牧瀬里穂 出演映画 ベスト10
前回の日本女優ベスト10では
かつての3Mの一人、宮沢りえさんをとりあげましたので、
今回も3Mから牧瀬里穂さんを特集します。
なおもう一人の観月ありささんは、極めて映画出演が少なく
ベスト10は断念しました。
『7月7日、晴れ』なんて素敵な作品もありますが…。
1 ターン
ほとんど出ずっぱりの牧瀬がショートカットで好演。無人の街で戸惑い、一本の電話にすがって「あっちの世界」への脱出を願う女性の役を演じ切っています。無人の街の様子も映像的に印象に残ります。その中で、観ている側も主人公になった気持ちで復活を一緒に願わざるを得ない心境にさせられ、そして最後は良かったとほっと一安心。
2 ジャンプ
ミステリー調の前半から、そしてラブ・ストーリー、最後は人間の生き方まで問うような展開の中、特に運命というものを強く感じさせられる物語です。偶然が重なったことで、帰宅しないまま出掛けることになった恋人、その重なり方は来るべき結末のための運命だったのか、最後に達観したようにそのことを悟る主人公に、5年半の間の成長をうかがえます。よくよく考えると、連絡ひとつできなかったのかとも思える部分はあるのですが、謎解きをするように観る者をひきつけていく構成は、行き着くところがやや意外なところであったにしろ、なかなか巧みでした。行方不明の妻を探す主人公の同僚役で牧瀬里穂は出演。
3 卓球温泉
主婦業に追われ、夫も息子も会話さえなく、ほぼ家政婦状態。そんな毎日に嫌気がさし、ほぼ無責任なDJの言葉にたきつけられてやってきた温泉。今のように卓球が人気スポーツでなく、温泉地でついでに遊ぶものぐらいの認識しかない時代だからこそ、卓球に温泉復活を託すという設定が、大きな意味を持っていたのでしょう。ひなびた温泉、人気のない冴えないスポーツ、退屈な主婦業…そんなしょぼくれたものが一緒になることで、それらのすべてに力を与えようということで、冴えないと感じている人には大いに元気を与えてくれるような作品になっていたのではないでしょうか。シンプルでも感情移入しやすい、そんなハートフルなコメディで、最後にみんなが生き生きとした表情になっていくのが印象的でした。温泉旅館の娘でもあるラジオDJを演じるのが牧瀬里穂。
4 美しい夏キリシマ
戦争映画ではありますが、田舎ののんびりしたムードが相まって、普通の戦争映画とは違う味をかもし出しています。こんな田舎にも戦争の影は大きく落とされているのですが、徐々に癒されていく中で成長していく主人公がだんだん逞しく見えてきます。牧瀬さんは主人公の叔母さん役。
5 東京上空いらっしゃいませ
牧瀬里穂のかわいらしさ全開。そしてそれがすべてであるともいえます。死んだはずのキャンペーンガールがなんでもない顔をして戻って来て、サラリーマン中井貴一を振り回しすそのきままぶりが、世話は焼けるけれどほっておけないのがよく伝わります。アイドルを上手に使う相米慎二らしく、当時売り出し中のアイドル女優の魅力を引き出して、不思議な感覚の世界に観ているものを引き込んでいきました。
6 顔
牧瀬里穂演じる仲の悪い妹を殺害し、そのまま家を出て逃避行を続けた主人公を藤山直美が熱演した阪本順治の渾身作実際の犯罪をモデルに作られた作品で、殺人を犯して、バーや田舎の小島に身をひそめる冴えない女の半生を描いています。
7 花
重病を抱えながら、これまた病気を抱えた一人の弁護士の男を鹿児島まで送っていくというロードムービー。演技派俳優を多くキャスティングし、安心して観られる作品です。病気を扱うと、どうしても湿り勝ちになってしまうのですが、どこか不思議な爽快感が漂ってくる作品になっています。弁護士の亡き妻が牧瀬さん。
8 HINOKIO
引きこもりや子供の自殺という社会問題をテーマにしながら、子供が観られるファンタジーとして仕上がっています。前向きになって終わるラストは、この映画には当然必要な結末。作り手の狙いは分かるし、近い将来、外に出られない子供たちのために、ロボットが身代わりになって学校に通ったり、友達遊んだりということも現実にありうるかもしれないなという気にはさせられました。ロボットを開発した主人公の少年の父親の助手が牧瀬里穂。
9 星に願いを。
リメイク作品である上に、それ以外の作品にも類似点が多く、オリジナリティが薄いのが残念。終盤の盛り上げ方は悪くなく、竹内結子が叫びながら吉沢悠を探すシーンは、少なからずジーンとくるものがあります。父親の分からない子供を妊娠している姉の役で牧瀬さんは出演。
10 遠き落日
誰もが知っている野口英世の一生を、母親との関係性を軸に描いた正攻法の伝記映画です。遊びがほとんどなく、まさに文科省推薦のような良くも悪くもくそまじめな作品となっています。あまりにも有名な人物すぎて、いろいろ脚色するのは難しかったのでしょうか。特に目新しい発見もなく、面白味がもう少しあっても良かったとは思います。牧瀬里穂は相手を演じています。