ご無沙汰しております。
日本は最近地震が多いそうですが、皆様の所は大丈夫でしたか?
素敵なイルミネーションスポット教えて
ロングビーチと言えば、この海や公園の池に浮かぶツリーが有名です
1949年から続いているそうで、はじめの5年は本物の木だったそうです
この二枚の画像はお借りしました
さて、今日はちょっと珍しく真面目なお話を・・・
日本でもすでにニュースになっていて皆様もご存じかもしれませんが、ロサンゼルス港とロングビーチ港は、12月6日から予定していたコンテナ超過滞留料金の課金をまた(4度目)延期することにしました。次は12月13日に様子を見るそうです。
すごい荷物ですね
こんな感じで混み混みで荷下ろしの順番待ちしてます
両港ではアメリカの40%の輸入と30%の輸出を扱っていて、ここでの貨物の停滞はサプライチェーンのボトルネックと呼ばれ、アメリカ経済にも大きく関係してきます。
バイデン大統領の「港に停滞している貨物を休みなしで動かすように」という指示 (=24/7パイロットプログラム: 24/7は一日24時間週7日という意味で、twenty-four sevenと読みます)に加えて10月25日に出されたコンテナ超過滞留料金課金 (=トラックで運ばれるコンテナは9日以上、列車で運ばれるコンテナは6日以上港に停泊した場合は100ドルの罰金、それ以降一日ごとに100ドルプラス)
の影響で、港の混雑状態は緩和されていると思われています。それが課金実施の延期の理由でした。
3年前に見学に行った時の写真です
ロサンゼルス港湾局のジーン・セロカ局長も、10月の時点ではLA港とLB港で62,158のコンテナが罰金対称だったのが11月28日には39,123に、入港を待つコンテナ船も84隻から46隻に減って状況は改善していると述べています。
でも、実は入港待ちしている船が減ったわけではないのです。
港付近が空いて見えるのは、11月16日から太平洋を横断してくる船は港から150マイル(約240km)、西海岸沿岸を南北に移動する船は港から50マイル(約80km)離れて待機するという新しいルールが取り入れられたからなのです。
現在その数96隻ということで、相変わらず史上最高の数だそうです。
こちらも3年前
なんだかのんびりしているように見えました
待っている荷物もほとんどなかったですね
こちらは燃料輸送船
以前は、船が港から20マイル(約32km)以内にある時のみ貨物をおろすための列に並ぶことができました。
そのために貨物船たちは、燃料を使ってレースし(船同士ぶつかる危険性もあったそうです)、
列に並んでから数週間待つということをしていました。
それに比べるとこの新しいシステムは、安全ですね。
おまけ(いらんって?)
と言っても今も多くの船がLA港沖とLB港沖に停泊しているため、大気汚染はひどい状態です。
数日前は霧か空気が汚れているのかわからない感じでした。
朝からすごく濃い霧
そんな中、トラックの運転手さん達頑張ってくれてはります
きっと運んでも運んでも減らないんだろうなぁ~・・・
では、どうしてこんなことになってしまったのか。政治についで経済も大の苦手(自慢するなっ!)の私が、自分にもわかるようにわかりやすく解説させていただきますね。
事の始まりはパンデミックでした。
ロックダウンなどで外に出なくなった消費者は、レストランやコンサートなどサービスにお金を使う代わりに、おうち生活を充実させるための物にお金を使うようになりました。
高価だけど使い心地の良い仕事机、カウチ、PCなど、ジムへ行く代わりにホームジムのセット、おうちでグルメを楽しめるキッチン用品や材料などをオンラインで買う人が増えました。
これを pandemic-induced buying boom と呼びます。日本語では『リベンジ消費』というらしいですね。
反対に輸出入は制限したために物流が減り、それにかかわる様々なレベルで仕事が減り多くの人が職を失いました。
2020年のホリデーシーズンには、LA港とLB港で働く1000人近い労働者がコロナにかかり、何人かの方が亡くなられました。
そうこうするうちに、政府からIRS給付金がでました。働き手の人手不足の理由の一つは、まだその給付金で生活している人があるからだそうです。
人と直接会ってコロナにかかる危険性を伴う仕事をするよりは家にいたほうが良いという考えの人、仕事や人生そのものを考え直す機会を得たために、従来の仕事に帰ろうとしなくなった人も多いそうです。
また、その給付金で物を買う人が出て需要が高まった ということも考えられるそうです。
需要が高まり品物が入ってきたが、それを動かす人や倉庫が足りないと物は動きません。
LAやLB以外の港に入港できるようにしたり、軍基地の倉庫を使ったりという解決策も取られていますが、間に合わないようです。
よく言われている『トラックドライバーの不足』は、本当なのでしょうか。
カリフォルニアには現在640,445人のトラックの運転免許証を保持する人がいるのに、140,000しか仕事の数がありません。
実は、運転手の数が足りないのではなく、仕事を続ける人の数が少ないのだそうです。
Turnover (=離職者率)が90%だそうです。
10人中9人が辞めちゃうってよほどひどいんですね!
