「グリフィンの年」/魔術師大学のキャンパスライフ | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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ダイアナ・ウィン・ジョーンズ, 浅羽 莢子

グリフィンの年 上 (sogen bookland)

グリフィンの年 下 (sogen bookland)

ダークホルムの闇の君 」の続編です。続編があることは知っていたものの、でも図書館にはないしなぁ、と忘れかけていた頃に図書館で発見しました。

最初にこれを読んだ時は、グリフィンに両親の細胞が入っていて、だから子供達とグリフィンは兄弟なんだ、というあたりにクラクラしたもんですが、もう、今ではきっとこういうのを読んでも大丈夫。笑 「ダークホルムの闇の君」から舞台は八年後、今度はグリフィンのエルダが中心となります。あの悪名高き実業家、チェズニー氏によりテーマパーク化されていたこちらの世界も、何とか落着きを取り戻したところ。でも、エルダが入学した魔術師大学には、その頃の悪癖がイロイロと残されてしまっていて…。

表紙扉から引きます。

今年の新入生は問題児ぞろい。
北の国の王子に、南の皇帝の妹、魔術師の娘のグリフィンに、
革命家のドワーフ、首長国からきた青年に、出身を明かさない金持ちの娘。
いつのまにか仲良くなった6人だが、
じつはそれぞれに困った問題をかかえこんでいた。
一方、大学は、刺客がキャンパスに入りこむわ、
外套掛けは女子学生につきまとうわ、海賊は学食に乱入するわの大混乱。
グリフィンのエルダと友人たちは、この危機をどう切り抜ける?

解説=荻原規子


というわけで、これは魔術師大学の新入生たちのキャンパスライフを描いたものであり、ちょっと変形の学園ものと読むことも出来る。個性的な友人たち、個性的な先生たち(こちらの個性はあまり嬉しくないけれど)。楽しいよ!

魔術師大学は、チェズニー氏のあの時代に、魔法の研究を忘れ、「実際的な」魔術師たちを送り出すことに汲々としていた。ケリーダが引退して、若い魔術師たちが教授となり、自分で考えさせる事もなく、大見出しを写させる、大学ではそんな授業が続いてしまっていた。学生たちのことよりも、月に行くことで頭も予算もいっぱいな大学運営委員長コーコランを始め、教授たちは誰も彼もあまり頼りにならない。

そこに入学したのがエルダや、訳ありの新入生たち。
教授たちの授業に見切りをつけ、自分たちで本から魔法を学び、力を合わせて実際に刺客に立ち向かうための罠を掛けたりするところが良かったな~。

想像力も魔法も、自分たちが持っている可能性も、ここで終りと決めてしまったら、そこで終わってしまうけれど、ほんとはどこまでも羽ばたけるものなんだよね。そんなワクワクするような希望と未来を感じる物語。後半に向けて、物語は綺麗に大団円へ(「グリフィンの年」というタイトルの意味もわかります)。 これぞまさにハッピー・エンドでしょう。

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