前田敦子 出演映画 ベスト10
いつの間にか出演作品数も増えていました。
けっして演技が上手というわけではないですが、
それ以上に独特の雰囲気を持っている女優さんだと思います。
1 散歩する侵略者
黒沢清らしさとらしくなさの混在したような作品は、SFスリラーの体を取りながらも、観方によってはコメディとしても捉えられる、なんとも捉えところのない映画となりました。ストーリー展開としてはいつになくわかりやすく、人間に寄生して人間というものを学びながら、侵略に備えているという状況。3人の宇宙人と人間とのかかわりを中心に物語は進んでいきますが、途中からなにやら国が動いている様子が顕著になっていきます。そあたりから、本当は宇宙人ではなくてウイルス性の感染症なのかとも思ってくるのですが、そうするとまたつじつまが合わないことが出てきて謎が深まるばかり。女子高生がいとも簡単にマシンガンやピストルで人を殺したり、会社のお偉いさんがオフィスではしゃぎまわったりと、ブラックな笑いに通じるシーンも多く、メリハリのきいた展開もまた黒沢らしくないところだったかもしれません。結末のつけ方もまた人間にとっては皮肉なラストに。ヒロイン長澤まさみの妹役が前田敦子。
2 あしたの私のつくり方
学校に行けば明るく楽しい人気者を演じ、家に帰れば素直で良い娘を演じ、では本当の自分はどれなの?そういう悩みは、特に思春期にはつきものかもしれません。大人になれば、会社で役割を果たす自分、家庭で役割を果たす自分、友人たちといる時の自分、趣味を楽しむ時の自分、どれもが本当の自分であることは自然に分かってくる(ある種のあきらめといいますか、割り切りのようなものかも)場合が多いのでしょうけれど、この映画では二人の少女がいろいろ悩み傷ついた上にその結論にたどり着くまでを描いています。映画初出演の前田敦子ですが、決して演技はうまくないものの、映画が進むにしたがって、この役柄に見事にはまっていることが分かります。醸し出すムードも、どこか大人っぽい成海璃子に対し、舌足らずで朴訥とした前田の雰囲気は対照的で、そのコントラストが素晴らしくいいバランスに感じました。話題作ではなかったですが、観て良かったです。
3 那須少年記
見所がなかなかたくさんあって、じんわりきました。特に出会いと別れのシーンがふんだんで、特に先生とのシーンは感動的。ちょっと頼りないけど一生懸命に生徒を信じる大月先生、まだあどけない前田敦子、杉本哲太の暴力教師ぶり、つぶやきシローが教師役という意表、そしてぶつかり合っていた主人公オサムとアキラの友情。背景も手伝ってとても懐かしいにおいのする素敵な作品でした。
4 イニシエーション・ラブ
この原作をどう処理するかと思ったら、なるほどそうしましたか。考えましたね。日付に年を入れないで月日のみにしたところがみそですね。80年代の小道具をふんだんに盛り込んだところは、その時代に青春時代を送った者としては、くすぐられるところはあります。使われる音楽が必ずしも86から87年という時代に合致しない者がいくつかあったのは残念で、そこまで徹底してほしかったというのはあります。それにしてもマユという女(前田敦子)の怖さ。一方で堕胎までして捨てられた可哀そうな女性を演じながら、並行して恋に奥手な女性を装い男を引き寄せる悪女ぶり。子供かと思わせておいて裏の顔は…。二人に「初めて送るの」と言って同じプレゼントをあげるのは、これ以外にも同じ手を使っているのではと思わせます。言い間違いがないように、無理やり同じ相性で呼び、間違いを起こさないようにする用意周到さ。一方でルビーの指輪を返すところなんかは、金や物が目的でもないらしい。いったい何を考えていたのか。ラストに見せる微笑みの恐ろしさよ。
5 町田くんの世界
最後の風船をもって飛ぶ展開は、現実的な世界から急にファンタジーの世界に飛んでしまい、戸惑ってしまいましたが、それまでの展開は「恋って何?」「好きってどういうこと?」から始まり、先に恋心に気づいた女の子を男の子が追いかけるという展開で、純な青春ラブコメ映画をあじわうことができました。無名の新人二人を主役に抜擢しながら、脇役がとにかく主演級の俳優がずらり。しかも高校生の役にアラサーの男女がずらりと並び、このあたりは監督の遊び心にも感じられます。前田敦子、岩田剛典、高畑充希あたりは実にいい味を見せていました。自分よりも人のことばかりを優先させてしまう町田くんが、自分のことだけを考え始めた時が恋の始まり、ということで、初々しい二人をとにかく応援したくなるような、そんな映画でした。
6 もらとりあむタマ子
