過払金請求してください!-過払金が発生している条件とは?- | 橋本治子の弁護士日記~仙台より~

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仙台弁護士会所属。

ときどき
 
消費者金融に
過払金請求してください!
 
と要望されたり
 
カード会社に
過払金請求できるでしょうか?
 
という問い合わせを
いただくことがあります。
 
 
 
つい最近も
負債の相談に来た方が
話をしている中で
過払金請求してください!
と言い出しました。
 
 
しかし、弁護士からすると
過払金など発生していないことは
明らかな事案。
 
 
 
なにか広告を見て
自分も請求できる
と考えたのでしょうけれども....
 
過払金は発生してませんよ、と告げると
ひどくがっかりした顔をしていましたショボーン
 
 
この方だけではなく
自分には請求権があると思って
問い合わせをしてくるものの
請求できませんね~というケースの方が
最近は多いなあ、と思います。
 
 
そもそも
過払金とはなんぞや?
 
 
 

 

利息制限法と出資法

 

 
過払金とは何か。
 
これは
利息制限法と出資法
に関する話になります。
 
 
利息制限法
金銭の貸付時の利息の上限
を定めた法律。
 
元本の金額に応じて
次のとおり上限を設定しています。
  • 元本額が10万円未満 年20%
  • 元本額が10万円以上100万円未満 年18%
  • 元本額が100万円以上 年15%
これを超過した部分は無効。
 
 
 
更に、出資法という法律があります。
正式名称は
「出資の受入れ,預り金及び金利等の
取り締まりに関する法律」
 
出資法にも
金融業者が金銭の貸付をするときの
利息の上限について定めがあります。
 

 

出資法が制定されたのは1954年ですが
金融業者の取り立てなどが問題となるたびに
徐々に上限が引き下げられてきました。
 
法制定当時はなんと年利109.5%ガーン
 
私が弁護士になった2000年は
年利40.004%だったのが
年利29.2%に引き下げられた年でした。
 
 
 

このとおり利息制限法と出資法
ともに利息の上限を定めた法律ですが
違いはなにかと言いますと
 
出資法を超える利息を
契約すると罰則があること
 
(利息制限法を超えても
 民事上、無効にはなるけど
 刑事罰には問われない)
 
 
 
 
利息制限法の上限15~20%
上矢印
下矢印
出資法の上限29.2%
 
この2つの法律の
利率の差のことは
グレーゾーン金利
と呼ばれていました。
 
 
旧貸金業規制法43条1項は
みなし弁済の要件を満たせば
出資法上限29.2%の金利有効
となっていたため
貸金業者はこぞって
みなし弁済規定を根拠に
29.2%の利息をとってもよいのだ!
と主張していました。
 
 
しかし
過払金返還請求訴訟に関して
たびたび最高裁判決が出されました。
 
みなし弁済規定に関しては
結論だけ言いますと
2006年の最高裁判決で
ほぼ適用を認められない
ことになりました。
 
 
となりますと
 
利息制限法の上限15~20%
上矢印
下矢印
出資法の上限29.2%
 
この差の払い過ぎた利息を取り戻すのが
過払金返還請求というものです。
 
 

具体的な数字を見てみましょう

 

 

 

2024.1.1 100万円借りる
毎月月末に3万円ずつ返済

 

 
というケースで計算してみます!
 
 
2024.12.31時点では 
12回、36万円返済したことになりますが

年利29.2% 右矢印 残元金920,935円
年利15%  右矢印 残元金774,402円
 
 
更に
年利29.2%だと完済となるのが2029.9.30
69回の支払いが必要。
 
年利15%で69回支払い継続したら
-769,524円の過払状態
過払元金-769,524円と
この過払元金に対する
過払金利息年5% 39,508円を
金融業者に請求できる
という計算となります。
 
 

 

2010年の出資法改正


 
過払金に関する最高裁判決や
当時の借金の社会的な問題を踏まえて
出資法が改正され
年利20%超過契約は刑事罰の対象
となりました。
2010年6月18日施行。
 
出資法
(高金利の処罰)
第5条
2 前項の規定にかかわらず、
金銭の貸付けを行う者が
業として金銭の貸付けを行う場合において、
年二十パーセントを超える割合による
利息の契約をしたときは、
五年以下の懲役若しくは
千万円以下の罰金に処し、
又はこれを併科する
その貸付けに関し、
当該割合を超える割合による
利息を受領し、
又はその支払を要求した者も、
同様とする。
 
 
 
 
また、利息制限法は
元本の額に応じて15~20%ですけど
利息制限法違反の貸し付けは
貸金業法違反となり
行政処分の対象となりました。
 
貸金業法
(利息、保証料等に係る制限等)
第12条の8
貸金業者は、その利息
(みなし利息を含む。…)が
利息制限法第一条に規定する金額を
超える利息の契約を
締結してはならない。
 
 
したがって
2010年6月以降
利息制限法に定められた利率が
上限利率として統一された
と言ってよいかと思います。
 
 
 

 

過払金請求できますか?

 

 
そもそも、過払金とは
高金利の貸金業者と取引をしているときに
発生するものです。
 
 
ですから
もともと金利が利息制限法以下である
銀行などから借り入れをしていても
過払金は発生していません。
 
 
また、上記のとおり
2010年6月18日に出資法改正
がありましたので
貸金業者は当然ながら
法改正にあわせて金利を下げました。
 
ですから
2010年6月18日以前から取引
をしていないと
過払金は発生していません。
 
 
過払金請求してください!
という相談をされても
初回取引日が5年前だと
発生してませんねえ...となります。
 
 
さて、次回は、
最近あった過払金案件の話を
したいなと思います。
 
また読みにきてくださーいおいで

 

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