えっ、定期購入だったの? 1回お試しのつもりで注文したのに商品が続々届く 詐欺的定期購入商法 | 橋本治子の弁護士日記~仙台より~

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弁護士に相談すべきかわからないという方も、まずはお問い合わせください。
仙台弁護士会所属。

インターネット通信販売で

お試し特別価格 
初回限定50%オフ!

という広告が目に留まり
1回限りのつもりで注文

ところが、実は
 
定期購入の申し込みを
してしまっていて
 
翌月も届いてビックリ
 

 
このような定期購入に
関するトラブルで
消費生活センターに
寄せられる相談件数が
激増しています。

相談件数の推移は次のとおり
(※1)
 
  • 2018年度 21,981件
  • 2019年度 44,763件
  • 2020年度 59,575件
  • 2021年度 51,453件
  • 2022年度 75,478件
 
※1
令和5年版消費者白書から引用
通信販売での「定期購入」に関する相談
2021年3月までは
健康食品、化粧品、飲料に関する相談
2021年4月以降は全商品に関する相談



相談件数の増えっぷり
凄まじいですねびっくり
 


 

定期購入のトラブル事例


たとえばこんな事例。

 
お試しのつもりで注文したところ
定期購入となっていた

 

 

初回は低価格だったが
2回目以降、高額になることが
わからなかった

 



契約内容が
きちんと分かりやすく
記載されているのに
読まずに注文したら
それは消費者の責任と言えます。
 

しかし、トラブルの多くは
 
容易に理解できるような
表示がなされていない

初回無料/大幅値引き
を強調して
1回だけのお試し購入
などと誤認させる
 
という詐欺的な定期購入商法が
横行しています。
 

 

 

 

 

いつでも解約できる
と書いてあったのに
解約しようとしても
連絡が取れない
違約金を請求された

 

 

いつでも解約できるのなら
とりあえず申し込んじゃえ~
 
と思っちゃいますよね。
 

ただ、実際は
 
解約方法が電話だけで
電話をかけてもつながらない

解約にあたり違約金を請求される
 
ということがあるのです。



更に手が込んだ手法は
 

 

「購入回数縛りなし
 いつでも解約可能」
となっていたので注文
 
そうしたら
「特別割引クーポン」
の画面が出てきて
それをポチっとしたら
知らない間に
定期購入コースに変わっていた

 

「キャンペーン価格あと○分○秒」
カウントダウン表示が出てきて
焦ってしまい
細かい契約内容チェックせず
注文してしまった

 


というのもあります。
 

 


定期購入商法に対する法改正

 

相談件数の急増をふまえ
2022年6月1日
詐欺的な定期購入商法
への規制が強化されました。
特定商取引法の改正
 
 
販売業者は、
最終確認画面に(※2)
次の取引事項を表示する
ことが義務付けられました。

※2
画面内の申し込みボタンを
クリックすることで
契約の申し込みが完了する
こととなる画面のこと

 
  • 分量
    (商品の数量、
     定期購入の場合は
     各回の分量)
     
  • 販売価格・対価
    (定期購入の場合は
     2回目以降の代金も)
     
  • 支払の時期・方法 
    (定期購入の場合は
     各回の請求時期も)
     
  • 引渡・提供時期
    (定期購入の場合は
    次回分の発送時期も)
     
  • 申込期間
    (期限のある場合)
     
  • 申込みの撤回、解除に関すること
    (返品.解約連絡方法、条件)
 

販売業者がこれら
契約の申込みの内容を
表示しなかったり
不実の表示や
消費者を誤認させるような
表示を行った場合、
誤認して申込みをした消費者は
申込みの意思表示を取り消す
ことができます。




ただ、改正後も
相談件数は増加の一途。
 
 
改正したものの、
消費者保護にはまだ不十分。
被害予防に直接結びついていない
様子がうかがわれます。
 

なぜ被害が減らないのか。

騙す方は、そりゃあ、
いろいろ考えていますよ。
その手口の一端を
知ることも有益です。
 
 
 

 

被害増加している要因

 

ダークパターン/認知のゆがみ



ダークパターンとは
 
消費者が気付かない間に
不利な判断・意思決定を
してしまうよう誘導する
仕組みのウェブデザイン
 
のことです。


ダークパターンには
次のようなものがあります。
 
【インターフェース干渉】
事業者に有利な選択肢を
事前に選択する
視覚的に目立たせるなど。
 

【妨害】
解約への妨害行為。
 

【こっそり(スニーキング)】
試用期間後に自動的に
定期購入に移行するなど。
 
 
【緊急性】
カウントダウンタイマーなど。



多くのダークパターンは
消費者の認知バイアス等を悪用して
消費者に影響を与えます。


以前、
影響力の武器
という本をご紹介しましたが
これがネットの世界において
展開されている
とお考えいただければ。
 

こういうことをやられてしまうと
被害回避はなかなか難しいのでは?
と感じます。
 
気付かないわたしが/あなたが
悪いのではないのです。
 
 
しかし
ダークパターン/認知のゆがみ
という手法が存在することを
知っているのと知らないのとでは
自衛のための注意力も
変わってくると思います。
 
知ることは大事です。
 
 
 
 

 

 

スマホの普及

 


スマホが普及してきたことも
被害が増える一因と思います。
 
 
だって、スマホの画面
小さくて文字が見えないです。

50代ともなると
スマホは辛い!


昨晩も、連れが、スマホ見ながら
何やら購入しようとしていて
 
「これ、なんて書いてある?」
 
と画面見せられましたけれど
文字がちっさくて、みえない。
 

そうなると、面倒くさいから
ちっさい文字で書いてあること
自分の都合のよいように想像して
読まずに注文しちゃうんですよね。



これが、デスクトップパソコンや
ノートパソコンで画面大きく
スクロールもしやすかったら
見えやすさ格段に違います。

スマホの指先1つでポチっ
という気軽さと
マウスを動かしてクリックしたり
エンター押す動作が加わるのとでは
慎重さは格段に違います。
 
 
 
 


被害防止
チェックリスト


国民生活センターで公表している
最終確認画面チェックリスト
を引用しますので
ご一読ください。
 
・定期購入が条件になっていませんか?

・(定期購入が条件になっている場合、)
継続期間や購入回数が
決められていませんか?

・支払うことになる総額はいくらですか?
 
・解約の際の連絡手段を確認しましたか?

・「解約・返品できるか」
「解約・返品できる場合の条件」(返品特約)、
解約条件を確認しましたか?
 
・利用規約の内容を確認しましたか?
 
・「最終確認画面」を
スクリーンショットで保存しましたか?

 

 

 

雑感

 

国民生活センターで公表している
最終確認画面チェックリスト

とかぶりますが

注意すべきことは次の4つ。

 

 

 
低価格を強調する
注文を急がせる
要注意!!

 

 
いつでも解約できるって
それホント?
販売業者、どこの誰?
解約手続きどうなってる?

 

 
最終確認画面のスクショは必須!
これがないと契約内容の表示が
事後的にチェックできないよ!

 

 
まずい!と思ったら
まずは消費生活センターへ相談!
 
 
 
2022年に法改正ありましたが
表示が見やすくなっている
とは言い難いです。
 

日弁連では、この問題について
2023年9月15日に意見書を
公表しています。
 
 
 
そこで指摘されている
  • 広告画面の規制
  • 契約内容を
    消費者が見やすい位置に
    容易に認識できるよう表示する
     
  • 販売業者が申込者に
    最終確認画面を提供することを
    義務とする
 
といったことにしないと
被害は減らないだろうなあ
と思います。
 
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