山下敦弘作品の初期の頃の心地よい緩さを久しぶりに感じさせてくれました。なんでも撮れる監督なので、ヒロインが着実に成長していくような明確な展開なのかなと思いきや、起承転結のないぼやっーとした以前の山下節。そこが好きか嫌いかはともかくとしても、この味はやはり山下監督ならでは。そしてそこにまさか前田敦子がはまるとは思いませんでしたが、それがピタリなのですよね。『苦役列車』を観ても、監督と女優としての相性はかなり良さそうですね。脇役の使い方もうまく、特に中学生の男の子との掛け合いは絶妙。ずっと年上の女性に「タマ子」と呼び捨てにするのもまったく違和感なく観られてしまうのですから。わりきって短くまとめたのも「○」でした。
7 もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
作品としての質はともかく、アイドル映画、或いは青春映画としてはツボを押さえたものになっていますので、知らず知らずに彼らの奮闘ぶりを応援したくなるような気持になって鑑賞できました。ベストセラーになってほとぼりが冷めないうちに映画にしてしまえ!というこの手の企画、なかなか時間も予算もないでしょうから、その割に手堅くまとめきったのは、さすが東宝ではあります。ただやはり雑さは否めず、特に映像面においてはそれが顕著です。決勝戦のスタンドの様子はひどかったですし、野球部のメンバーの動きも、短期間での付け焼刃という印象は拭えません。もう少し時間をとれる企画であったなら、もしかするともっといいものになっていたのかもしれないとは思いました。あと、そもそも原作は峰岸みなみをモデルに書かれたということで、なんで主役を前田敦子にしたのだという思いもないではなかったのですが、スクリーンを観て納得。やはり持っている「華」が違いました。
8 マスカレード・ホテル
原作が東野圭吾ということで、その点でまず安心。映画化の実績が多く、いずれもちゃんとしたものになっているからです。そして今作も、殺人事件捜査を主軸にしながらも、単なるサスペンスやミステリーとして終わるのではなく、事件の捜査とは関係ない客とのエピソードを挟むことで、ホテルマンとしてのプロ意識と矜持を浮き彫りにする人間ドラマとしてもきちんと見せてくれるのです。キャストも豪華。ちょっとだけしか登場しないお客様役も含め、ホテル側、刑事側もそうそうたる面々。その中でも松たか子の老婆の変装姿も、1回目に登場した時にはわかりませんでした。原作の魅力を損なわずに、よくまとめたし思います。披露宴を挙げる新婦役で前田敦子は出演。
9 シン・ゴジラ
日本映画としてはスケール感もあるし、カメオ的出演まで含めて、登場するキャストもかなりのボリューム。力の入れようがヒシヒシと伝わってきました。ゴジラの顔がいまひとつコミカルだったりとか、大杉漣演じる総理大臣がまったく自分の意志がなく頼りなかったりとか、どこか抜けているような部分もありましたし、放射能をレーザービームのように発するゴジラの姿は、どこか機械的で生物感を感じられなかったりと、必ずしも期待どおりなことばかりではなかったですが、それでも常に緊迫感のある中で奮闘する若き政治家たちの姿は、それなりにワクワクさせられるものはありました。避難民の一人として登場の前田敦子。
10 苦役列車
その場しのぎで毎日をなんとかやり過ごすだけの毎日を送る主人公には、なんとかしろよと、尻をたたきたくなる気持ちで観ていましたが、いつまで経っても進歩がない様子にはいらいらし通し。同じように日雇いを続けていた唯一の友達にも、少しずつ差を付けられても、ただ不機嫌にひがむだけで、自ら状況を打開しようという意気もないのですよね。もっともあんなことばかりしていれば、友達にも女の子にも逃げられてしまうのも当然。そんなダメダメ男を、森山未來がリアルに演じていたと思います。上手でした。物語の展開としては、最後の最後でようやく僅かに前向きな姿がみられる程度で、気持ちが盛り上がらないままではありましたが、1986年に19歳、実は同い年と思うと、貫多くんが愛しく思えてきました。主人公が一目ぼれする古本屋の店員を前田敦子が演じています。
11 旅のおわり世界のはじまり
12 さよなら歌舞伎町
13 コンフィデンスマンJP
14 探偵はBARにいる3
15 コンフィデンスマンJP プリンセス編
16 食べる女
17 素敵なダイナマイトスキャンダル
18 武曲 MUKOKU
19 のみとり侍
20 葬式の名人
番外 DOCOMENTARY OF AKB to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うだろう?