●フランソワ・オゾン 監督映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

フランソワ・オゾン 監督映画 ベスト10



フランスの監督の中では、日本での公開率が非常に高い監督。

作品の幅も広く、引き出しが広いのも特徴です。

名優たちとの仕事も多く、俳優さんたちの信用も厚いようです。



1 8人の女たち

女達の陰湿な秘めた思いがぶつかり合って、次は何が出てくるのか目が離せない展開。しかもミステリーの形をとっているために、犯人探しの興味も最後までつきません。時折訪れるミュージカルのシーンはコミカルで愉快ですし、キャラクターもそれぞれがいい味を出しています。そして演じる女優陣達のなんと豪華なこと!ドヌーヴ、ベアール、ユペールといった大御所から若手人気女優までずらり。それだけでも観る価値ありでしょ。


8人の女たち


2 エンジェル

小説を書くことが好きで、とにかく小説家として成功することを信じてやまない少女が、実際に小説家として成功しながらも、人生の歯車が狂いだしていく様子を描いた壮大な人生ドラマです。とにかくひとつのことに夢中になると、周りの忠告など一切聞こうとしない主人公エンジェル。その面でいうとエンジェルはとても「嫌な女」です。それでいて、名声、富、愛する男性、豪華な生活などなど欲しいものを次々と手に入れる強かさ、その部分では「憧れ」の女性であるかもしれません。


エンジェル


3 17

それにしてもこの少女の冷めた心はどこからくるのでしょうか。初体験の青年に対しても、パーティで出会った青年に対しても、まったく執着心なく、スパッと切ってしまう潔さ。行為は行為以上の意味を持たず、それでいて友人の経験には親身になって聞くことができるのです。何か大事なものが欠如しているように思えてしまうのですが、そう思うとちょっとゾッとする怖ささえ覚えます。


17歳


4 ぼくを葬る(おくる)

一人、密かに死んでいく覚悟を決めた青年の姿は、ある部分理想でもあるし、同時に最も現実的でない選択でもあるとも言えるでしょう。取り乱すことなく、他人に助けを求めるでもなく、やけっぱちになるでもなく、ただ淡々と残りの時間の中でできることをこなしてしきながら、残り僅かな生きている時間を味わっている姿は、すでに人生を達観しているように見えます。オゾンの引き出しの中の1つである繊細さが現れた作品。


ぼくを葬る


5 危険なプロット

師弟、夫婦、友人、親子という人間関係の危うさを描いた緊張感あふれる心理ドラマでもありますし、強烈なしっぺ返しを用意したブラックコメディともいえる作品です。物語を書き進める者とその出来上がりを密かな楽しみとして待つ者、どこかでブレーキをかけないといけない立場である教師が、その使命を理解しながらも、欲求に負けてのめり込んでいく様子が、人間の弱さを表しているようでした。


危険なプロット


6 スイミング・プール

シャーロット・ランプリングとリュディヴィーヌ・サニエ、新旧女優の対決的な様相を示すサスペンス映画です。若さのはじける魅力に対し、経験を積んだ怪しい魅力と、二人が惜しげもなくヌードを披露。太陽が反射する別荘のプールの光の中に秘められた影…。謎が謎を呼ぶ展開で、とにかく不思議な魔力を持った作品になっています。


スイミングプール


7 しあわせの雨傘

カトリーヌ・ドヌーヴの貫禄を改めて見せつけられた思いです。未だに主役俳優として最前線でフランス映画を引っ張り続けているという事実だけで感服ですね。特に後半の展開はそんなドヌーヴの貫禄があってこその説得力だったと思います。もちろんジェラール・ドパルデューやファブリス・ルキーニといったおなじみのベテラン俳優も安定した演技で存在感を示してくれました。一主婦の社会的自立に至る過程は観ていて実に爽快でした。


しあわせの雨傘


8 Rickey リッキー

なんと赤ちゃんに羽根が生えて空を飛びまわるようになってしまうという、寓話のようなホームドラマのようなファンタジー映画です。ここでもオゾンの引き出しの広さを感じずにはいられません。バラバラだった家族をひとつにしていくこの赤ちゃんに、家族とは何か?なんてことを考えさせられたのです。


リッキー


9 まぼろし

夫の死という現実を受け入れられずに、ともすると異常な行動をとってしまうような未亡人を、ランプリングが円熟味あふれる深みで演じているのが光る作品。物語性のある作品ではなく、むしろその心理の移ろいを感じる映画だといえそうです。


まぼろし


10 ホームドラマ

なんとも奇妙奇天烈な作品。近親相姦・同性愛・乱交・SMとあらゆるものを積めこんでごちゃ混ぜにして出来上がったというもの。しかも最後の巨大ねずみ。独特なシュールな世界は、いったいどう理解すればよいのか。実に変な映画。でも気になるのです。


ホームドラマ