日本の女帝の物語―あまりにも現代的な古代の六人の女帝達
テーマ:BOOK-新書- 日本の女帝の物語―あまりにも現代的な古代の六人の女帝達 (集英社新書 506B)/橋本 治
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先日正倉院展で
光明皇后の「藤三娘」の文字に、深い感銘を受けた。
光明皇后の前後は女帝の時代だ。
平安時代以前の日本には、六人の女性天皇がいた。
推古天皇、皇極天皇、斉明天皇(皇極天皇重祚)
持統天皇、元明天皇、元正天皇、孝謙天皇、
称徳天皇(孝謙天皇重祚)、
の六人八代の天皇が、西暦592年から770年の間に立っている。
この方々は、すべて天皇の娘で
そのうち皇后であった方が、三名おられる。
この時代の天皇の系譜は、ややこしい。
天武天皇の皇后は、天智天皇の娘で
後の持等天皇だ。
父が同じでも、母が違えば結婚できたらしい。
また、叔父、姪の関係でも夫婦になれたようだ。
そんなわけで、歴史と人物が複雑に入り組んでいる。
この本は、橋本治の独特の口調で
古代の女性天皇について、系譜をわかりやすく解説している。
著者は言う。
古代の日本では、「天皇が男でなければならない」という考え方をしなかったということです。
男子の継承者がいるのに、天皇になられた方いる。
それについて、著者は「他の有力な男子の皇位継承者の即位を阻止するため」
とういう説を出してきている。
また皇后については、
天皇の正妻である后には、「天皇の血を引いた女性」しかなれませんでした。
だから「后」の上に「皇」の一字を付けて「皇后」と言うのです。
そして光明皇后は、「天皇家の血を引いた女性」でない
初めての皇后だという。(仁徳天皇の后を除いて)
そうしてみると
光明皇后の「藤三娘」という署名には
自分は藤原氏の娘、という自負と誇りが強く込めらているように思う。
今、また卑弥呼の話題が再燃してきている。
古代の天皇、女性、祭祀に思いを寄せるのも
また、興味深い。
≪目次: ≫
はじめに
第一章 「女帝」とはなんなのか?
1 「女帝」とはなんなのか? 「女帝」がたつ理由/推古天皇の即位/皇極天皇の即位/「中継ぎ」として存在する女帝達/「二度の即位」をする女帝/いたって現代的な女帝達/それで人は納得したのか?
2 「中継ぎの女帝」の背後にあるもの 「女帝」の資格/たとえば、「中小企業の社長夫人」/壬申の乱に勝った天武天皇とその妻/最強の女帝持統天皇の背景/女達も平気で戦場に行く/進んで「中継ぎの天皇」になる持統天皇/母親のメンタリティ/日本で最初の上皇は女性だった
第二章 「皇」の一字
1 もう一人の天智天皇の娘 文武天皇が譲位をした女帝/その天皇はどの天皇の血筋か/消される「天武天皇の血筋」/「天武天皇の血筋」が消される理由/「最有力」だったかもしれない天武天皇の皇子/天智天皇の孫の声/「一人前の女性の天皇ならいいが、子供の天皇はだめ」という正論/元明天皇の「背後」にあるもの/皇太后になれなかった(?)内親王/持統天皇の異母妹で持統天皇の嫁/聖武天皇よりも有力な皇位継承候補者/「女」であることに対して、どこからも文句は出ない/天皇家だけの「特別」
2 「皇」の一字 天智天皇の妻は誰?/「天皇家の娘」しか后にはなれない/「半ば伝説」の天皇達/外の一族の娘よりも、天皇家内の娘/葛城一族と天皇家の一族/側近官僚の時代/その皇統が途絶えたら――/入り婿の天皇と正嫡の皇子/どうして推古天皇は「厩戸皇子の子」を推さなかったのか?/「本流」という考えが生きていた時代/弟から「天皇のあり方」を学ぶ前女帝/天皇を「絶対の権力者」にした最初の天皇/「天皇だったことがある女性」の強大さ/聖武天皇の困惑
第三章 聖武天皇の娘とその母
1 聖武天皇の母と妻 臣下の母と皇女の妻/女帝の時代のねじれ現象/奈良時代は「女帝の時代」で「女の時代」/天平の后/誇り高い聖武天皇に、長屋王が言ったこと/頑固で誇り高い聖武天皇の「特別」/元明天皇のお諭し/聖武天皇のもう一人の女性/「長屋王の変」という陰謀/「絶対者」になった聖武天皇/その後の聖武天皇
2 孝謙天皇とその母 天皇になる教育を受けた唯一の女性/「結婚」という選択肢を持たないままの女帝/時代はひそやかに「爆弾」を抱える/橘奈良麻呂という人物/藤原仲麻呂と光明皇太后/皇太后の時代/女帝も皇太后も悪くはないのに、陰謀ばかりはひそかに進む/藤原仲麻呂の権力掌握/廃太子事件と橘奈良麻呂の乱/女帝の時代の無残/破局の到来/たとえば「安禄山コンプレックス」というようなもの/戦う女帝の孤独/女帝の時代の「その後」は――/女帝の時代はなぜ終わったのか
おわりに
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