小さな小売店の映画 ベスト10
個人や家族で経営する小さな小売店を舞台にした映画のピックアップです。
1 幸福のスイッチ
家族経営の田舎町の電器店を舞台に、ほのぼのした気分の、あったかい余韻が残る映画です。怪我をした父親に代わりいやいやふてくされながら手伝っていた上野樹里演じる主人公が、喜んでくれるお客さんの顔を見ているうちに、頑なな心も次第にほぐれていくのです。
成長しきれない若者を、暖かい視線で描いた好感の持てる作品であると同時に、商売とは何かということも教えてくれているような気もしました。
2 六月燈の三姉妹
シャッター商店街の一角にある和菓子屋さんを舞台に、それぞれ問題を抱えた姉妹3人が織りなすドラマを描いた作品です。地方ならではの夏の風情を背景に、ゆったりとしかし確実に時間が進んでいく中で、それぞれの生活もまた一歩一歩進んでいく様子が穏やかに描かれ、好感が持てます。
3 ショコラ
フランスの小さな町にやってきてチョコレート店を開くシングルマザー。大人のおとぎ話という雰囲気で、チョコレートのおいしさで保守的で閉鎖的な街の人々の心を開き、情熱を目覚めさせていきます。
4なくもんか
商店街にある家族経営の総菜屋さんが舞台。涙あり笑いありの安定したソツのない脚本、そして阿部サダヲならではのキャラクターづけと、安心して観られる人情コメディになっていたと思います。
5 繕い裁つ人
洋裁店でコツコツと服を一着一着ミシンで作り続ける職人気質の女性を主人公にしたドラマ。職人という言葉のイメージ通りに融通が利かなくて頑固一徹の主人公。しかしその胸の奥に眠るオリジナリティへの憧れ。頑ななその気持ちがほぐれて一歩踏み出そうとするまでの交流を描いています。
6 カフーを待ちわびて
南の島で雑貨店を営む青年と、島に現れた謎の美女との不思議な交流を描いています。偶然と非現実が混ざり合って織り成す無垢なラブ・ストーリー。何もない南の島の光景やしきたりがまるで御伽噺の世界に引き込むような効果を持ち、幻想的なムードさえ作り出しています。
7 森崎書店の日々
昔ながらの静かな古本屋で、失恋の傷を癒すヒロインの人生の転換の間のひと時の休息を、穏やかな視点で描いた作品です。古本屋街の独特の雰囲気が、都会の喧騒のせわしなさをシャットダウンし、どこかほっとさせてくれるような作品です。人々との交流、そして男との決着を経て、新たな人生の第二幕へと向かうヒロインの決意が最後に伝わりました。
8 僕らのミライへ逆回転
街角のおんぼろビデオ店を舞台にした、とにかま映画愛にあふれたコメディ映画です。実際の名作映画を、少人数の仲間内だけで真似して作ろうという試みには、作り手側の本当に映画が好きなんだという気持ちが伝わると同時に、遊び心も感じられ、実に微笑ましい。とにかく映画好きにはたまらない作品です。
9 スモーク
ブルックリンの街角のたばこ屋を舞台に、人の心の温かさがジワッとにじみ出るような作品です。犯罪にあふれたニューヨークの街ですが、この店の中はどこか平和的な空気が流れ、なんともいえない味わいに繋がっています。
10 あかね空
豆腐屋の夫婦の絆と家族愛を描いた時代劇です。誇りとプライドとをもって豆腐を作り続ける頑固な夫。さまざまな困難に遭いながらも、豆腐を一途に作り続けていく姿はまさに職人。