●2010年鑑賞映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

2010年 鑑賞映画 ベスト10




今年の劇場での映画鑑賞の予定が終了しましたので、

恒例のように年間ベスト10をまとめてみました。

2010年に劇場鑑賞した227(昨年。一昨年より減ってしまいました)を基本に、

今年全国公開された作品の中でDVD鑑賞に間に合った作品を加えたものから選びましたが、

当方は地方在住なので、全国公開は昨年であったものが若干227本には含まれてきます。

あくまでもこちらでの公開が2010年になってからの作品の中でということでご容赦ください



個人的には、昨年に比べるとこれといった作品がなく、やや残念な年ではありましたが、

その分逆に接戦となり、ランク付けにも迷いました。







①君が踊る、夏

それほど評価の高い作品ではなかったかもしれませんが、シンプルなこの青春映画が、今年の映画の中ではもっと私の心をひきつけました。メインキャストを支える周囲の絡め方のバランスが良く、非常に人どうしの繋がりを感じる作品になっていたと思います。地方を舞台にしていることが、そこに大きく生かされていたのではないでしょうか。またその脇役-高島礼子、宮崎美子、隆大介、そしてDAIGO-のキャラクター付けも良かったのですが、なんといっても溝端淳平の相手役に抜擢された木南晴夏。彼女のことは「20世紀少年」で気にはなっていましたが、これだけ出番の多い役はやはり「抜擢」といっていいでしょうし、結果からすると、この役に合っていて正解だったと思います。けっして美人ではないですが、表情の豊かさが魅力的で、地方で地道に生きる香織役にはぴったり、観ていて思わずキュンとしてしまいました。


映画いろいろベスト10-君が踊る夏



②春との旅

心を揺さぶられずにはいられない作品でした。小林政広監督らしく、まさに今日本が抱えている社会問題を今回もテーマにしてはいますが、今作では前半と後半で主題を少し移行させ、より深みのあるものになっています。高齢化社会と家族形態の変化、さらには近所付き合いの希薄化等により深刻さを増す老人問題は決して他人事ではありません。この作品では必ずしも「すべて」でないという立場で、別の家族のあり方のヒントも最後に示してくれ、とにかく非常に考えさせられることの多い2時間強になりました。キャストについてもとにかく脇役まですべて芸達者を揃え、その中で仲代達矢が実に味のあるそして自然な演技を見せてくれます。大俳優ですから当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが、さすがにこの年齢になると脇に回ることが圧倒的に多くなる中、まだまだ主演俳優とした映画を支える力があることを示してくれました。そして、このメンバーの中に入ってもまったく引けをとらない徳永えりがまた素晴らしい。仲代と対等に対峙し、堂々と渡り合っていました。


映画いろいろベスト10-春との旅



③おにいちゃんのハナビ

最後まで笑顔を絶やさずに兄の社会復帰のことばかりを気にして背中を押し続けた健気な妹、その気持ちに遅まきながら応えようと自らの意思で行動に移すことができるようになった引きこもりの兄、そして二人を見守る両親や仲間たち。まったく奇をてらわないストレートど真ん中の勝負で賭けてきたドラマに、素直にいい映画だと思うことができました。配役も話題性より実力重視ということで、主だったキャストは映画ではおなじみの面々。それだけ観ても、この映画に対する姿勢は伝わってきます。家族や仲間を思いやる心がびしびしと伝わってきて、観ている方も優しい気持ちになれるような気がしました。


映画いろいろベスト10-おにいちゃんのハナビ



④さんかく
吉田監督、相変わらずうまいです。年の離れた小悪魔的女性に舞い上がって一人芝居を続けるイタイ男を描かせたら絶妙ですが、しかも今回は男だけでなくイタイ女性まで登場。これもまた見せ方が上手なのですね。おまけに3人が3人ともストーカーということで、他人がしていることはわかっても、自分の置かれている状況についてはまったく気づいていないという痛さ。これぞまさに恋の病。監督もそうとう苦しんだことがあるのではないでしょうか。高岡蒼甫、田畑智子、そして小野恵令奈と、それぞれの個性が遺憾なく発揮され、とにかく、観ている間暗闇の中で終始ニヤニヤしどうしでした。面白かったです。

映画いろいろベスト10-さんかく



⑤闇の列車、光の旅

ロードムービー+バイオレンス映画という趣きの緊張感あるサスペンスフルな展開で面白かったです。まったく別々のところで始まった2つのストーリーが途中で一つに合体し、そこからは殺し殺され、追いつ追われつ、逃れ逃れずの早い展開。誰が生き残り目的を達成するのか、そんなサバイバル合戦のような面白さがまた2か所で行われているので、とにかく目が離せませんでした。そして面白かったのは、少女の選択。最も危ないの思われた選択にみえたのですが、実はそれが正解だったのかもと思えるような結末。そのあたりも皮肉が利いていて興味深い脚本でした。


