●木野花 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

木野花 出演映画 ベスト10

 

ベテランパイプレイヤー女優として長年活躍を続ける木野花の特集。

 

1 明日の記憶

若年アルツハイマーという深刻なテーマであり、いつ自分や周りにふりかかってくるかもわからない問題でもあります。ただしその描き方に、あまり強烈な刺激を与えるでもなく、無理に泣かせようとするでもなく、病気は病気として事実を受け止めながらも、どこかに生きがいを見出せるような暖かさが感じられるのです。現実はもっともっと汚い、厳しいものかもしれませんが、そういった今までにも「恍惚の人」「アカシアの道」「折り梅」などでも描かれているもので、敢えてここで強調すべき必要性もないでしょう。映像的にも堤監督らしい技巧がところどころに見られ、また遊び心も随所に感じられます。松村邦洋が登場する1シーンは特に可笑しかったです。現実的に起こりうることだからこそ、病気をことさら暗く捉えすぎないように、それでも生きていることが大事なんだよということが、あらためて伝わってくるのでした。木野花は介護施設の施設長を演じています。

 

2 鍵泥棒のメソッド

正統派ながら細部にまで目が行き届いた完成度の高い作品でした。それまでは練りに練った脚本を凝った構成やトリックで見せる、技巧面をクローズアップした作品といった印象が強かったのですが、今作は余裕が出来たのでしょうか、流れに沿って観られる、分かりやすいコメディで勝負してきましたね。しかしその中にも、小道具の移動や状態など、細かいところにもきちんと気を配られているのは感じましたし、配役についても、俳優がそもそも持ち合わせる個性を素直に使うことを意識しているようにも思いました。一見良くあるありきたりのコメディの体裁をとりながらも、実は練られた脚本で完成度の高いコメディ映画という、正攻法勝負でも力を見せてくれた内田けんじ。新作はまだかな。木野花は広末涼子演じるヒロインの母親役。

 

3 すーちゃん まいちゃん さわ子さん

30代の女性の抱える不安や複雑な思いが如実に表れて、男性からみても共感できる作品です。特に女性の場合は男性と比べて、一つの人生を選ぶともう一つの生き方を捨てざるを得ないということに直面することも多いでしょう、そのあたりの心の揺れがリアルに伝わってきました。キャリア、介護、結婚、出産と子育て…すべてを選べない時にどの人生を選択するのか、或いは選びたくても選べないまま年齢だけを重ねていく不安…すーちゃん、まいちゃん、さわ子さん、さらにはカフェのオーナーさんや同僚のそれぞれの選択しようとする人生、選択した人生、選択できない人生、それぞれにいろんな思いが溢れていて、観ている側も同じように切なくなってしまったりもしました。柴咲コウ演じるすーちゃんが働くカフェのオーナー役が木野花。

 

4 Laundry ランドリー

リアリティを問われれば、それはほとんどないと答えるしかないのですが、そうであっても充分心に浸透してくるものがあります。現代のおとぎ話といったところでしょうか。自分勝手で「ありがとう」さえろくに言えない傷心の疲れ切った小雪演じる女性が、次第に表情が解きほぐれていく、それも少しずつ、迷いながら。それが伝わってきて、ほっとするようなラストシーン。窪塚の演技はやや過度に純粋に見せようという部分が見えてしまう部分もあって、必ずしも手放しで賞賛できるようなものではないですし、ストーリー的にもあまりにもリアリズムが不足しています。このような欠点があるにも関わらず、ラストシーンには素直に感動を覚えてしまうのは、この作品が持っている力なのだと思うのです。

 

5 スウィングガールズ

「ウォーターボーイズ」の二番煎じを敢えて正面に打ち出した今作はまさにその踏襲型。そういった意味で安心してみられる部分と、完全に予想通りの展開に落ち着いて新鮮さにかける部分がありますが、それでも作品自体の力は充分持っています。最初から最後までだれることなく突き進む。前作同様突然上達したり、出発時には会場でといっていた吹奏楽顧問がいつジャズグループの不出場を知ったのか、どうして戻ったのか。電車はだめでバスはいいのか、などなど突っ込みどころはたくさんありますが、されでも力業でねじ伏せてしまうような勢いは感じました。木野花はスーパーの管理職役。

 

