●八千草薫 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

八千草薫 出演映画 ベスト10

 

長年愛された女優さんでしたが、

残念ながら昨年亡くなられました。

観ている作品は限定的で近年のものが中心となりますが、

その中で10本を選んでみました。

 

 

1 ディア・ドクター

善とも悪とも、或いは白とも黒ともいい難い微妙な心理状態を描きながら観ているものを引きつけている西川監督の演出構成力は、今作でも健在でした。登場人物達が「どちらに自分の心が向かっているのか」二方向のベクトルの上で悩み揺れている姿といい、「この後」への想像力を掻き立てる余韻を残すラストといい、さすがの演出。主要なキャラクターが皆、気持ちの部分で決着をつけられずにさまよっている姿、はたまた自分の選択が正しいのかどうか揺らいでいる様子、そのような人間の表裏色んな部分の交錯のさせかたは見事でした。八千草さんも患者のひとり。

 

 

2 阿修羅のごとく

豪華キャストでのドラマリメイク映画は落ちついた中にユーモアがふんだんに散りばめられた良作に仕上がっています。キャスティングにどこか森田らしさを感じますが、深田恭子を除く女優陣は実力は分かっており、安心して観られる演技を見せてくれていました。中村獅童の大袈裟な演技はどうかと思うところもありましたが、時代設定も変えずに昭和50年代を舞台として描いたことが興味深いです。電話の音や髪の毛の色などに、時代を感じさせられます。姉妹の母親が八千草さん。

 

 

3 サトラレ

中盤までのくすぐりどころ、終盤の泣かせどころと、適当に散りばめられ,なかなかの佳作に仕上がっていました。やや泣かせの場面で「これでもか」というところが鼻につくところもありますが、でも最後は感動的なシーンで締めくくり。主人公の祖母役で八千草薫は出演。

 サトラレ

 

4 引き出しの中のラブレター

群像劇としてはバランスも良いですし、それぞれのつなげ方も巧妙でスムーズに繋げており、その点においては良く出来た映画になっています。やや大げさな演出とみえみえの脚本により、非常にわかりやすい作品にはなっていたと思います。登場人物が多くても、それぞれが整理されきちんと役割を担っていて、ほとんど無駄がなかったようにも思います。群像ドラマで失敗しがちな話のつなげ方、登場時間の配分なども上手にされており、強いて言えば常盤演じるパーソナリティ自身の現在の問題、つまり恋人との関係の描き方が、やや弱かったぐらい。時折オーバーな演出が、自然で滑らかな流れを阻害していたのが惜しかったです。常盤さんは相変わらず凛としていて、良い雰囲気です。妊婦さんの母親役で八千草薫は出演。

 

 

5 不毛地帯

当時の実際の汚職事件を髣髴させる硬派の内容でありながら、企業と政界の情もない冷徹不条理な世界を浮き彫りにし、意欲を感じる作品に仕上がっています。なんともやるせないラストが、実際の社会を映し出しているようで、辛いです。八千草さんは仲代達矢演じる主人公の妻を演じています。

 

 

6 雪国

いかにも文芸作品調のじめっとした雰囲気。しかし原作がきちんとしているだけにメロドラマとして、そして周囲の人物も含めた人間ドラマとして、見応えあるものになっています。岸恵子演じるヒロイン駒子の子供っぽさは好き嫌いが分かれそう。その駒子を憎み、男を奪おうとする葉子が八千草薫です。

 

 

7 しゃべれどもしゃべれども

国分太一がかなり頑張っていましたね。おそらく落語家という役を受けた時点でかなりの覚悟をしていたのでしょうし、訓練も重ねたことでしょう。最後の高座でのシーンはなかなかさまになっていました。しかしそれ以上に目立っていたのは子役の男の子。森永悠希君というようですが、関西弁で大人顔負けに言葉を操り、それでいて愛嬌があって、この映画にとって重要な役どころを上手に演じていました。さて、映画の内容の方ですが、落語という題材にふさわしく、笑いあり涙ありの人情味あふれる作品に仕上がっています。全体としてはとても観やすいですし、落語に興味がない者でも充分に楽しめる親切な作り方がされています。国分太一演じる主人公の祖母役が八千草薫。

 

 

8 ツナグ

女子高生の親友同士のエピソードが印象的で、橋本愛演じる女子高生が泣き崩れるシーンはとにかくせつなくてやるせなくて仕方なかったです。死んだ親友が最後に伝言として託した言葉、ある意味それはホラー映画的な結末でもあり、ゾーッとさえするメッセージでした。さらに橋本愛の表情が素晴らしい。演技自体は粗削りなものの、強い意志を持った目力には、圧倒的な存在感さえ覚え、初めて女優としての資質に期待してみたくなりました。ただ他の2つのエピソード、プラス「ツナグ」自身のエピソードは凡庸で退屈。バランスや構成が悪く、せっかく盛り上がった気持ちも、いつの間にかクールダウンさせられてしまいました。八千草さんはガンで亡くなった母親役。

 

 

9 プーサン

伊藤雄之助の風体が実に味があっていいです。不器用で世渡りべた、いい年をして独身で、仕事も低調。おまけに自分の責任でないことで騒ぎに巻き込まれ、クビになるわ、失恋するわで、それでもどこか可笑しさを感じさせるのです。当時の世相なんかも反映していて、独特の作品になっていました。

 

 

10 男はつらいよ 寅次郎夢枕

キューピッドをしたつもりが実はマドンナ(八千草薫)が好意を持っていたのは寅さん自身だった…。これまでのパターンとはここで少し変えてきて、寅さんを思ってくれる相手、それも年も同じで家も近いという、バツイチシングルではあるものの、比較的バランスの良い相手だったのに…とちょっと惜しい気持ちになってしまう作品でした。