- メイヴ ビンチー, Maeve Binchy, ハーディング祥子
- 「ライラック・バス
」
青山出版社
大都会ダブリンから、故郷の小さな町へと帰るライラック・バス。トムが運転するこのバスは、週末にのみいつも同じメンバーを乗せて運行している。こうして毎週末ラスドーンに帰る、運転手一人に七人の乗客。八人には、八人八様の事情がある。ある週末の出来事が、それぞれの口から語られるのだが…。
「本の世界の迷子です 」さんの、こちらの記事(ライラック・バスに乗り合わせた人たち )に惹かれて借りてきました。
これ、良かったですー。派手さとか目新しさはないのだけれど、優しい筆致で語られる、普通の人々の普通の生活がじんわりと温かいです。
ケチんぼのナンシー、不倫の恋に苦しむディー、厄介事に巻き込まれているケヴ、ゲイの恋人を隠しているルーパト…。終盤を締めてくれるのは、ラスドーンの唯一のバーの女主人にしてアル中の母を持つセリア、拒食症の姉を持つ、ライラック・バスの運転手トム。家族についても考えさせられます。
やさしい伯父さんであるミッキー、自然食品のお店に入れ込んでいるジュディにも幸あれ!(でも、ジュディの行く道は大丈夫かしらん…。そこは行ってはいけない道~)
現代のお話だし、アンみたいにおしゃべりな人は誰もいないけれど、ちょっとモンゴメリの「アンをめぐる人々」を思い出しました。これ、アンはほとんど出てこないので、突出した人物はいないのだけれど、アヴォンリーの人々が主人公となった短編集。モンゴメリは短編も良いのですー♪
ナンシー*Nancy
ディー*Dee
ミッキー*Mikey
ジュディ*Judy
ケヴ*Kev
ルーパト*Rupert
セリア*Celia
トム*Tom
訳者あとがき