新・巡礼3日目〜未知なる道〜 | スペイン巡礼

スペイン巡礼

普通のアラサー主婦がちょっと冒険する話。
好奇心だけを武器に勢いで旅立ちます。

2013年6月20日

Olveiroa → Muxia


昨日の夜はキツかった。
私は2段ベッドの上に寝ていたのだけど、ベッドが古かったせいか私が少しでも動くとギシ、ギシっと結構な音をたてる。
寝返りなんてとても無理。
なんだ、このベッドは・・・ちょっと地震でも来ようもんなら一発でアウト。
崩れ落ちること間違い無し。

下に寝ている人に申し訳なくて、夜中にトイレに行くのもしばらく我慢した。
(結局いったけど。)


今いちリラックスできないまま寝てそのまま早起き。
今日も長丁場だけど大丈夫かな・・・

身支度をしてアルベルゲに出ると、、晴れてる!!
助かった!!


お世話になったアルベルゲ。


こっちが併設のバール兼レストラン。

バールで簡単な朝食をとって、そろそろ出発、というところで、どこかで見た顔の2人に声をかけられた。

2人は夫婦らしく、旦那さんの方がひさしぶりだね~!また会えたね!と話しかけてくれる。
だ、だれだっけ?!

たどたどしく会話をしつつ、必死に記憶をたどる。

あ!!

ブルゴス!?

なんとカミーノ・フランセスの巡礼13日目、ブルゴスのアルベルゲで一緒だったご夫婦だった。
割り当てられた2人のベッドが離れてしまっていて、奥さんと私のベッドと交代してほしいとお願いされたんだった。

あれから一度も会ってないはずだから、何日ぶりだ?(←数えてみたら25日ぶりだった)
巡礼を再開してから、知った顔に会うのは初めてだったからなんだかすごく嬉しかった。

この2人、リョネラとドミニカはその後も歩き続け、2日前にサンティアゴにゴール。またゆっくりとフィステーラの道を歩き始めたんだとか。
私がサンティアゴに到着したのが1週間前。
歩き旅で5日分の違いというのは、もう絶対会えない差だ。(だいたい100キロくらいは離れている計算)
でもまたここでお互いのタイミングが合って、しかもまた同じ宿で再会できたことが奇跡みたいだった。


そして更に偶然にも、昨夜違うアルベルゲに泊っていたらしいビリアがここを通りかかった。
ラッキー!また会えた!
カメラを交換しつつ写真撮影したり、日本語で名前を書いてあげたりしつつ出発前の時間を過ごしました。


7時頃、みんなとの別れを惜しみつつ出発!

オルベイロアの村を抜けるとあっという間に山道へ。

そこからの光景は清々しいのひと言に尽きた。


朝日。

昨日の真っ暗の朝とは全然違う。


どこに隠れていたのか(笑)
たくさんの巡礼と一緒に進む。

このとき、ネグレイラのアルベルゲで一緒だった女の子に会った。
あの時はぐったりしていたのに今日は笑顔で、軽い足取り。良かった。
「ネグレイラで一緒だったよね?」って話しかけてもらえて、少しおしゃべり。

私もいきますか。


どんどん歩いていく。


雲海っぽいっ


こんな天気の中歩けるなんて幸せだ~。
カミーノ・フランセスのときもそうだったけど、朝スタートするときの天気が良ければ、パワーが一気に充電されてたとえどんなに疲れていてもものすごく歩ける気がする。


巡礼とちょいちょい挨拶を交わしつつ、8時半頃、オスピタルという村に到着。
情報によると、ここがフィステーラとムシアへの分岐点。

巡礼路沿いにあるバールで休んでいたら、ほとんどの巡礼がフィステーラの方向へと歩いていっているようだった。
このバールでT川さん、イーさんと合流。
バールのおばちゃんが、T川さんに「こっから先しばらくバールはないから!ボカディージョはいらない?飲み物はいいの?」と勧めているのを聞いて、この先のトイレ事情に不安な気持ちになる私。

