●女性連続殺人のサイコ野郎映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

女性連続殺人のサイコ野郎映画 ベスト10

 

1 チェイサー

単なるサイコ・サスペンスだけに終わらない、見応えのある作品でした。展開が幾重にもなっていて、ここで終わりかということなく、さらなる展開へと続いていく構成。安心させておきながらも、その希望を覆していくような、一筋縄でいかないストーリー。この力強さは韓国映画ならではのものという感じで、久しぶりに底力を見た思いです。俳優陣の演技もみな素晴らしく、それぞれが実に良い雰囲気を醸し出していました。決して観ていて気持ちのよいものでもないし、不条理・理不尽を感じる部分も大きいのですが、それを上回る、観ている者の興味を引き付けて離さない力は見事です。

 チェイサー

 

2 見えない目撃者

韓国映画のリメイクということで、韓国映画らしい生々しさおどろおどろしさが特に後半随所にみられます。有名俳優の演じるメインキャストもためらうことなく殺してしまい、また凄惨な殺戮の写真も遠慮することなく見せつけ、目をそむけたくなる場面もたくさんありました。果たして失明して3年しかたっていない主人公が、これほど俊敏に動けたり、あるいは繊細な嗅覚や聴覚を駆使したりということでできるかどうかということは、リアリティの面では「ほんとかな」と思うことも多々ありましたが、休ますことなく次々に新しい展開へと移っていくストーリーはスピード感があって、一気に最後まで引っ張られていきました。やりすぎ感はあるものの、映画としては面白く観られました。

 

 

3 殺人の告白

緊張感ある心理サスペンスの趣きで動いていたはずが、終盤になって突然カーチェイスを主体とするアクション映画に転じたのは、逆に肩透かしを食らったような気持でした。むしろそれがなかった方が、純粋なサイコ・サスペンスとして楽しめたような気がして、ちょっと残念。ただ根幹となる本の出版社が果たして本物の犯人かどうかという部分についても、アイディアとしては面白いものの、やや無理があった感は拭えませんね。そこまでやるか、時間と命を賭けて、と。しかしながらそれも、良くも悪くも韓国映画らしいところ。これはこれでよいのかもしれません。

 

 

4 テッド・バンディ

実際の女性連続殺人事件の犯人を取り扱った実録映画でありますが、2時間足らずの作品の中で描かれたのはおそらくその一部でしょう。あまりに残酷且つ厚顔な犯人ではありますが、女性を引き付ける何かがあったのでしょう。それでいて自分で自分の弁護をするという頭の良さと弁の闊達さを持ち合わせており、犯罪さえ犯していなかったら、素晴らしい人生を送れたかもしれないと思うと、裁判官の嘆きもよく分かります。事件については否認を続けながらも、死刑執行直前に嘘か真か、死刑執行を延ばすために自白を始めたという計算高さ。どうやってもこの犯人に同情や共感を持つことはありません。ただこの作品の中では真実を明確に断定せず、犯人と検察側のそれそせれの視点でのみ語られていて、そのあたりはあくまでも客観的な立場に徹して描こうとした意思は感じられました。

 

 

5 スマホを落としただけなのに

原作を生かしながら、中田秀夫監督のホラー映画で築いてきた手法を入れ込んで、無難にまとめ上げたといった印象です。ただ2時間以内で収めるために、やや急ぎすぎたところはあるかもしれません。得体のしれない相手による恐怖はありましたが、原作を読んだ時ほどではなかったのは、あらすじを省きにくい事情はあったかもしれません。それでも後半にいくにしたがい、より狂気性が増していき、ごくごく普通の生活の中の出来事が、異常犯罪に繋がっていく過程を、あなたにもいつこうなるかわからないよと注意喚起するような、現代のスマホ頼り、SNS頼りの生活に警鐘を鳴らすような一面もあったのではないでしょうか。

 

 

6 魍魎の匣

映像的にも、ストーリー的にも、途中までは戦後すぐの時代の雰囲気というものがよく出ていたのですが、終盤にきて物語がSFチックな展開になると同時に、映像的にもせっかくの雰囲気もなくなってしまったのも残念です。その点でも散漫な印象に繋がったのかもしれません。もっとも、監督が原田眞人なので、この編集も仕方ないのかもしれません。キャストはかなりの豪華。「姑獲鳥の夏」に続く堤真一、阿部寛に椎名が加わったことで、ますます充実のメインキャスト。この3人の掛け合いは、それだけでも見ごたえがあります。日本の40代の男優を代表する3人ですからね。個人的にはもう少しミステリー色が強い方が好みなので、最後の大掛かりなシーンは、むしろやりすぎのような気がします。もう一歩でした。

 

 

7 H[エイチ]

途中までは面白く観ていたのですが、ちょっと安易なトリック。催眠術とは、双子だったというのと同じくらい、ミステリーのトリックとしてはずるい手。それが判るまでの過程は、それなりに観ていられただけに、残念な形でした。しかもラストの女刑事が犯人だった刑事を撃ち殺すシーンは正直理解できませんでした。

 

 

8 コピー・キャット

あとになって観ると、サイコものとしてはありきたりな感はあります。ただ当時としてはまだそう多いジャンルではなかったはず。推理の楽しみも緊迫感もそれほどでなく、ただただえげつない死のシーンをみせつけ、おきまり通り主人公は危なげにも助かるという予想通りの展開ではありましたが。

 

 

9 サマー・オブ・サム

実在の有名な殺人事件を扱った作品ですが、猟奇殺人の犯人探しはむしろ背景で、本筋はその時代、その事件の中に暮らす若者達の疑心といったものを軸にしています。したがって、サイコ・スリラー的なものを期待すると、ちょっとあてがはずれるかもしれません。

 

 

10 アメリカン・サイコ

クリスチャン・ベールは自己陶酔型の主人公パトリックに合っていてキャスティングとしては満点ですが、如何せん映画自体に面白味がないのが残念。サイコスリラーというよりに重点を置いているため、仕方はないのですが、それにしても分かりにくかったです。