●2013年 鑑賞映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

2013年鑑賞映画 ベスト10

 

今年の新作鑑賞も最後となりましたので、毎年恒例の年間ベスト10です。

劇場鑑賞本数が4年ぶりに250本を超え、

例年のごとく、劇場鑑賞映画に本年公開でDVD鑑賞に間に合った数本を加えた中から

お気に入りの10本を選びました。

今年は抜群の作品がなかったのですが、それに準ずる作品はかなり多く、

全体としては久しぶりに充実していたように思います。

ベスト10もかなり接戦で、いつも以上に悩みましたが、なんとか並べてみました。

ラインアップとしては青春映画が多くなっています。

 

①ももいろそらを

女子高生の今を描いたモノクロ映像による青春映画です。池田愛演じる主人公いづみが非常に魅力的ですし、周りの人物たちもキャラクターが経っていて、作品に引き込まれてしまいました。このいづみちゃん、言葉は汚いし、年上のおじさんに対しても高圧的、いつも一緒にいる友人たちにも常に不機嫌で喧嘩腰、学校はさぼる、お金は抜き取るで、およそ「いい子」とはかけ離れた存在。いまどきの女子高生は…なんてついつい言ってしまいたくなるような女の子なのです。でも逆にそれだからこそ、ここぞという時に見せる思いやりが心に響いてくるのですよね。友人にダブルのショックを与えないための一芝居もそうですし、ラストのシーンもそうです。それに怒ったり、笑ったり、困ったりといった表情の変化が素晴らしい!さらには、女子高生の日常の何の意味もない会話のやり取りがまたリアルで、今この時間に女子高生として過ごしている彼女たちの「生」が感じられました。話の展開としても、めぐりめぐって返ってくる運命的な連鎖に、おもわずニヤリ。モノクロの映像によって、どこかピーンと張りつめたような空気感が常に漂い、一味違う青春映画になっていたと思います。よく出来た作品でした。
ももいろそらを
 

②あの頃、君を追いかけた

回想形式で高校から大学時代を追っていく台湾の青春映画。お互いに相手に気持ちがあるのにもかかわらず、すれ違っていく二人。ここぞというところで自信が持てない男、相手からの告白を待っているものの自分からは踏み込めない女。観ている側からすると、二人の気持ちはあちらこちらに明確に表れているのに、進んでいかない関係がもどかしくて仕方ありません。その不器用なゆえに生まれてくる切なさには、おもわずキュンキュンしてしまいました。最終盤でそんな恋する気持ちが現れたシーンを改めて切り取って編集していますが、そこだけ切り取って見せられると、あーそれなのにそれなのにと、自分がコーチンになった気持ちで後悔の念でいっぱいになってしまいます。まだ携帯電話もメールもないころに始まった恋、途中から携帯電話が登場し、そんなところにも月日の長さを感じさせられます。主演の二人も可愛らしく、魅力的な作品でした。


あの頃君を追いかけてた

 

③カノジョは嘘を愛しすぎてる

切ない恋愛を絡めた音楽青春映画です。この映画のヒロインとして、人気歌手に演技させるのでもなく、歌の歌える女優に歌わせるのでなく、ましてや別の映画で佐藤健がやった究極の音消しで誤魔化すでもなく、この映画に何よりも聴く者を惹きつける歌唱力と歌声を持った新人を抜擢したことが、結果的に大成功に繋がったといえるでしょう。さらに作品内に使われる楽曲についても、きちんとこの作品用に、一定以上のクオリティをもったものを作ってきたので、音楽映画としても説得力のあるものになりました。コミック原作らしく、登場人物のキャラクターも明確で分かりやすく、敵味方がはっきりしているので、感情移入もしやすい構図。映像的にも奇麗に撮影されていて、総じて期待を大きく上回る出来映えです。まっすぐに秋を思う理子と、色色なしがらみの中で「嘘」をつかざるを得ない秋、二人の心情を思うと、観ている方も切ない気持ちになってしまいました。良かったです。


カノジョは嘘を愛しすぎてる

 

④タイピスト

とびきりキュートでポップ、そして元気のでるフレンチ・ラブ・コメディは、観ている方も幸せな気分になれる素敵な作品でした。なんといってもデボラ・フランソワ演じるヒロインのローズがとてもチャーミング!田舎から出てきて憧れの秘書に就いたまではいいですが、どこか抜けていて、秘書としてはやはり物足りない。でもその垢抜けない田舎者っぽさも、「出来る女」にはほど遠いだめさ加減も、この作品では素朴で飾らない頑張り屋さんという魅力にすり替わってしまうのですよね。次第に惹かれあっていきながらも、社長と秘書、コーチと生徒という立場から、なかなか表だった恋愛関係には進展しない様子もまた、可愛らしいのです。さらにはラブ・コメディには欠かせない脇のキャラクターがまた魅力的で、特に親友夫婦の存在は、この映画を温かいものにしてくれています。ファッション、小道具も50年代的なおしゃれを楽しめました。


タイピスト

 

