●大地康雄 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

大地康雄 出演映画 ベスト10

 

曲者ベテラン俳優をとりあげます。

 

1 檸檬のころ

進路や恋愛に悩む高校3年生、未来に対する夢や不安、不確かな自信…、誰にも経験があるような、いつの時代にも普遍的なティーンの悩みが等身大に描かれ、好感が持てます。田んぼのみえる帰り道、人気のない夜の商店街、文化祭の賑わい、春休みの校庭、卒業式を終え新たなスタートを切るまでの人生たった1回の春休み…どれもこれも懐かしいシーンで、なんとなく感傷的にもなってしまいました。携帯電話やパソコンメールといった現代的なツールが劇中に出てこず、電話も自宅電話で親が取り次ぐ形になっていて、その点がよりノスタルジーを増長してくれたのかもしれません。谷村美月演じる女子高生の父親役で大地康雄は出演。

 

 

2 Aサインデイズ

日本でもないアメリカでもない、そんな返還前の沖縄の雰囲気が色濃く表現された作品です。今とはまた違う沖縄特有の匂いのようなものが画面から漂ってくるようで、若者たちの鬱屈してぶつけどころの分からないエネルギーが、ビンビンと伝わってきました。ベトナム戦争という時代背景の中、米兵たちの前で演奏しては喧嘩をし、今でいう出来ちゃった結婚をしたものの家には金を入れず別の女と遊んでばかりのサチオ。しかし時間は確実に過ぎているもので、夢をあきらめて別の道を進む者、思わぬ道が開け新たな目標に向かう者、儚い青春の残像のようなものがあとに残るようで、ノスタルジーを感じさせる一編でした。店のマスターが大地康雄。

 

 

3 ラストレシピ 麒麟の舌の記憶

戦中の満州国と現在を行き来しながら、国のためにレシピを開発しよう使命に燃えていたはずが、隠された陰謀から何もかも失ってしまった祖父と、両親を失い施設で育った、ともに天才料理人の数奇な運命を描いているドラマです。結果として自分のルーツを訪ね歩く形で、天才料理人の末期を追うストーリーは、ミステリー仕立てで、最後まで目が離せませんでした。そしてそこに差し込まれる、独創性の強く、しかも最高の食材でつくられた料理の数々。目の前でおあずけを食らっているようで、結構苦しかったです。ドラマは数奇な運命のつながりをを見せる形で、絡まった糸がほどけていくような心地よささえ感じるラストで、映画として面白く観られました。コック長の息子の役で大地康雄は出演。

 

 

4 衝動殺人 息子よ

実際にもこの映画が追い風となって、犯罪被害者への補償を行う法律が施行されたということですから、映画の作り手や演じてはもちろん、モデルとなった事件の被害者の人たちの思いが伝わったといってもいいのでしょう。しかしこの映画が作られた時点では、立法の目途が立っているわけでもなく、その意味で、木下監督らをはじめとする映画に関わった人々の、なんとかしなければという意思は、かなりのものであったことでしょう。交通事故でも労働災害でも残された遺族に助けとなるお金は出るのに、非もなく犯罪で殺された人には何も出ない。そればかりか、忌み嫌われ、世間からも避けられてしまうことさえあるといい、悲惨な生活を余儀なくされることも珍しくないという事実。その矛盾、不公平さにメスを入れたということで、実に意義の深い作品に仕上げられていました。大地康雄はチョイ役です。

 

 

5 恋するトマト

大地康雄主演作。農業従事者にスポットを当てた国際的恋愛ドラマといえばかっこよすぎるでしょうか。前半は日本の農家の抱える嫁不足問題をクローズアップ、これは社会派ドラマかと思わせておいて、後半はフィリピンに舞台を移した恋愛劇が展開していきます。農家の長男という縛りから逃げたした中で、人が変わったように裏の仕事に手を染めていく主人公なのですが、出会ったフィリピン女性から再び農業への愛を取り戻していくという、素朴なストーリーです。人間が生きていくための根幹を成す農業という職業に誇りを持てるような、特に農業に従事する人に向けられた映画にも思えました。

 恋するトマト

 

6 ミンボーの女

伊丹十三作品の常連であった大地康雄。個人的にはマルサよりミンボーの方が面白かったです。実際にいつこのようなことに出くわすかという恐怖は、社会に出ていれば多少なりともあるわけで、そういった意味でその対処法のノウハウ映画としても興味深かったです。

 ミンボーの女

 

7 サバイバルファミリー

一言でいうと手堅くまとめたという印象で、このあたりは矢口文靖監督の職人業と言いたくなります。いつものように笑いをとるようなシーンはあまりないのですが、いかに現代人が電気に頼った生活をしていて、それがないだけでこんなに生活ができなくなってしまうものかということを、ある意味皮肉たっぷりに、現代人を笑い飛ばしてしまおうというそんな気概の作品として受け取りました。それぞれ勝手なことをして周りに無関心の家族が、危機的状況の中で反発したりぶつかり合ったりしながらも、いざいなくなると、やはり大切な存在だと気づく、家族再生物語としての部分も持ち合わせた喜劇ともいえるでしょう。途中で主人公一家を世話する農家のおじさん役で大地は登場。

 

 

8 マルサの女

伊丹十三監督の代表作である風刺コメディです。バブル全盛期の時代の匂いがプンプンと匂ってくるような作品で、当時の世相を今となっては興味深く覗くことができます。 マルサのメンバーの一人を大地康雄が演じています。

 

 

9 蝉しぐれ

もちろん時代劇なので刀で人を斬り血が飛び散るシーンもあるのですが、どこかスマートで整った印象。それが良く言えば日本古来の奥ゆかしさが、自然の景観と重なって叙情豊かに描かれているといえるし、わるく言えば主人公の二人に人間くささがあまりかんじられない悟りきった清廉潔白に描かれすぎているともいえるでしょう。大地の役名は青木孫蔵。

 

 

10 レオニー

レオニーという人物の存在自体、この映画で知る前はまったく聞いたことがありませんでしたので、この時代にこういう生き方をした米国の女性がいたということそのものは非常に興味深かったです。確かに変わり者であったと思いますし、現代人からしてもなかなか彼女の行動を理解することは難しいのですが、女性・外国人・未婚の母というハンディをいくつも背負いながらも自分の気持ちに忠実に生きた姿勢は、意思の強さを感じました。映画ではその彼女の人生を、奇をてらわない構成で順に描いていったので、見やすいものになっていたと思います。大工の棟梁の役で大地康雄は出演。