その理由はいろいろあるのですが、例えば:
- 今の港の状態だと、荷物を取りに行ってもコンテナをトラックに運ぶための機台(chassis*)が足りなくて6時間から22時間待たされるそうです。もちろんその待ち時間はお給金はもらえず、運送の締め切り時間に間に合わないこともあるそうです。さらに、倉庫やコンテナの持ち主のお手洗いは使用禁止。
*chassis が足りないのは、トランプ大統領が中国からの輸入品の関税を引き上げたことによるそうで、バイデン大統領はその見直しをする必要があると言われています。
- まだコロナワクチンを受けていないトラック運転手はまだたくさんいますが、運んで行った先の店で、ワクチンを受けていないと拒否されることもあるそうです。
- バイデン大統領は、『1月からカナダとメキシコの国境を地続きで超える場合はコロナワクチン接種を受けていないといけない』という新しポリシーを出すそうです。
- “No respect!” フリーウェイで、他の車に嫌がらせや邪魔をされたりすることもあるそうです。
- あの大きなトラックを駐車できる場所は限られているので、いつでも携帯トイレを持参しないといけないなど、不便なことがいっぱいある。
- 賃金がその大変さに見合わない。1980年代の運送業界の規制緩和以来、会社に所属してサラリーをもらうより単発で仕事をする(gig worker*)運転手が増えたと同時に、組合に所属する人が減り、賃金も減った。 現在1970年代の賃金と同じだそうです。
- 待遇や賃金に文句を言うと、他の人に仕事を回されるので我慢せざるを得ない。
- トラックを空で運転すると一マイルに付き1.75-2ドルかかるので、最低3ドルはもらわないと割が合わない。
- トラックの値段が上がった。冷蔵車の場合、去年より30%増しの100,000ドル、
ドライバンと呼ばれる冷蔵冷凍無しのものは、35,000ドルから 70,000ドルへと2倍に上がったそうです。
‐ そしてパンデミックで人手が足らなくなった他の職種の給料が上がったのを機に、転職する運転手が増えた。
トラックの運転免許が取れる資格年齢を下げる、ワクチン規制を緩和するなどの解決策が考えられていますが、それだけでは改善しないと思われます。
それでは、実際消費者から見たものの値段や、お店に並ぶ品物の量はどうなっているでしょう。
- 去年の10月から今年の10月にかけて、食品・ガソリン・光熱・住居など平均6.2%値上がりしてます。
- アメリカ各州のガソリンの値段はこちらをご参照ください
https://gasprices.aaa.com/state-gas-price-averages/
どちらも1ガロン当たりのお値段です。 (1ガロン=約3.8リットル)
雨上がりで窓ガラスが汚れています
きちゃなくてごめんなさい
でも、これだけ空気が汚れているってことですね
11月23日、バイデン大統領は5千万バレルのオイルをStrategic Petroleum Reserve (戦略的原油備蓄)から市場に放出すると発表しましたが、こちらも専門家によると「ガソリンの値段は来年初めがら5月ぐらいにかけて少しずつ下がるかもしれないが、大幅に下がることはないだろう。」ということです。
- ある専門家は、LA港・LB港のコンテナ超過滞留料金は物の値段を上げるだけで、最終的に負担するのは消費者になるだろうと言っています。
こちらはトレーダージョーのチョコレートの棚。
数週間前には、軒並みのスーパーからマッシュルームだけ消えるという不思議な光景も見られました。 仕方なしに調理済み冷凍マッシュルームを購入しました。美味しかったけど…
ゲータレードなどのスポーツ飲料、炭酸飲料、冷凍食品なども不足しています。
今年の9月に比べると、小麦粉製品は50%、肉・魚などは28%値上がりしているそうです。
パンデミック以来、半導体も引き続き品薄で、車業界は半導体を使う機能を減らしたり納期を大幅に遅らせたりしています。また、クリスマスプレゼント用に需要の高まったソニーのPS5なども供給が間に合っていません。
クリスマスツリーの値段も例年に比べると25%ほど上がっています。全国平均の値段は、本物の木が78ドル、フェイクツリー(artificial tree)は104ドル。
理由は運賃が上がっていることと、二年前のブログ記事に書いたツリー自体の不足かがまだ影響しているようです。
長くなってしまいましたが、今回ブログを書くために調べていろいろな事情が複雑に絡み合っているのだなということがわかりました。
最後になりましたが、『火事のその後』を気にかけてくださるブロ友、ピグともの皆様ありがとうございます。まだあのペットフレンドリーのホテルにいます。窓から中庭に出られるようになっているのですが、窓を開けていたら、時々お散歩中のわんちゃんが入ってきます。今日も3匹いっぺんに入ってきてびっくりしました。アクラ(インコ)達もびっくりしたでしょうね。
↑とぼやっとしていたら、ホテルって29日以上は続けて滞在できなくて、24時間出たらまた戻ってもいいというルールがあることを28日目に知りました。こんなに長いことホテルに泊まったことなんてないし、普通はしりませんよね~。
それでは皆様、今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。
寒そうですが、風邪・コロナに気を付けてお過ごしくださいね。