●実在の映画監督の映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

実在の映画監督の映画 ベスト10

 

実在の映画監督を取り上げた作品の特集です。

伝記映画、ドキュメンタリー映画、

あるいは脇役として登場してくる作品も含めて、10本集めました。

 

1 映画女優

主人公は女優田中絹代ですが、清水宏、溝内健二といった実在の監督が登場してくる伝記映画です。田中絹代を演じた吉永小百合にとっては、思い切った挑戦であったことでしょう。不世出の先輩女優を熱演しているのが光ります。同時に日本の映画史もなぞり観られたようで、興味深い作品でもありました。

 映画女優

 

2 エド・ウッド

カルトな世界ではありますが、独特の映画観を持つエド・ウッドの撮影シーンは、映画好きなら楽しめるでしょう。逆に言えば、一般大衆受けするような作品ではないとも言え、ティム・バートンらしさもそこに現れているように思います。そういう意味でジョニー・デップははまり役だし、オスカー獲得のマーティン・ランドーの演技は秀逸でした。モノクロの世界も、実際の時代以上に古さを感じさせるのですが、それがノスタルジーを呼び起こすようでもあり、この作品の特有のムードとなって結びついています。

 エドウッド

 

3 ヴィゴ

フランスの映画監督のジャン・ヴィゴの伝記映画です。病弱な映画家ヴィゴの報われぬ製作活動と夫婦愛、さらには両親への複雑な思いや政治的迫害などいろんな要素がからまりあって、重たい不運な伝説的作家として、その印象が伝わってくる作品でした。

 

 

4 映画と恋とウディ・アレン

ウディ・アレンの作品に関わるエピソードを順に追っていく後半は、実は色んなタイプの作品を作ってきたということを改めて認識でき、興味深く観ることが出来ました。そして彼自身のインタビューの言葉に、思っていた以上に常識的で、自らの置かれている状況も理解しているということが分かり、彼に対する見方も少しいい方に変わったようにも思います。特にファンでなくても、作品を多く観ている人にとっては楽しめるドキュメンタリーでしょう。

 

 

5 ヒッチコック

『サイコ』に限定した制作秘話を通して、ヒッチコック夫妻像を映し出そうという作品。『サイコ』という作品に対するヒッチコック自身の思いの強さがよく分かりました。周囲に反対されても、自己資産をつぎ込んでも、新しい自分を認めさせるために取り組んだ作品だったのですね。そしてそこにいた、この夫あってのこの妻の存在。こんな奥さんがいてこそのヒッチコック作品でもあったのですね。

 

 

6 止められるか、俺たちを

若松組の助監督として独特の若松映画の世界に入り込んでいった主人公の女性。時代や社会との闘いの中で、撮りたい映画を撮るために何をしていくのか、映画監を目指しながら、才能に気づきやめていく先輩たち。そして自分自身は何をしたいのか。そんな苦悩が増していく毎日の中で、訪れた悲劇的な結末。映画に注ぐ情熱やエネルギーがあふれるほどの生活の中で、悩み、挫折し、そして成長し、また壊れていく映画人たちのまさに青春が詰め込まれた作品となっていました。ただし作品としては必ずしもそれらを消化しきれてはおらず、中盤以降はやや緩慢な印象になってしまったのは残念で、個性的な俳優たちを生かしきれず終わってしまいました。それ、若松監督自身が撮ったらどんなだったでしょうか。

 

 

7 グッバイ・ゴダール!

ゴダールという人物との夫婦生活を描いたドラマですが、やはりイメージどおり、気難しくて神経質という印象が残りました。基本的には妻目線で描かれていることもあり、これではなかなか一緒にやっていくのも難しいだろうなという極端なゴダールの言動には、奥さんも大変だっただろうと同情を禁じえませんでした。ぼかしなしでの男性器を映し出す映像はちょっと驚きましたが、これもまたゴダールらしいといえるかも。

 

 

8 監督失格

平野勝之監督が自身について自虐的に描いたドキュメンタリー。作品の主体は自分でなく、亡くなったかつてのパートナー林由美香。彼女との撮影旅行とその後を描く中で、一人の映画監督がまず観客よりも金儲けよりも、とにかくまず自分のために撮った映画であり、それに対し金を払って観るかどうかは受けて次第といったスタンスなのでしょう。普通の映画の作品内では観ることがけっしてできない、撮影の裏の生々しい人間関係…というよりも男女関係が匂い立つように伝わってきました。

 

 

9 はじまりのみち

木下惠介監督の若かりし日を描いた作品。木下監督への敬意は存分に伝わります。ただ木下作品の映像が長く、あまりに頼りすぎている印象で、この作品自体で勝負しきれなかったのが残念です。これならドキュメンタリーの体を取るべきで、少々ずるさとか安直さを感じずにはいられません。また浜松の人間からすると、登場人達の会話で使われる方言が不自然で、この地方の方言を片っ端から紹介しようと、短時間の会話に無理やりっ込んでいる感が見え見え。そのせいで、使い方自体もどこか変に感じられる部分も多々ありました。濱田岳も上手いのですが、どうもこの時代背景にそぐわないような気がして、違和感を持ったりと、全体を通して私にはしっくりこない映画になってしまいました。

 

 

10 監督・ばんざい!

主人公はキタノ・タケシ。監督北野武。セルフ・パロディの映画なので、実在かといわれると微妙なのですが、でも描いているのは明らかに北野武監督自身。作品はただただシュール。この世界、理解出来たらたいしたものです。