ホテルの客室が舞台の映画
ホテルは恋愛のドラマにも、家族のドラマにも、
殺人事件にもはまる場所。
そんなホテルでも、主として客室の中を舞台にした作品の特集です。
1 THE 有頂天ホテル
次から次へと出てくるキャラクターが登場し、シーンが目まぐるしく動いていくので2時間16分があっという間。なので宴会場やロビーのシーンも多いのですが、部屋のあちらこちらでも大騒ぎ。複雑にからみあった人間関係がうまくまとまっていて、三谷幸喜の本領発揮といったところ。
2 さよなら歌舞伎町
ラブホテルに集う様々な人々のほんのりせつないドラマが繰り広げられる、ちょっとほろ苦い群像ドラマになっています。今日が最後と決めた帰国直前の韓国ホテトル嬢、家出娘を騙そうとして逆にほだされてしまった風俗スカウト、ミュージシャンデビューを夢見て恋人がいるにもかかわらず枕営業をする女性、不倫中の刑事カップル…。群像ドラマなのでどうしても起承転結は弱くなりますが、それぞれに計算の部分と人間的な感情の部分が見え隠れして、興味深く観ることはできました。
3 モーテル
冷めきった夫婦が宿泊したモーテルでの一室における恐怖の体験。ルーク・ウィルソン&ケイト・ベッキンセールというそこそこの俳優が主演にも関わらずB級テイスト満点。コンパクトながら、怖くてなかなか面白かったです。
4 カリフォルニア・スイート
アカデミー賞の授賞式のためにやってきた女優を始めとした4組の客を迎えたホテル。それぞれの部屋でちょっとした騒動が起こるわけで、ホテル映画にありがちな群像映画となっています。群像ものの妙味であるそれぞれの繋がりがほとんどないのが残念。
5 ノックは無用
ホテルの密室を舞台にした心理ドラマです。なんといってもマリリン・モンローが次第にその狂気を露わにしていく異常者を演じているのが衝撃的。
6 グランド・ホテル
いわゆる「グランド・ホテル」形式という言葉が使われるようになった、その元となる映画。複数のホテルの部屋で繰り広げられる複数の宿泊者たちの群像ドラマ。この古典中の古典には、当時のスターがずらり。
7 フォー・ルームス
タイトルが示すように、ホテルの4つの部屋でシュールな寸劇が繰り広げられますが、どれもこれもナンセンス。独特のセンスで、ちょっと人は選ぶ感じかな。違う監督ながら統一感があるのは、狂言回し的な存在のティム・ロスの存在も大きいでしょう。
8 バートン・フィンク
ハリウッドに招かれた舞台脚本家の行き詰まりをめぐるコメディです。コーエン兄弟監督作にはおなじみのジョン・タトゥーロにジョン・グッドマンという曲者俳優。ホテルの一室で脚本を執筆する男が経験した奇妙な出来事の顛末を描いています。
9 1408号室
宿泊した56人の客が全員死亡したという記事を読んで興味を持ち、その部屋に泊まった男に襲いかかる恐怖の出来事。ジョン・キューザック主演のホラー映画です。…でも、あまり怖くないです。
10 シーサイドモーテル
ドラマにしろ、コメディにせよ、こういった類の群像劇は、プロットとしては興味を引いても、なかなか作品としてうまくまとまらないことが多いもので、この映画も残念ながらその伝を踏んでしまいました。ひとつひとつのエピソードは面白そうに見えるのですが、結局なにも話が発展していかないし、4つの部屋が絡みあう妙味も薄いのです。