「キャッツ-ポッサムおじさんの猫とつき合う方法」/詩人、T.S.エリオットの猫交遊録 | 旧・日常&読んだ本log

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2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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T.S. エリオット, Thomas Stearns Eliot, 池田 雅之, ニコラス ベントリー
キャッツ―ポッサムおじさんの猫とつき合う法

もくじ
猫に名前をつけること
おばさん猫ガンビー・キャット
  *
親分猫グロウルタイガー 最後の戦い
あまのじゃく猫ラム・タム・タガー
おちゃめなジェリクル猫たちの歌
  *
泥棒コンビ猫マンゴジェリーとランペルティーザー
長老猫デュートロノミィー
ペキニーズ一家とポリクル一家の仁義なき戦い
  *
猫の魔術師ミストフェリーズ
猫の犯罪王マキャヴィティ
  *
劇場猫ガス
ダンディ猫バストファー・ジョーンズ
鉄道猫スキンプルシャンクス
  *
猫に話しかける法
門番猫モーガン氏の自己紹介

 訳者あとがき 猫になりたかったポッサムおじさんの猫交遊録


ミュージカル「キャッツ」の原作である、詩人T.S.エリオットのユーモラスな猫の本。

以前、エロール・ル・カインの手による絵本(「キャッツ―ボス猫・グロウルタイガー絶体絶命 」)を読んだことがあるのだけれど、この絵本に収められていた三つのお話も、勿論この本に収められている。

実は、絵本で三つのお話(詩?)を読んだとき、ちょっと消化不良気味だったんだけど、こちらの文庫ではたんまりお話が載せられているので、そういったこともありません♪ でも、引き続き、エロール・ル・カインの絵本、「魔術師キャッツ―大魔術師ミストフェリーズ マンゴとランプルの悪ガキコンビ」は探そうっと。
また、キャッツはお話というか、ほとんど詩なので、言葉遊びの面も大きく、その辺の解説が丁寧に下に載せられているのも嬉しかったなぁ。「キャッツ」に登場する猫たちの名前には、T.S.エリオット自身の造語が多いのだって。

ミュージカル「キャッツ」でも印象深く、また「キャッツ―ボス猫・グロウルタイガー絶体絶命 」にもあったJellicle Catsは、Jelly「柔らかくて、プリプリした」、-cleはラテン語のclueの異形で「小さな」ものを表す接尾辞から出来た言葉なのだそうな。

さらに、訳者あとがきによりますと、「ポッサムおじさんOld Possum」というのは、先輩のアメリカ詩人エズラ・パウンドがエリオットにつけた渾名なのだとか。「猫に話しかける法」を読むと、エリオットと猫との付き合い方が良く分かります。


 犬は犬、猫は猫であって、お調子者でいなか者の犬とは違う。
 だから、みなさんから猫にご挨拶を。
 でも、猫は、人様になれなれしくされるのが大嫌い、
 そのことを忘れてはいけません。
 猫たるもの、人間から敬意を表されるのは、
 当然至極なこと。
 「犬は犬、猫は猫」ということ。
 これこそが、猫に話しかけるコツ。
 
 (イタリック部分は、省略語、意訳して引用しています)

この本には様々な猫が出てくるけれど、エリオットの敬意あふれる猫との付き合い方が良く分かるでしょう? 「お調子者でいなか者」っていうのはあれだけど、確かに犬の方が猫よりも、人が好い感じがするよなぁ。でも、猫は気難し屋であるからこそ、親しく接することができれば、より喜びは増すのかな。