6 恋人よ

3人の主人公が世の中の理不尽さや思うようにならない日常に苦しむ姿が、生々しくそしてリアルに伝わってきます。主人公の3人はいずれも無名俳優を配しているので、余計にその生活感はリアル。3人の抱えるものはそれぞれ全然違うものですし、生活レベルもスタイルも違うのに、3つのエピソードがまったく違和感なく調和し、1つの作品としてまとめ上げているところがさすが橋本亮輔というところでしょうか。愛する妻を理由もなく失った上だれもその復讐に手を貸してくれない。やけになってクスリに手を出そうとしたり手首を切ろうとしてもダメ。何をやってもダメ。しかしそんな彼を認めてくれるのが人のよさそうな上司なのです。その上司はかつての暴挙で腕を失っているのですが、それに対し影を感じさせず、明るくふるまう姿が、一筋の光に感じられます。また田舎のパート主婦。知り合った取引先の男に惹かれ、家族を捨てる決心をしたものの、たまたま寸前でそれが正しくない選択であることを知らしめされ、何もなかったように元の生活に戻るのですが、日常の鬱屈感がストレートに伝わってきて、観ていて息がつまりそうにもなりました。そしてゲイの弁護士。保身のために仕事では依頼者には冷たくあたりながらも、内心では片思いの相手に愛情を密かに求めている苦しさ。最後の最後になって3人に刺した一筋の光が救いでした。息子夫婦と暮らす姑役で木野花は出演。

 

7 ヒミズ

園子温のエネルギッシュでクレイジーなセリフ回しもだいぶ慣れてきて、新鮮さに欠けてきた部分はあります。しかも過去に園作品に登場したキャストたちが、脇役・チョイ役にずらりと顔を並べているため、どこか既視感を覚えてしまいます。しかしながら、特に若手俳優の潜在能力を引き出す園子温の力というものは相変わらずで、今作についても、実際に海外の映画賞で評価されたように、彼らの魅力を存分に引き出し、魅力的にスクリーンに映すことに成功したのではないでしょうか。この作品の魅力=染谷翔太の存在感と二階堂ふみの鮮度の高い演技、といってもいいように思います。おなじみの園節、そして見慣れた曲者キャストの中で、二人が圧倒的に輝いているようでした。ストーリー的にはかなり無茶で荒唐無稽ではありますが、その中でも最後に良心を見せてくれるのが救いに感じました。茶沢と母親との関係の結末も見たかったです。妊婦の義母役で木野花は登場。

 

8 閉鎖病棟 それぞれの朝

その病院の患者たちはみんな重いものを抱えながら、それでも生きている。そんな傷を抱えたもの同士が、時にいたわり合い、時にぶつかり合い、時に傷をなめあいながらも、寄り添って暮らしているのです。帰る場所がある者、帰りたい場所があっても帰れない者、自らの意思で身を寄せている者、それぞれ背景は違いますし、症状も違いますが、それまでに何があったのか、家族や親せきはどう彼らに接していたのか、そんな隠された部分を想像すると、重い気分にもなります。そしてそこで起きた犯罪…いったい何が正義で何が罪なのか、考えさせられる部分も多い作品になっています。それでも退院して働くようになったり、ひどい目にあっても自立して生活できるよう前に進む姿に、希望のようなものは見える気もします。そしてラストシーン。結局、人間に生きる力を与えるものは、周りの人たちの支えであり、優しさなんだでしょう、そんなことを思いながら作品は終わっていきました。木野花は入院患者の一人として出演。

 

 

9 必死剣 鳥刺し

武士としてのプライドとか、本当の正義への問いとか、献身的に支える女性の存在とか、やはり藤沢時代劇のエッセンスはかなり散りばめられていました。上背があり、寡黙に佇むだけでも絵になる豊川悦司に対し、同じく上背で対抗でき、カリスマ性を持つ役にはぴったりの吉川晃司が相対する形。そして常に裏に何か持っていそうな岸部一徳や、久しぶりに作品にはまった池脇千鶴、わがまま「愛人」の関めぐみ、いかにも臆病で頭が悪そうな藩主の村上淳と、配役がうまくはまって、観ていて面白みのある作品に仕上がったのではないでしょうか。結末的にはちょっと切ないものではありましたが、それもまたこの作品に静かな余韻を残してくれました。木野花は女中役。

 

10 はやぶさ/HAYABUSA

詳しい知識がなくても分かりやすいようにきちんと説明してくれ、およそ堤幸彦らしからぬ丁寧で万人向けの分かりやすい作品になっていたと思います。3作競合の初っ端としては、ぴったりの内容でした。ともすると専門的過ぎてついていけなくなる可能性を孕んだテーマでありながらも、そのあたりの危険をうまく回避していたように思います。さらに携わる人々の熱意も温かく描かれ、自分が子供のころに望遠鏡を買ってもらって夜空を眺めていた頃の気持ちを思い出してしまいました。キャストのみなさんもみな好感の持てる演技でしたね。竹内結子演じる主人公の母親役が木野花でした。

 

11 さよなら渓谷

12 うさぎドロップ

13 K-20 怪人二十面相・伝

14 愛しのアイリーン

15 理由

16 ばかのハコ船

17 娚の一生

18 母さんがどんなに僕を嫌いでも

19 ハッピーフライト

20 嫌われ松子の一生