ルポ 貧困大国アメリカ II
テーマ:BOOK-経済- ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書) (岩波新書 新赤版 1225)/堤 未果
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ルポ貧困大国アメリカ
http://ameblo.jp/honyomi-world/entry-10081790386.html
につづいてオバマ大統領誕生後のアメリカについてのルポ。
前作も衝撃的だったが、
今回、一番衝撃を受けたのは
第4章の刑務所についてのルポだ。
アメリカで刑務所はもっとも有利な投資先だというのだ。
「えっ!どうして」と思う。
初めから組合加入の資格を持たず、福利厚生もなく給料も安くて、
いつでも必要な時に入れ替えが利く非正規労働者は、
企業にとって都合の良い存在として注目され始める。
企業側は政治家への献金やロビー活動を盛大におこない
労働に関する規制は次々に緩和されていった。
「企業が収益を上げる一方で、雇われる側の労働条件は悪化し、
長時間働いても次につながるスキルは身につかない。
そのなかで医療費や学費だけが高騰してゆく。
それまで中流だった人々が生活苦に陥り始めたのです。」
「企業は増えてゆく訴訟に対してどんな対策を?」
「彼らはもっと使い勝手の良い労働力を探し始めました。
すると灯台もと暗し、発展途上国の労働者よりも、
非正規労働者よりもさらにさらに条件の良い、
数百億ドル規模の巨大市場、囚人労働者にスポットライトが当たったのです。」
アメリカの囚人は、刑務所内での生活費用が請求される。
トイレットペーパー、部屋代、食費、図書館の利用料、最低レベルの医療サービスなど。
その結果、刑務所でさらに借金を背負う。
また、所内の公衆電話は三倍の電話料金を請求される。
そのことは電話会社にとってもおいしいビジネスなのだ。
大手電話会社MCIは刑務所内公衆電話取り付け工事を無料で行い
契約相手のカリフォルニア州に32パーセントのコミッションが支払われていた。
その結果、出所してもあっという間に再犯Uターン。
ニューヨーク州では、犯罪者が三度目の有罪判決を受けた場合、
最後に犯した罪の重さに関係なく自動的に終身刑にするという。(スリーストライク法)
その結果、囚人たちは一生刑務所に閉じ込められ
劣悪な労働環境の中で働かされる。
アメリカ国内の投資家たちは、軍需産業やIT産業と並んで
いま最も利益率が高く、人気急上昇の投資先として、刑務所ビジネスに注目している。
大手投資会社が作成したパンフレットは、こんな内容だ。
「まさに民営化された旧国営事業のうち、
いまもっともトレンディな投資先ー順調に増加する有罪判決と逮捕が
確実な利益をもたらしてくれます。
急成長するこのマーケットに今すぐ投資を!」
まさに、刑務所はローリスク・ハイリターンの夢の投資先なのだ。
コスト削減をうたってめきめき急成長してた民営化刑務所は
アメリカでは100ヶ所以上ある巨大ビジネスなのだ。
この本には、そのほか学資ローンに苦しめられる人たち、
また、一向に進まない医療保険改革などが詳しく取り上げられている。
「ルポ 貧困大国アメリカ II」で取り上げられている貧困の実態は、
果たしてアメリカだけの特殊なものだろうか?
「坂の上の雲」で有名になった
秋山好古の言葉にこういうのがある。
「ローマの滅びたるは中堅なくして貧富の縣隔甚(はなはだ)しかりしが故なり。
露帝国もしかり。」
「中等階級なくては国は亡ぶこと、歴史の示す処」
本書内容
■目次
プロローグ
第1章
公教育が借金地獄に変わる
爆発した教師と学生たち/猛スピードで大学費用が膨れ上がる/広がる大学間格差/縮んでゆく奨学金、拡大する学資ローン/学資ローン制度の誕生とサリーメイ/数十億ドルの巨大市場と破綻する学生たち/消費者保護法から除外された学資ローン制度/ナイーブな学生たち/学資ローン業界に君臨するサリーメイ/子どもたちをねらう教育ビジネス
第2章
崩壊する社会保障が高齢者と若者を襲う
父親と息子が同時に転落する/企業年金の拡大/これがアメリカを蝕む深刻な病なのです/退職生活者からウォールマートの店員へ/拡大する退職生活費と貯金できない高齢者たち/拡大する高齢者のカード破産/問題は選挙より先を見ない政治なのです/一番割りを食っているのは自分たち若者だ/市場の自由と政治的自由
第3章
医療改革 vs. 医産複合体
魔法の医療王国/オバマ・ケアへの期待/排除される単一支払い皆保険制度派の声/公的保険を攻撃するハリー&ルイーズのCM/製薬業界のオバマ・ケア支持と広告費/医療保険業界と共和党による反オバマ・ケア・キャンペーン/無保険者に保険証を渡すだけでは医療現場がパンクする/プライマリケア医師の不足/You Sick, We Quick(病気のあなたに最速のサービスを)/これは金融業界救済に続く、税金を使った医療業界救済案だ/この国には二種類の奴隷がいる
第4章
刑務所という名の巨大労働市場
借金づけの囚人たち/グローバル市場の一つとして花開く刑務所ビジネス/第三世界並みの低価格で国内アウトソーシングを!/ローリスク・ハイリターン――刑務所は夢の投資先/魔法の信託投資REIT/ホームレスが違法になる/アメリカの国民は恐怖にコントロールされている
エピローグ
あとがき
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