とりあえず腹ごしらえをして、出発。
巡礼も少なくなるしせっかくだから一緒にいこう!と誘ってもらえたので、ついていけるところまで2人とご一緒させていただくことに。


歩きながらT川さんとはもちろん日本語なので会話が弾む弾む。
人生の大先輩のT川さん。70歳までは自分の好きなことをする、と決めているそう。
そこから先は動きたくても動けなくかもしれないから、と。
T川さんの話を聞いているとあと10年くらいは余裕で元気を保ってそうだが、自分の体のことは自分が一番わかっているんだろう。

T川さんと会話をしつつ、なかなかのハイペースで歩くイーさんを追いかける。

1時間半くらい歩いたところで静かな住宅街を通過し、山道へ。


いくぞ~。

30分くらいで山道を抜け、小さな集落に到着。


休憩できそうなバールもなさそうなので、バス停のベンチを借りて休憩。


ふー。

ここでイーさんが近くを通りかかった人に、ムシアまであとどのくらいか聞いてくれた。
すると・・・「あと20キロくらい」って。。。

は!?

私たちの計算では、残り12、3キロくらいの計算なんだけど・・・あれ!?
T川さん、イーさんも私と同じくオルベイロア~ムシアまでの地図はもっていない。
この間が28キロである、という情報と黄色い矢印だけを頼りに歩いているのだ。

まー、あのおっちゃんが間違えとんやろ!スペインの人テキトーなときあるよね!くらいの勢いで出発。


ところが、その後ムシアまでの残距離をしめす表示もだいたいおっちゃんの言ってたとおり。
ん?

まー、スペインの地図とか表示ってテキトーなときありますよね!とか言いながら更に先に進む。


どんどん歩いて11時過ぎ、Senande(セナンデ)って村に到着。
しかもバール発見!!やった!!

この時点でイーさんはかなり先に進んでしまっており、かろうじて近くにいたT川さんにここで休んでいきますと告げて一旦お別れ。
またムシアのアルベルゲで会えるだろう。


巡礼路では自分たち以外の人に会わなかったこともあり、このバールも私以外の人はおらず、シーンとしている。
不安になりつつも中に入ると、すごくにこやかなご夫婦が迎えてくれた。


営業しているのかどうか不安になる外観。

ボカディージョと、スモデ・ナランハ・ナチュラルを頼んだんだけど、これが、激ウマ!!
パンも卵もふわっふわ。
なんじゃこりゃー!

お店の名前を聞いておけばよかったな。


だいぶゆっくりして、再スタート。
ハイペースな殿方に同行したおかげで、昨日よりは速いペースでここまで来れたはず。
後半もがんばるぞー。


セナンデにはバール以外は特にお店がある様子もなく、でした。


小さな住宅街を抜け進む。


ほんっとーに誰っにも会わない。

地図もなくて、この先にどんな村や町があるかもわからない場所をひとりで歩いてるのが、すごく不思議。
ほとんど無心でひたすら歩いた。


セナンデを出て1時間半、今度は小さめの街に入った。

あ、バール発見!!

いつもなら「まだまだ歩ける!」って素通りするところだけど、この先にトイレ休憩できそうな場所があるかわからないから寄ることに。
するとちょうど中からT川さんとイーさんが出てきたところだった。
私もひと休みして追いかけますからー!


このバールは妙齢のお姉さんがタルそうに働いており、カウンターは地元っ子(中学生くらい?)でにぎやかだった。
私は飲み物だけ頼んでトイレを借りたらすぐに出発しようと思ってたんだけど、お姉さんが飲み物と一緒にタパスを持ってきてくれた。


これっ

見た目ミートボールなんだけど、肉!ってカンジで美味しかったー。
店内の子ども達みんながこれを食べてるのがなんだか微笑ましく、ついまた長居してしまった。イカンイカン。


このお店を出て、町を出る前へファルマシア(薬局)へ。
なんとカミーノに来て初!足の指にマメができてしまったのだ。
5本指ソックスをなんとかツギハギしながら愛用していたのだけど、ついに履けなくなって普通のソックスに替えたらこうなってしまった。

巡礼の間ではこんなとき、超・ポピュラーなパッチがある。
水豆の上から貼ると膨れた部分をきれいにカバーしてくれて、数日後、治ったころに剥がれる仕組み。
私もアレ買お!って思って立ち寄る。

だがスペインでは日本のようにお客さんがカウンターに並んでいる市販薬を選ぶシステムでなく、自分で症状を話して薬剤師さんに選んでもらわなくてはいけない。
こ、こまった・・・。

薬剤師さんの対応はスペイン語のみのようで、私の言いたいことがさっぱり伝わらず。。。
モノはわかってるのに~!涙

清潔感溢れるピカピカの店内で、ためらわれたものの靴を脱いで豆を見せると、薬剤師さんもようやく「なるほどねー!」って顔で商品をもってくれた。
それそれ!それですよ!!

