●黒田大輔 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

黒田大輔 出演映画 ベスト10

 

知る人ぞ知るパイプレイヤー。

出演作多数。

 

1 うた魂♪

実は私、小学生のときに合唱の経験があります。四年生の時、新しく合唱部を創設するということで、各クラスから数人ずつ指名され、強制的に入れられたのがそもそもでした。NHKコンクールの予選に出るために夏休みに毎日練習に通ったこと、出場メンバーにギリギリで選ばれたこと、ステージに上がる前の緊張感…ついつい思い出してしまいました。また高校の時には、毎年秋にクラス対抗の合唱大会が開かれ、上級生になるほどレベルが高くなり、特に三年生の時は受験を控えた時期にも関わらず、放課後みんなで練習したことも思い出してしまいました。合唱というもには、ソロや少人数で歌うものとはまた違った不思議な力があるもので、この映画でもそんな力が充分に伝わってきて、とても心地よい気持ちになれました。喫茶店のマスター役で黒田大輔は登場。

 

2 横道世之介

懐かしくて、微笑ましくて、そしてせつない、まさに「CHA-CHA-CHA」や「MONOTONE BOY」がヒットしていた時代に、地方から上京して大学生活を送っていた身にとっては、たまらない青春映画です。2階建ての木造アパート、シャツインのファッション、連絡は固定電話、ねるとん、車…まるでタイムスリップをしたように、心はあの頃に連れて行かれました。バブル景気で世の中全体が浮かれている時代、そんな雰囲気もあちらこちらに出ていましたね。そんな背景の中での二人の恋愛模様も、進んだり止まったりで、どこかもどかしい感じが微笑ましかったです。そんな青春時代に差し込むように、10数年後に思い出として世之助が語られ、そして消息が明らかになる構成も、懐かしさを誘いました。

 

3 のぼうの城

野村萬斎でなければこの映画はまったく別のものになっていたでしょうね。彼の飄々とした個性が十分に生かされた、華やかでスケール感があり、それでいてユーモアたっぷりの楽しい時代劇に仕上がりっています。特に田楽を演じるシーンは圧巻、素晴らしかったです。それにお殿様が実に魅力的なのですよね。結局最強の戦術は人々を惹きつけ、自分のためにならひと肌脱いでも構わないという人心掌握が一番とでもいうような、長親のリーダーぶりは、ある意味勉強にもなりました。作品としても 2時間半近い長さの映画にも関わらず、全く飽きることなく、最後まで集中して楽しく観られました。黒田大輔の役名服部大五郎。

 

4 バースデーカード

出てくる人物がみんな優しくて、温かくて、好感度の高い映画です。主人公一家に限らず、恋人となる同級生、近所のおばさん、母親の故郷の友人たちと、みんな情に厚く思いやりにあふれた人たちです。娘の誕生日毎に手紙を残して亡くなった母親の優しさと無念さ、その言葉に従い、そして成長とともに反発心も芽生え、それでも母の気持ちを再認識して再び受け入れる橋本愛演じる娘。そんな娘を優しく、時に厳しく見つめる父、そしてマイペースの弟。手紙のやりとりの叙情的な前半、中盤のあとに、突然世俗的なクイズ番組のシーンはやや雰囲気が変わって違和感を覚えないではなかったですが、結婚式では再度手紙が登場し、最後は良かったねと心から思えるような終わり方。けっしてこなれた作品ではないとは思いますが、でも観ていて心地よいものになっていました。

 

5 天然コケッコー

のんびりした幸福感に包まれるような穏やかな映画で、ひとときの間、アスファルトの中に囲まれた日常を忘れさせてくれました。小学生から中学生まで合わせて7人しかいないという田舎の学校を舞台にした微笑ましい初恋を描き、どこか懐かしさも感じさせてくれます。草原の中に人が踏み歩いて自然にできたような野道、人通りが少なく荒れかけている橋、その間を走る一本の線路(これは「スタンドバイミー」を彷彿させます)、野道を歩いた先に開ける海、天道虫や蟹、つくしといった自然…、こうした風景がまだ日本に残っていたのだと思うだけで、不思議とほっとするのです。こうした自然の中で小さい子から大きな子まで毎日一緒に仲良く過ごして育った子供たちは、心も大らかに育っていくのだろうな なんて、そんなことまで想像してしまいました。黒田大輔は先生役。

 

