●アル中映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

アル中映画 ベスト10

 

アルコール中毒者の映画の特集です。

 

1 ばかもの

成宮寛貴と内田有紀演じるカップルの何年もに及ぶ愛の変遷を描いてはいるものの、金子監督らしく、単純な恋愛ものに終わらなかったです。中盤はいつの間にかアル中映画になっていて、それがまた最後に恋愛物語に戻ってくるという構成。その間の時間の経緯の中で、二人の関係性が変わっているのを、演技の中で見せる二人にも注目でした。音楽がなかなか素敵です。

ばかもの 

 

2 何がジェーンに起ったか?

凄まじい心理劇が繰り広げられる。中でもベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォードの息のつまるような演技合戦はゾクッとするほど。アルコールい依存から狂気にはまっていく妹をデイヴィスが実におどろおどろしく演じていて、不快感も相当なもの。もちろんこの作品にはその不快感こそが重要な要素で、怖さを感じながらも目が離せないのも、デイヴィスがリアリティを吹き込んでいるゆえだろう。そして最後に明かされる意外な真実に、実に哀れでやるせない気分にさせられるのである。

 

 

3 毎日かあさん

「アル中」や「がん」を扱った作品にありがちな、観客の感情をむやみに煽るような過剰演出を極力避け、自然体の人間を見せることを主体にした方法には好感を持てました。小泉今日子は影のある役よりは、こういったあけっぴろげの役の方がはまるような気がします。自然に見せる演技が冴えていました。それと子供たちの素直で健気な演技も魅かれるものがありました。妙に上手すぎるということもなく、とにかくお父さんもお母さんも大好き!という気持ちがいっぱいにあふれていて、非常に好感の持てるものでした。けっして派手な内容ではありませんが、この家族の繋がりが素敵で、余韻の残る作品だったと思います。

 

 

4 フライト

デンゼル・ワシントンの演技は相変わらず安定しています。抜群の判断力と操縦技術で多くの人を墜落事故から救った優秀なパイロットとしての面、一方でアルコールを自分の意志で立つことが出来ずに家族からも見放された弱い人間としての面、強さと弱さの両面を同時に表現できる力はさすがで、主役としてきちんと作品を引っ張っていました。そんな彼の演じる機長を見る周囲の目が、強い面弱い面どちらを中心に見るかによって、彼自身への評価が違ってくるのは興味深いところでもありました。

 

 

5 酔いがさめたら、うちに帰ろう。

『毎日かあさん』を単に裏返した感じかと想像していたのですが、それほどウェット感はなく、むしろさらりとした作品になっていて、好感を持てました。家族関係を特に中心に据えたわけでもなく、むしろアル中と戦う人々の生態観察的な要素が強く、この辺りは好みが分かれるところかもしれません。喀血しても、医者からきつく言われても、家族に迷惑をかけても、周りでいざこざがあっても、ひょうひょうと過ごす主人公は、浅野忠信ならではの味わいが出ていたのではないでしょうか。そして永作博美演じる奥さんの元夫との距離の取り方も素敵でした。

 酔いがさめたらうちに帰ろう

 

6 800万人の死にざま

アル中で転落した麻薬捜査官を主人公にしたサスペンス映画ですが、その主役のジェフ・ブリッジスはどこか粗雑な印象で、作品全体に粗雑な印象を与えてしまう。結局はマフィアの争いなのですが、元警官らしい正義感をあまり見せてくれない主人公はどこか物足りないし、ロザンナ・アークエット演じる娼婦もそれほど魅力的には感じられません。しかしながら緊張感は全編に感じられ、サスペンス・バイオレンスとしての体裁はしっかり保っていたとは思います。

 

 

7 失われた週末

アル中男が恋人の気持ちに断酒の決心をするまでの映画で、ストーリー云々よりも、とにかくリアルにアルコール中毒者を演じきったレイ・ミランドの演技と、ビリー・ワイルダー監督の演出に尽きる作品です。カンヌで評価された演技は迫真に迫るものがありましたた。

失われた週末 

 

8 リービング・ラスベガス

こちらもアル中演技が評価された作品。演じたのはニコラス・ケイジ。退廃的なムードの中、全編ほとんど主人公の男女二人だけでストーリーが展開していきますが、救われない結末がなんとも悲しいです。

 

 

9 男が女を愛する時

アル中のメグ・ライアン演じる妻、立ち直ったものの夫婦仲が壊れていく様子は、経験がないとどうも理解しにくいところはあります。別居の間にひびは少しずつ埋められていくようなところも、そのあたりもどうも分かりにくかったかな。そけでも、その悲惨さやるせなさは伝わってきますし、そんな状態でも愛を取り戻したラストにはほっと救われた思いでした.

 

 

10 喝采

元スターの復活にかける男と妻と演出家と3人の交錯するさまざまな思いを描く作品。男(ビング・クロスビー)が自信を取り戻すまでの夫婦愛もまたこの作品のひとつのテーマになっています。。そんな夫を支える妻グレイス・ケリーが、今に作品でも美しい。

 

取り上げられなかった作品を列挙しておきます。「酒とバラの日々」「ヴァンドーム広場」「人間失格」「バージニア・ウルフなんかこわくない」「28DAYS」「美しきセルジュ」などなど