映画いろいろベスト10-闇の列車光の旅



⑥ぼくのエリ 200歳の少女

ラブロマンスであり、SFファンタジーでもあり、ホラーでもあるこの作品、吸血鬼映画の傑作といってよいでしょう。今まで散々観てきた吸血鬼映画の多くに面白さを感じなかったのですが、この映画については観進めるほどに深みが増し、観終わってからもあれこれ考えたくなるような不思議な余韻を残してくれます。劇中の謎について明確な答えを提示せずに、巧みなほのめかしで答えを観客に推理させるような演出もまた心憎いばかり。二人のキャスティングも見事で、対照的かつ個性的な二人はこの役にぴったりですし、演技も非現実的な設定に全く違和感を覚えさせない素晴らしいものでした。


映画いろいろベスト10-ぼくのエリ200歳の少女



⑦あの夏の子供たち

幸せな一家に起こった悲劇による喪失感が、リアル且つ緊張感のあるタッチで映し出され、痛いほど心に伝わってきました。父親の目線から仕事の窮地と幸せな家族との時間を描いた序盤、母親の目線から父親を失った家族や仕事場の喪失感を描いた中盤、そしてどこかで踏ん切りをつけて再生に向けて動き出す時間を長女の目線で描いた終盤と、それぞれ主となる人物が異なるのも興味深いところ。つまりこの映画の主人公は、誰というよりも、一家そのものなのでしょう。幼い次女・三女たちの立ち直りの早さが逆に悲しみを誘い、男としてはかなり考えさせられる作品でもありました。


映画いろいろベスト10-あの夏の子供たち



⑧プレシャス

冒頭から一気に引き込まれ最後までそのまま惹きつけ続ける、そんな力強いドラマでした。自分らしく前向きに生きていく「意志」の大切さ、そして相手を思う愛情の力、そんなものがひしひしと伝わってきて、自分勝手な不平不満を並べてついつい後ろ向きになってしまいがちな自分に対して、どこか叱咤してくれているような、そんな気持ちにさえなりました。キャスティングがこの作品の成功の要因の大部分を占めていたといってもいいかもしれませんね。ただこのラストシーンにはとても複雑な気持ちになったのも事実。徹底的に悪役として描かれていた母親ですが、それでもやはりこの最後の場面にはなんともやるせない思いを覚え、この後がとても気になりました。


映画いろいろベスト10-プレシャス



⑨マイレージ、マイライフ

良く出来た映画だったと思います。人生にとって大事なことは?、他人に責任を負わず自由に飛び回る人生の行く末は?、そんな問いに対する答えを、分かりやすく、そして皮肉もこめて教えてくれるような作品でした。やり手の解雇通告マンをジョージ・クルーニーが好演、自分が歩んできた人生の道、共感してくれる相手が現れたかと思いきや、実はそれはメインストリートでなく、メインストリートに疲れたときに歩く寄り道だったと気づいたときの孤独感・寂しさにちょっとだけ同情さえしてしまいました。ヴェラ・ファーミガ、アナ・ケンドリックといった女性陣もそれぞれ役目を果たし、魅力的な演技をしていたと思います。脚本も練られていて無駄がなく、最初から最後までスムーズにストーリーも流れて、そのあたりは数々の賞にノミネートされたことだけはありますね。


映画いろいろベスト10-マイレージマイライフ



⑩台北に舞う雪

チェン・ボーリン演じるモウ青年の徹底した「いい人」ぶりが見事にはまっていて、静かではかないラブ・ストーリーとして好感を持ちました。すべてのことを受け止めるような主人公の包容力の中に、観ている方まで包まれてしまったようなそんな感覚に陥ってしまいました。都会の真ん中から外れ、人々の人情がまだ残るそんな町の雰囲気が、癒してくれるようでもあり、ついつい優しいムードに引き込まれてしまったのです。そんな中で描かれる、本来なら会うはずのない別々の世界で生きる二人。いつかは戻らないといけない、戻さないといけないとお互いに理解していながらも、離れがたい気持ちが日ごとに増していき、戻るタイミングについても、周りが探してくれるのに任せているような、自分で決めたくないようなメイ。その時がついにきたときのモウの心の内がとても切なく響いてきました。タイトルのつけかたも情緒的で、作品自体の印象にも貢献していたように思います。


映画いろいろベスト10-台北に舞う雪



以下ベスト20まで


RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語

⑫霜花店~運命、その愛~

⑬息もできない

⑭抱擁のかけら

(500)日のサマー

⑯きみに微笑む雨

⑰ゴールデンスランバー

⑱過速スキャンダル

⑲ソフトボーイ

⑳誰がため