「マジック・フォー・ビギナーズ」/さあ、どこまで跳べる? | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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ケリー・リンク, 柴田 元幸

マジック・フォー・ビギナーズ (プラチナ・ファンタジイ)


久々にわっけわからない小説を読みました。私の読みこなす能力も、全然まだまだだなぁ。

目次
妖精のハンドバッグ
ザ・ホルトラク
大砲
石の動物
猫の皮
いくつかのゾンビ不測事態対応策
大いなる離婚
マジック・フォー・ビギナーズ
しばしの沈黙
 訳者あとがき

「妖精のハンドバッグ」
はヒューゴー、ネビュラ、ローカス賞を、「マジック・フォー・ビギナーズ」はネビュラ、ローカス、英国SF協会賞を受賞とのこと。

ハンドバッグ、コンビニ、新居、婚姻、テレビ番組など、日常の普通のアイテムを使って、どこまでもぶっ飛んでいくのが特徴でしょうか。この辺は、女性SF作家だからか、少女漫画的なものとの関連を考えてしまったり。一部のSF的な少女漫画も、綺麗にぶっ飛んでくもんなぁ。もう一つ思ったのは、こちらも同じく女性SF作家である、キャロル・エムシュウィラーの「すべての終わりの始まり 」との類似。私の好みとしては、すべての終わりの始まり」の方なんだけど…。

こういうわけのわからない世界に連れて行ってくれるのも、ほんとは小説の醍醐味なんだろうけど、日常で細切れに読む、最近の私の読書のスタイルにちょっと向いてなかったかも。どこに連れて行かれるのか分らない、次に何が起こるか分らない、そういう振り幅、揺れ幅を愉しめないと、この物語の面白みはきっと半減してしまう。

今、印象に残っているのは、「石の動物」「猫の皮」「いくつかのゾンビ不測事態対応策」「大いなる離婚」「マジック・フォー・ビギナーズ」です。あれ、なんだかんだいって結構多い?笑

「石の動物」は、家中の物が全て憑かれてしまう新居に引っ越してしまった家族の話、「猫の皮」は童話風の魔女の養い子スモールの話。「いくつかのゾンビ不測事態対応策」はゾンビ不測事態対応策を練り上げる男の話。でも、もしかして、この男自体がゾンビなの? 「大いなる離婚」は死者と結婚する事が流行った世界の、生者と死者の婚姻の話(子供だって出来ちゃうのだ!)、「マジック・フォー・ビギナーズ」は不定期、不特定のチャンネルに流れる、テレビ番組「図書館」を巡る物語。

こうやって要約をしてみても、話の筋の説明にはなってないし、細かい部分は忘れていってしまうのだろうけれど、このヘンさ、みょうちきりんさはきっと忘れないだろうな~。

早川書房のプラチナ・ファンタジイ・シリーズ は、装丁も素敵なのだけれど、なんか私にはちょっと難易度が高いのかも・・・。プリーストの「魔法 」も、面白かったことは面白かったけど、結構読むのに苦戦したのです。楽しめないのが、なんかかなしい…。