●伊原剛志 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

伊原剛志 出演映画 ベスト10

 

1 カーテンコール

映画ファン、特に昔からのファンにとってはノスタルジックでたまらない作品かもしれません。主人公の記者が追う1人の男性の人生が、映画の隆盛と斜陽と重なってくるように映し出され、ラストでは穏やかな感動を覚えます。決して派手な作品ではないですし、在日朝鮮人への差別といった社会的なテーマも盛り込まれ、まじめな映画ではありますが、人探しを展開の軸に持ってくることで、最後まで飽きさせずに観ている者の興味を離さない工夫されていました。伊原剛志は写真誌の編集長役。

 

 

2 BREAVE HEARTS 海猿

今作は、派手でアクロバティックな神業を控え、今までよりも一歩ひいた印象を受けましたが、その分好感の持てる手堅い作品になっていたと思います。主要人物たちもそれぞれ、家庭を持ったり、家庭を築こうとしているところであったりと、年齢に応じて落ち着いてきているというのも一因としてあるでしょうか。テーマとしても、最後の最後まで諦めずに救出のために全力を尽くすという姿勢にスポットが当てられ、すっきりと見やすかったです。大事な人がもうダメなのかと諦めかけた瞬間の無力感、祈るように眺めていた救出劇が成功した安堵感、そして助かる命を諦めずになんとか救いきった誇らしさ…、そんな感情にも心を揺さぶられる作品でした。伊原剛志は特殊救難隊の副隊長役。

 

 

3 超高速!参勤交代

エンタテイメントの作品に関してはさすが本木克英監督、ツボをおさえて楽しい作品になっていました。笑いと人情と殺陣とを盛り込んで、老若男女に分かりやすい作品といえるでしょう。実際にこんなに農民思いで人が良く、それでいて剣の腕の立つお殿様がいたら、どんなに住みやすい世になったでしょうね。このおとぼけお殿様にどうしても肩を持ってしまいたくなり、そういう意味では良心的な作品といえますし、勧善懲悪の精神もきちんと盛り込んでいましたので、時代劇としても体裁がととのっていました。そんなところをきちんとおさえていたのが、手堅いということなのですね。あとはもうひとつふたつ、経費を浮かすための小技があると、より面白くなったかな。忍者役で伊原剛志は出演。

 

 

4 硫黄島からの手紙

日本人ではこの映画は作れなかったと思います。敗戦したわが国がその負け戦を描くとすると、どうしても叙情的になるか、言い訳がましくなるか。いずれにせよ、と兵士たちの戦いぶりをやや距離を置いた目線で淡々描くような映し方は、なかなか日本人が日本人を描くときにはできないのではないでしょうか。それでいて、当時の日本で「美しい」とされていた生き様、死に様をきちんと敬意を持って描いていることに感心します。「お国のために」「天皇のために」自らの命を差し出して戦う姿は、現代人、それも外国人からすれば滑稽にさえ見えるものではないかと思うのですが、そんな感じが一切ありません。イーストウッド自身が、国のために戦って散っていった異国人の彼らに、尊敬の念を持ってこの映画に取り組んでいたのであろうことがひしひしと伝わってきました。元五輪金メダリストの中佐役で伊原剛志は出演。

 

 

5 築地魚河岸三代目

松竹が釣バカシリーズに続く人情シリーズに育てようと立ち上げたこの作品。1作目ということで、当然人物紹介に多くが裂かれるわけですが、それをうまくまとめ上げ、二組のカップルの愛情を軸に、親子愛、兄妹愛、そして賑やかな仲間たちとの結束を描き、人々の繋がりを巧みに見せることに成功していたと思います。当初主人公が身を置いていた企業社会をやや極端な描き方をすることによって、活気が漲る築地市場をより心の通った魅力的な舞台として演出することもうまくできたようです。脇役まで含めて芸達者な俳優陣を多数集め、これからいかようにも展開していけるような準備も整ったというところでしょうか。タイトルからして古くて泥臭い世界を想像しがちなのですが、主人公に大沢たかお、ヒロインに田中麗奈と、華がある俳優をメインに置いたことで、作品全体の印象もかなり明るいものになっているように思います。映画を観ながら、築地とはいわなくても、働く人たちの心が通い合い、そしてプライドに溢れたこのような職場で働けたらどんなに充実した毎日になるだろうと、主人公の転職にある種の憧れのようなものを抱いてしまうのでありました。しかし興行的に振るわず、続編は立ち消えに…。築地で働く従業員役で伊原剛志は出演。