言葉はわからないものの、今まで他の巡礼が使っているのを何度か見てたおかげで使い方はわかる。
薬局のイスを借りて早速豆の上にはり、準備完了!!
これで心置きなく歩ける。

最初から最後までニコニコと私に付き合ってくれた薬剤師さん、ありがとう~。
がんばります!


またまた思った以上に時間をとってしまったぞ、急ごう!
というわけで出発。

街のあとに小さい村を抜ける。


ここ可愛かったな~。


ただ、この村を抜けたところでまた道に迷う・・・
ウロウロ・・・



こっちか!


開放的な雰囲気の道かと思いきや、


森の中に入りこむことも。


ここでオスピタルの分岐点以降、初めてT川さんとイーさん以外の巡礼に遭遇!
このおばちゃんもひとり巡礼のようで、同じく道に迷っていた。

2人で一緒に元来た道を戻り、それらしい矢印を発見して無事に巡礼路へ復帰。


おばちゃんはすさまじく早足だったので一旦別れたものの・・・すぐ追いついた。

立ち止まるおばちゃんと、、、


海!!

サンティアゴ・デ・コンポステーラを出発して丸3日。ようやく海に出た。

海がみえたってことはムシアももう少しのはず。


よーし!ラストスパート!!

ずっと険しい表情だったおばちゃんも少し嬉しそう。
ちょっとおしゃべりしながら進む。

おばちゃんはドイツに住んでる学校の先生だった人。
日本人が好きなのよ!って話してくれて、嬉しくなって、なんで?って聞いたら、
日本人と韓国人はすごくフレンドリーだからって。それに比べてヨーロピアンはみんな冷たく感じる、と。
うーん、なんでだろう。

そんなこといいつつも、おばちゃんは巡礼をすごく楽しんでる様子だった。
このフィステーラの道の歴史なんかを私ながら私に聞かせてくれたのに、ほとんど理解できず申し訳ないくらい聞き返してしまった。
私の中のイメージで、60代以上のおじちゃん・おばちゃんは自国の言葉以外はあまり話そうとしない、っていうのがあったんだけど、このおばちゃんは英語ペラペラってカンジだった。さすが先生。
そんなおばちゃんと前後しながら進む。ほとんど私が後、だけど。笑


私の気持ちはもう海岸に向って一直線だったけど、黄色い矢印が示す方向は残酷・・・!



あれ?海から離れた?


海などカケラも見えない村・・・

ええええぇぇぇっっ

全然ラストじゃなかったってか??


いつのまにかおばちゃんの姿も見えなくなり、ひとり静かな集落や山道を抜けながら、ほんっとーにひたすら歩く。

なかなかの急斜面を登ったり、胸の高さまであるような草むらを抜けたり、けっこうな獣道。
いかにフランス人の道(カミーノ・デ・フランセス)が整備されている道だったか思い知らされた。

木曽路を歩いたときも思ったけど、道ってのは人が歩いて初めて道になるようです。


そして最初に海をみて2時間。



こんな道を孤独に歩き、


海ー!!

またもや気持ちは海に一直線になりかけ・・・


裏切られる。

マジか。笑

でもこの草むらもあっという間。


抜けたー!


この敷板の上を歩いていけるみたい。


草むらをよけて海岸まで出れるようになってる。

ちょっと天気悪し。



この敷板を通り抜けた当たりにツーリスト・オフィスがあり、おばちゃんは熱心に観光資料をみて、パンフをもらっていた。
私もベンチで少し休憩させてもらう。

おばちゃんはこの近くの宿に泊り、明日から2日がかりでフィステーラを目指すらしい。
おばちゃんの宿の近くまで一緒に歩き、お別れ。日程的に、もう再会はできないだろうな。元気でねー!!