⑤渾身 KON-SHIN

地方相撲を扱った作品ですが、特に臨場感たっぷりの映像と音声が素晴らしく、まるで目の前で相撲を観戦しているような、そんな感覚を覚えました。賑やかな音声からそれぞれの陣営や家族・観客たちの熱狂ぶりも手に取るように伝わりましたし、夜に電気をつけた中で行われる取組の映像もまたいいアングルで美しく撮られていたと思います。そして伊藤歩も健気に亡くなった親友の娘、そして夫を支える姿を好演、素敵でした。さらには敵陣営となるライバルにも親子のドラマがあることを描いていたことで、単純に敵対関係の構図を作ることで主人公側に感情移入させるというだけでなく、相手側には相手側の背景があるということもきちんと触れる優しさが素晴らしく、納得の出来。


渾身KON-SHIN

 

⑥世界にひとつのプレイブック

この作品が魅力的に映るのは、なんといってもジェニファー・ローレンスにつきるでしょう。彼女の豊かな表情を観ているだけで、スクリーンに引き込まれていくようでしたし、セリフの言い回しひとつひとつがチャーミング。けっして品のある役柄ではないにも関わらず、可愛らしくて嫌味もなく、特に最後に自分の気持ちが隠せなくなってしまうシーンなどはキュンキュンです。ラブコメの場合、ヒロインが嫌悪感を持たれてしまうとアウトですから、そのあたり絶妙なところでバランスとった演技だったと思います。脇役陣もなかなか贅沢なメンバーで賑やか。前半はそれほどでなくても、山場の見せ方が上手く、いい印象で観終わることができました。


世界にひとつのプレイブック

 

⑦横道世之介

懐かしくて、微笑ましくて、そしてせつない、まさに「CHA-CHA-CHA」や「MONOTONE BOY」がヒットしていた時代に、地方から上京して大学生活を送っていた身にとっては、たまらない青春映画です。2階建ての木造アパート、シャツインのファッション、連絡は固定電話、ねるとん、車…まるでタイムスリップをしたように、心はあの頃に連れて行かれました。バブル景気で世の中全体が浮かれている時代、そんな雰囲気もあちらこちらに出ていましたね。そんな背景の中での二人の恋愛模様も、進んだり止まったりで、どこかもどかしい感じが微笑ましかったです。そんな青春時代に差し込むように、10数年後に思い出として世之助が語られ、そして消息が明らかになる構成も、懐かしさを誘いました。短期留学に立つ祥子に「帰国後真っ先に見せる」と約束した写真が、10数年経って初めて祥子の目に触れた事実。そのことを思うと、映画のラストシーンのあと世之助と祥子に何が起きたのか、想像すればするほどさらにせつなくなるのです。


横道世之助

 

⑧クロニクル

このアイディアがあったかという、まさに企画の勝利。最初は、ホラー映画に多いドキュメンタリー風低予算映画かと思いきや、実はしっかりと映像に予算をかけて作られた本格的なSF映画だと分かるわけで、いきなり作品の本質を明かさないで、徐々にレベルを上げていく技にしてやられました。1時間30分に満たないコンパクトでまとめたことも正解。展開自体は単純なのですが、時間と見せ方の妙で最初から最後まで退屈することもなく一気に観ることができました。面白かったです。


クロニクル

 

⑨黒いスーツを着た男

最初から最後まで緊張感あふれる心理描写が見事で、一時もだれることなく、スクリーンに惹きつけられっぱなしでした。とにかく登場人物相互のすべての関係にピリピリ感が漂い、緩まるところがありません。主人公アラン対目撃者、被害者の妻、同僚、婚約者、社長。目撃者対被害者の妻、恋人、そしてアラン。隠し事や罪悪感が彼ら彼女らの心理状態を圧迫するようにつき上げ、さらにそれらが新たな隠し事や罪悪感を産んでいくという展開に、観ている方も緊張し続けている状態。良くできた心理ドラマとして堪能できました。


黒いスーツを着た男

 

⑩ジンクス!!!

恋に奥手な男女を結びつけるための恋愛指南に励む韓国留学生を描いたラブ・コメディ、と簡単に言ってしまうことができるのですが、これが最後にキュンキュンしてしまいました。二人の周りの友人たちも、映画を観ている観客も、二人がお互いに好きなのは明白なのに、当の本人たちだけがまったく自信がなく、勝手に落ち込んだりしている状態。よくあることかもしれませんが、観ていてもどかしい状態が続きます。今どきの子にしては、ちょっと子供っぽいかなという部分もあるにはありますが、そのあたりは清水くるみが好感の持てる演技でカバーしています。一方秘密を抱えながらも、友人の為に懸命に動く彼女もまた、健気なんですよね。そんな風に3人に感情移入させたうえでの、告白のシーンに繋がっていくわけで、そりゃ気持ちは盛り上がっていきますよ。しかも相手に気持ちがないと思っていながらも、友人の為に告白を演じようとする切なさ…。全体的に幼さはあるものの、恋する気持ちってこうなんだろうなって、忘れていたものを思い出されてくれるような、素敵な映画でした。


ジンクス

 

 

泣く泣くランク外となった作品が今年は多かったので、順不同で挙げておきます。『建築学概論』『凶悪』『きっと、うまくいく』『キャプテン・フィリップス』『陽だまりの彼女』『ホワイトハウス・ダウン』『サイド・エフェクト』『ラストスタンド』『パッション』『王になった男』『そして父になる』…