ルームメイト映画 ベスト10
同性同士や3人以上の男女での共同生活を描く作品の特集。
1 贅沢な骨
それにしても切ないくらいの痛さが伝わってくきます。サキコが出て行くシーン、ミヤコがサキコに告白するシーンは実に切ないです。全体的にはけだるい感じが漂ってはいますが、三人の俳優の演技合戦は集中力をそらされません。特につぐみがいい。劇中にも出てきましたが、天使のような穏かな存在で、自分勝手でややきついミヤコを包み込むような演技は、ついつい応援したくなります。
2 噂の二人
観ているのが耐えられなくなるほどの辛い映画。これだけ同性愛を毛嫌いするというのは、多分に時代のせいもあるとは思いますが、子供の悪知恵に振り回された結果、世間の冷たい視線に晒され、しかも自分の本心にも気付き気持ちを告白するに至ってはどうしていいか分からなくなってきます。シャーリー・マクレーンが実にその距離感の難しい役をリアルに演じています。最後の悲劇は予想された結末ではありますが、それでも衝撃が減じられるものではないです。
3 シャロウ・グレイブ
3人で暮らす男女3人を中心としたシニカルなサスペンス・スリラー。二転三転する展開は目を離せないし、緊張感ある脚本が秀逸。主役の三人の関係も最初から最後まであやふやなままで、それがはっきりしないでもあるが、スリラーの展開に当たっては重要な要素となっている。一見仲良さそうなルームメイトが事件を機会に、その関係を壊していく過程がなんとも皮肉っぽい。
4 ４カ月、3週と2日
妊娠したのは主人公のルームメイト。しかし当時のルーマニアでは堕胎は違法ということで、その処理のための大変な一日が待っていたわけです。自分のことではないのに、ルームメイトの不始末の処置のために動き回る主人公。しかし、どうもその妊娠した当人であるルームメイトは、詰めが甘く、どんくさいのです。そんな彼女に主人公し当然ながらイライラしてくるのですが、決して放りだしてしまうようなことはしません。二人の関係を見ているとそのあたりが不思議で、友人同士どこか冷めた関係で、半ば義務として堕胎処置に携わっているのではないかと思えてきます。ところが主人公は、さらにそのルームメイトのために、大きな犠牲を払うわけなのです。そこまでに至る取引のやり取りは、スリラー映画を観ているような緊張感にあふれ、彼女の心理状態がビシビシと伝わってくるようでもありました。
5 ルームメイト
米国映画の方です。ジェニファー・ジェイソン・リーとブリジット・フォンダ、普通のルームメイトが少しずつ狂気を帯び、最後には殺人に走る過程の恐怖が生々しいです。警察が全くからんでいないのが、日常的な恐怖を増長しているようでもあります。
6 いとこ同志
不器用で真面目なシャルルと世渡り上手なポールの従兄弟同志の対照的な生き様と、衝撃的な結末。真面目なだけにそれでもうまくいかないシャルルの苦悩が報われないがひしひしと伝わってくる佳作。対照的な従兄弟役を二人の俳優が好演しています。
7 私たちが好きだったこと
若い男女がちょっとしたことから一緒に暮らすようになるという設定自体には、そんなことあるかよと思ってしまうところはあるのですが、それも若いころの勢いと思うと、なんとなくそれも「あったかな」などという雰囲気になってしまうのですよね、頭の中が。25歳になってからの医大入試など、特殊な4人と言う感じはそこでも拭えませんが、ラストシーンで「すべて若い頃の思い出」で許せてしまうものなのですね。
8 落下する夕方
突然部屋に押しかけて来た元カレが心を奪われた奔放な女性。不思議なルームメイトとしての生活が始まります。特に大きな出来事があるわけではないのですが、その若い女に振り回される元カップルの困惑ぶりと、知らず知らずに影響を受けている様子が、静かなムードの中で描かれています。とにかく原田知世が美しい。
9 2LDK
短い時間に2人だけの登場人物。映画としては実験的ともいえるスタイルで、二人だけの演技で普通のルームメイトが狂気の沙汰に陥っていく様子を描くスリラーです。野波麻帆は作品によって印象がガラッと変わってしまう力はさすがの技。小池栄子も負けじと熱演を見せています。
10 キャリア・ガールズ
学生時代同じ屋根の下で暮らした親友が10年ぶりに再会し、過去と現在を交差させながら描く友情ドラマという趣か。最後の再びの別れのシーンは○。色調のトーンを変えて表現しているのが印象的。
