いで、誰がグルで、誰が味方なのか、さっぱり混乱してくるようなラストに、また後味の悪さとすっきりしない感じを残しての終了。しかしそれもまた作り手の術中にはまっている証拠ともいえるかもしれません。祈祷師と日本人がグルで若い女は助けようとしていたが、それを守らずに帰ったためジョングは家族を失った…と単純にいえるような構図ではどうやらないようで、國村隼演じる日本人は、見る者の信じ方によって姿を変えるのだという捉え方もできるということで、結局謎は謎のまま今も残っています。でもそのようにいつまでも考えさせるということは、映画としては面白かったということもいえるのです。祈祷師役でファン・ジョンミンは出演。
5 ユア・マイ・サンシャイン
一目惚れした彼女が、売春行為をしてようと、冷たい態度をとられようと、昔の男が現れようと、エイズになろうと、黙って姿を消そうと、再び売春に足を染めようと、逮捕されようと、面会を拒絶されようと、とことんまで愛し続ける主人公(ファン・ジョンミン)の強い愛情には恐れ入ります。ここまでされてもなお一人の人を愛し続けるということは、正直なところ完全に理解はできないのですが、これだけ真っ直ぐに気持ちを貫く姿を見せ続けられると、最後には嫌が上でも応援してあげたくなります。ようやく叶った刑務所での面会シーンは、この映画のハイライトでもあり、二人の心が通じ合う場面として、感動を誘ってくれました。映画の流れには起伏がありますし、その中で二人の、特にチョン・ドヨン演じるヒロインの心の変化をうまく映し出しているので、自然にスクリーンの中に引き込んでくれます。ただ、2時間2分は若干長く感じ、あと10～15分ぐらい短く纏めると、よりしまった作品になったようには思います。
6 華麗なるリベンジ
韓国映画らしい力技の法廷復讐劇が描かれています。罪を着せられた検事(ファン・ジョンミン)が5年後に詐欺で収監された男と組んで、見事に自らの罪を晴らし、最後はスカッと快活な気分で観終えることができます。まあどいつもこいつも金や地位に目がなく、警察内部はどうしようもない者ばかりというのがいかにもという印象はありますが、これも韓国映画では定番です。最後は突然飛び道具の新証拠が出てきてずるいとは思いますが、娯楽作としては楽しく観られるものになっていました。
7 工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男
ファン・ジョンミン主演、実在のスパイを描いているということで、背景の出来事も実際の南北朝鮮史となっているため、驚きの出来事がリアルに感じられる作品です。当然、相手にいつばれるかというスリリングな展開がみられるのですが、加えて南北と別れていても、人の心は通じ合うものだという、南のスパイの主人公と、北の対外経済院会の所長との交流のドラマも盛り込まれ、作品的にはボリューム感のあるものになっています。金正日を演じるのがそっくりさんで、その金正日との接見シーンでは、かなりの緊張感。なんとか切り抜けると、観ている側もほっとした気持ちになります。朝鮮半島ならではの特有の緊張感のある政治事情の中、それぞれ国家を背負って活動する二人の心情は理解できますし、行動と思想が必ずしも一致しているわけではないことも、その任務を苦しくしているようで、時折切なささえ感じてしまうほど。見ごたえのある作品でした。
8 ハピネス
ホ・ジノらしい唐突のラストは賛否がありそうだが、はかない時限の愛を描いたらやはり上手。切ない恋心が伝わってきました。ま、定番中の定番、若いカップルの病気ものといってしまえば、それまでですが…。カップルの男がファン・ジョンミン。
9 ベテラン
正義感にあふれているけれども頑固で融通の利かない刑事と、金の力にものを言わせて好き放題し続ける財閥御曹司。見ている側は当然刑事に肩入れしたくなるほど、適役の御曹司はひどい人物とて描かれ、さらには警察さえも踏み込めない財閥の力にも歯がゆい思いでいっぱいになります。その中で独りで大きな力に挑み続ける主人公(ファン・ジョンミン)には拍手を送りたくなります。最後はざまあみろでしょ。
10 シュリ
今では当たり前に韓国映画を観ることができますが、シュリが公開された当時は、韓国映画が全国ロードショーになるということ自体が珍しかった時代。それだけ日本においてこの作品が果たした役割は大きかったのです。作品自体はノーマルなアクション映画ではあるのですが、南北問題という韓国特有の現実的な問題が絡んでくるので、作り物の物語よりも、もしかしたらあり得るかもしれないというリアリティを含んだドラマとして訴えかけるものがありました。捜査班の一人としてファン・ジョンミンは登場。