6 アウトレイジ

組織の中での昇進と保身のために、それまでの敵味方を関係なく殺しをエスカレートしていく登場人物たち。そして、その殺し合いによって、絡み合った複雑な関係が露になりながらも整理されていく過程。北野映画としては久しぶりに娯楽色の強い作品になり、しかもいつも以上に物語の展開を饒舌に語ってくれましたので、とにかく面白かったです。予想のつかない展開で、飽きることなく最後まで観ることができました。もちろん殺しのシーンの戦慄さは健在どころかますますエスカレートし、ほんとにここまでする必要があるの?と思わないではないですが、そのバイオレンス性も北野映画の特徴。ここ数作、その部分がやや影を潜めていたということもあり、目を背けたり瞑ったりの鑑賞になったにも関わらず、「待ってました!」という感覚にもなりましたね。

 

7 キツツキと雨

やっぱり役所広司のコメディセンスは抜群だと、改めて感心させられました。映画についてまったく知識がないのに、知らない間に映画の撮影にのめり込んでいく山の中に暮らす木こり。その木こりが真剣だからこそ、そこに生み出される独特のとぼけた空気感、それを生み出す絶妙の演技はさすがというしかないでしょう。この作品の持つ間合いというものを十分楽しませていただきました。それと同時に映画に対する愛情も感じられて、映画好きとしては、こういう作品には心地よさを覚えます。監督の成長とともに、撮影現場に流れる空気感も和んでいく様子がまた良かったです。黒田大輔は助監督を演じています。

 

8 人生、いろどり

いくつになっても何かの役に立ちたい、そんなおばあちゃんたちの意欲が前面に表現されて、素敵な作品になっていたと思います。子供たちからは世話をかけないで欲しいと厄介者扱い、ブライドばかり高い夫からは自分の目障りにならないで欲しいと邪魔者にされ、親に対してはいつまでも期待に応えようと虚構で塗り固め…、そんな中で見つけた楽しみであり生きがいとなりうるニュービジネス。それまでの鬱屈した思いを吐き出すように、生き生きと動き回るおばあちゃんたちがかっこいい!そして何より、失敗しても、予期せぬ災難にあっても、やめないで立ち向かっていく姿は、人としての生き方のお手本にさえなりうるもので、若い人達にも通じる人生の指針といっても大げさではないように思います。一方で、起業映画としても、ヒントになる要素がたくさんありましたね。アイディアを実際にお金にするために必要な行動、姿勢、そんなこともこの作品が教えてくれるのではないでしょうか。

 

9 恋人たち

黒田大輔がメインキャストの一人を演じた貴重な作品。3人の主人公が世の中の理不尽さや思うようにならない日常に苦しむ姿が、生々しくそしてリアルに伝わってきます。主人公の3人はいずれも無名俳優を配しているので、余計にその生活感はリアル。3人の抱えるものはそれぞれ全然違うものですし、生活レベルもスタイルも違うのに、3つのエピソードがまったく違和感なく調和し、1つの作品としてまとめ上げているところがさすが橋本亮輔というところでしょうか。愛する妻を理由もなく失った上だれもその復讐に手を貸してくれない。やけになってクスリに手を出そうとしたり手首を切ろうとしてもダメ。何をやってもダメ。しかしそんな彼を認めてくれるのが人のよさそうな上司なのです。その上司はかつての暴挙で腕を失っているのですが、それに対し影を感じさせず、明るくふるまう姿が、一筋の光に感じられます。また田舎のパート主婦。知り合った取引先の男に惹かれ、家族を捨てる決心をしたものの、たまたま寸前でそれが正しくない選択であることを知らしめされ、何もなかったように元の生活に戻るのですが、日常の鬱屈感がストレートに伝わってきて、観ていて息がつまりそうにもなりました。そしてゲイの弁護士。保身のために仕事では依頼者には冷たくあたりながらも、内心では片思いの相手に愛情を密かに求めている苦しさ。最後の最後になって3人に刺した一筋の光が救いでした。

 

 

10 モリのいる場所

沖田修一監督の演出の巧さと、夫婦を演じた二人の芸達者ぶりで、実に味わいのある作品となっています。変わり者夫婦とそこに集まる人々の日常を描いただけの、特別な出来事の起こることのない映画なのに、退屈することなく、スクリーンに魅入られてしまうのです。時にドリフターズの会話のあとに、コント劇お約束のくしゃみたらいの落下という、まるでギャグ映画の演出を施すなど、サービス精神も旺盛。偏屈で変わり者の画家に、いつのまにかみんなが引き付けられていく理由が、よく伝わりました。