 

 

6 十三人の刺客

まさに三池節ですね。この監督がノーマルな時代劇などとるはずもなく、随所に持ち味を見せ付けてきました。ただしそのことは、逆に言えば好き嫌いが分かれそうな要素になるわけで、本格的で伝統的な時代劇を望む観客にとっては、邪道と感じてしまうかもしれません。エロ・グロ・ギャグもきっちり盛り込んで、現代劇のにおいはぷんぷんと漂ってきました。決闘のシーンに時間をかけ、ボリューム感としては十分あったのですが、最後のほうはやや単調になってしまった気はします。13人の刺客にこれだけのキャストを集めながら、それぞれの個性があまり発揮できなかったのもちょっと惜しい気がします。脚本面でも映像面でも美術的な面でも、もう少しキャラクターを生かせるような展開も欲しかったです。平山九十郎を演じるのが伊原剛志。

 

 

7 なくもんか

脚本の「はじけ感」はやや自重気味であるものの、涙あり笑いありの安定したソツのない脚本、そして阿部サダヲならではのキャラクターづけと、安心して観られる人情コメディになっていたと思います。いわゆる「つかみ」が上手で、最初に一家を説明するための設定が絶妙。そのあとは設定からの流れに沿って、結末まで流していくだけなので、そこでちょっと感動的な要素を絡ませれば、作品としてはそれなりに仕上がってきます。瑛太と塚本高史のコンビの人気ぶりの原因、突然現れた父親の背景など、やや弱い部分もあり、ギャグ以外でもところどころ本筋から浮いてしまうようなパートもあるにはありますが、基本的にはまとまっていたでしょう。その分冒頭で述べたような「はじける感じ」は弱かったのですが、それは阿部サダヲのアクの強い演技でカバーしていました。思ったより「やり過ぎ」感はなく、好感の持てる内容でした。

 

 

8 ヒートアイランド

とにかく話の組み立ては面白いです。意外な部分での人と人との接点、そして何よりも転々とする強盗して奪った金の行方、そういった要素が複雑に絡まって最後にまとまる展開は、なかなか凝っていて楽しいものがあります。ただキャスティングにやや不満があり、コメディながら犯罪ものには必要な緊張感がやや不足していたのが残念。プロの強盗団の一人として伊原剛志は登場。

 

 

9 汚れた心

終戦直後の地球の裏側で、このような争いが起きていたことを、この映画を通じて初めて知りました。同じ民族同士の争いは、対立する国同士で戦う戦争本体以上に悲惨さが極まり、虚無感しか残らない辛くやるせないもの。情報が入らないがゆえにもたらす狂信的な「大和魂」信者たちの暴走によるものであるから、余計に虚しくなります。加えて、戦争中に植え付けられた教育が、戦争が終わった後も何一つ得るもののない殺し合いをもたらす馬鹿馬鹿しさ。そんなことを感じながら、それだけでもこの映画を作った意義はあったのではないかと思うのでありました。伊原剛志主演。

 

 

10 半落ち

法廷ドラマの形をとりながらも、中心は謎解きでなくそこに渦巻く人間ドラマ。脇役まで豪華キャストは魅力ですが、そこに込められた介護とその辛さという大きな問題を問いかけています。少なくてもこの映画では、苦しさから逃れる「死」については否定的で、厳しい判決を下しています。気になるのは検事も記者も弁護士も皆が最初は野心で行動しながらも、梶の心情を理解するとともに、世間に真実を暴くことを諦めて行く。その中で唯一情に流されない行動を見せた吉岡演じる若判事の厳しい判決が印象的。ただし、ドラマとしては意外に単純で、山場を作れないまま終わってしまったのは残念。