●在日朝鮮人映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

在日朝鮮人映画 ベスト10

 

日本在住の朝鮮(韓国)人を描く映画は

エネルギーにあふれたものが多いようです。

 

1 パッチギ!

1960年代の朝鮮高校に通う若者の青春を描いていた井筒和幸の快作です。当時の在日朝鮮人若者のエネルギーというものが充分に伝わってきますし、沢尻エリカほか女優たちの存在感もそれぞれが光っていて、物語に引き込まれてしまうのです。喧嘩のシーンの中には目をそむけたくなるようなところもありますが、最後はハッピーエンドで見終わって後味もよろしいです。

パッチギ 

 

2 GO

窪塚陽介演じる在日韓国人の青年を主人公にしたエネルギッシュな青春映画です。最初から、スタイリッシュで凝った映像、「うんち」やらのふざけた言葉で、多少引き気味のところから、次第に国籍という深い問題に考えさせられるような展開。喧嘩、恋愛、友情、親子、進路と、普通の高校生でも迎えるあらゆる問題を、在日韓国人たちがどう向き合って、何を考えて生きているかを無理なく描いています。告白シーンでは非常にきつい思いも感じました。

GO 

 

3 カーテンコール

映画ファン、特に昔からのファンにとってはノスタルジックでたまらない作品かもしれません。主人公の記者が追う1人の男性の人生が、映画の隆盛と斜陽と重なってくるように映し出され、ラストでは穏やかな感動を覚えます。決して派手な作品ではないですし、在日朝鮮人への差別といった社会的なテーマも盛り込まれ、まじめな映画ではありますが、人探しを展開の軸に持ってくることで、最後まで飽きさせずに観ている者の興味を離さない工夫されたつくりになっています。23以上は現代のシーンでしょうか、都会から久しぶりに田舎に戻ってきた女性記者を伊藤歩が好演。昔から好きな女優さんなのですが、「チェケラッチョ」ではどこか無理した感じがして違和感を持ったのですが、こちらでは等身大の役柄を好演していましたね。閉館する映画館が、昨年取り壊された地元の映画館と重なって、なんとなくせつない思いになりました。

カーテンコール

 

4 地の群れ

熊井啓らしい意欲満々の社会問題に鋭く切り込んだ作品になっています。原爆症であることがばれないように隠し続ける母親、部落差別に関わる様々な問題、在日朝鮮人…。人間関係がまだ濃密な時代の日本にあった差別問題をクローズアップ。真正面から問題を取り上げ告発する作品です。

 

 

5 信さん・炭坑町のセレナーデ

まだまだ人の繋がりが濃密な時代の、出会いの素晴らしさと別れの寂しさを強く感じる作品です。小さい炭鉱村ということで、ちょっとしたことがすぐに噂になってしまう窮屈さの一方で、誰かが誰かを助け決してひとりぼっちになることのない温かさ、今の時代になくなってしまったものを思い出させてくれました。そして石炭掘りという一時代を支えた産業が時代の波の中で消えていくのと同時に、それを支えた人々のコミュニティが消えていく寂しさ。一つの時代の終焉というだけでなく、日本人が大事にしてきた良いものがひとつ消えていくような、しんみりとした気持ちに最後はさせられました。炭鉱を舞台にした映画にははずれがないということで、これも傑作とはいえないまでも意義のある作品になっていたのではないでしょうか。

 信さん炭坑町のセレナーデ

 

6 血と骨

強烈な暴力シーンとセックスシーンは生々しく人間を描いていますが、やや嫌悪感を抱いてしまうような映像はやりすぎの感も。さまざまな欲望、そして情が入り乱れて強烈な生活観を匂わせる力強さというものは、監督自身の強い意気込みは感じられますし、それぞれの俳優も重い演技を熱演しています。悲劇的な結末を迎える者、情と義理を果たし続ける者、打算的に上手に生きていく者、徹底的に反抗しながらも強く生きていく者、それぞれの生き方が交錯するそれぞれのドラマチックな人生が印象的。ただもう少し優しさが出てきていても良かったようには感じました。

 血と骨

 

7 かぞくのくに

日本にも、そしてあの国にも、揃って自由に会話をすることも出来ない家族が存在することを、改めて思い知らされると同時に、普段当たり前すぎて気づかない、日本で暮らすことの自由を認識させられる映画でありました。在日朝鮮人一家の苦悩を、特に大げさな演出で必要以上に協調することなく、ナチュラルに描写されていたと思います。ただ予告編である程度中身が見えてしまっていたため、テーマは別とした作品そのもののインパクトは基本的に想定内。ほぼ事前に想像した展開で物語が進み、終わっていったため、若干の物足りなさは残りました。ただ、予告編がつまらないと、客足に繋がらないでしょうし、意外などんでん返しがというタイプの作品ではない以上、そのあたりの予告編と本編とのバランスは難しいものですね。

 

 

8 焼肉ドラゴン

在日朝鮮人コミュニティものの典型のような描写の作品で、どこか既視感がつきまとうようでした。狭い家の中にたくさんの人が集まり、濃密な関係を築く世界は、いかにも昭和であり、いかにも同郷コミュニティですが、そこでの出来事はけっして幸せなことが多いわけではなく、むしろ厳しく苦しいことの方が圧倒的に多い世界。腕を戦争で失った父親、小さいころのけがで脚に障害を抱えた長女、その長女に思いを寄せ続ける次女の夫、在日であるが故のいじめで言葉を失った長男…それでも彼らは生きていかなければならないわけで、辛い中でも前を向こうと必死に食らいつくエネルギーのようなものがあふれていました。けっしてハッピーエンドにはならなかったけれども、現代人が忘れてしまったようなものをこの映画は思い出させてくれるようでもありました。

 

 

9 夜を賭けて

生活のにおいが感じられるリアルな作品。集まれば喧嘩ばかりという小集落の仲間たちは、多少大袈裟な演技という感じもしないではないですが、エネルギーは充分感じます。ただし、あれこれ要素を積め込んでしまって、一番伝えたかったのが何かということが、うまく届かなかった印象はあります。山本太郎は熱演していますし、ベテラン俳優も脇どころをきちんとした存在感を持ってこなしているだけに、これだ、というものが一つあれば、非常に感動のある作品になったかと思うと、その荒削りなところが残念でした。

夜を賭けて 

 

10 丘を越えて

まだまだ外で働く女性が珍しかった時代、文豪であり出版社社長の菊池寛の秘書として働くようになってヒロイン(池脇千鶴)が、朝鮮人の青年との恋を経験しながら、ひとつ大人になっていくお話です。戦争に突入する直前の時代を背景とし、よく言えば時代の持つ雰囲気がどことなくゆったりと心地よい、悪く言うとヒロインの持つおっとりとした雰囲気がそのまま緩さにつながったような、そんな映画でありました。核となるのはヒロインを中心とした男たちとの恋愛劇。朝鮮の青年、雇い主である中年の大文豪、そしてストーカー。3人の男性に思われる彼女はまさにモテモテ。和服がまだまだ大勢を占める時代、洋装をしているだけで、周囲より華やいで見えます。

 

 

ランクからはみ出してしまいましたが「月はどっちに出ている」もこのテーマにはまる作品です。