なごむ~。

天気が良ければもっと綺麗なんだろうな。
明日のお楽しみかな。


海沿いの道を歩きつつ、ムシアの街に入った。

そして、ようやく、ようやくの・・・


アルベルゲ!!

やったー!!

時間は夕方5時過ぎ。昨日並みの長丁場だった。
唯一の救いは、オスピタル以降、バールがある街が2つもあったこと。
(私は立ち寄らなかったけど、途中小さなメルカドも1つ見かけました)
トイレが途中にあるかどうかがムシアルートの最大の心配事だったから本当に良かった。



ムシアの巡礼証明書、ゲットだぜ★


オスピタレロのお兄さんに、明日フィステーラまで歩くか聞かれ、もちろん!っていうと簡単な地図とかスタンプのポイントなんかを教えてくれた。
それによると、途中のリレスのいう村のスタンプがないと、フィステーラで巡礼証明書をもらえない、とか。
ムシア~フィステーラを歩いた証明になるんだ、ってことだった。知らなかった。気をつけとこう。


ムシアの公営アルベルゲは、とっても近代的なデザインの建物。


吹き抜けのロビー。


ベッドルーム前の談笑スペース。

ベッドルームももちろん新しく、洗濯物干し場も広かった。
快適アルベルゲ万歳!!


雨と汗で濡れた身体をとにかくすっきりさせようとシャワールームへ。

で、シャワーを浴びてると外から「erikoさーん」と呼ぶ声が。
あ、T川さんだ!

どうやら、またもや2人が夕食を用意してくれるということらしい!ありがたすぎるー。

シャワーと洗濯を終えて、T川さん達と合流するとイーさんがキッチンで料理に励んでるところだった。
このいい匂いはっっ


米ー!!

ナニコレ、嬉しすぎる。


卵やハムのおかずもつけてもらい、いただきまーす♪

美味しかったー。いっぱいありますから~と、どんどん食べさせていただき、今日のカミーノ話に花を咲かせ。
そしてT川さんからひと言。
「いやー、今日の行程28キロだと思ってたら34キロだったんだよ。」

どうやら、28キロというのは、途中分岐点のオスピタルからムシアまでの距離だったらしい。
オルベロア~オスピタル間は6キロ、、、ってことは、やっぱり全部で34キロだ。
そりゃー遠いわ。笑
T川さんはゴメンゴメンと謝ってくれたけど、そんなことは地図も知識ももってきてない私が悪いのだからなんの問題もない。
むしろレアな道のりを歩くことができたことの方が嬉しい。


夕食の後はムシアの教会へ散歩することに。
案外寒かったので完全装備でアルベルゲの外へ。
雨も降りそうだからと、イーさんがどこからか傘を持ってきてくれた。さすが。


街中から海側へ。


遊歩道をてくてく。

だいぶ疲れてはいるけれど、ザックを背負わない身体は軽い軽い。
一日の巡礼を終えた、夕方の散歩はまた格別。

イーさんの話を聞いていると、彼は巡礼中、韓国女子と知り合う機会がほとんど無かったとか。
マジか!!あんだけ沢山歩いてたのに、どんだけ運がないんで・笑
彼女募集中らしく、いい人がいれば僕だって結婚したいですよ~(涙)、、なんて話を聞きながら進む。
世話好きで、日本のアニメ(マニアック系)をこよなく愛する彼に良き出会いがありますように。


今日の午後歩いた砂浜をともなったビーチと違って、こっちはゴツゴツした岩場が続く。
アルベルゲから20分くらいかな、教会が見えてきた!


これか?


こんな場所に立ってました。

残念ながら鍵がかかってて中には入れなかったけど、隙間からちょっと中をのぞくことができた。


いい雰囲気っっ 入りたかった~!

ムシアはマリア様が船に乗ってやってきて、ヤコブ様を励ました場所だとか。あと、万病に効く岩もあるとか。



教会のすぐ前はこんな岩場。
波にのまれたりしないのか!?


そして近くにある展望広場のような場所に移動。


どーん。
大きな石碑がお出迎え。フィステーラ・ムシアルートのモホンも!

いつもなのか、今日が特にすごいのか、強い風が吹いている。
打ち寄せる波は小さいのに、なんか波しぶきみたいなのが飛んでくる。
少し寂しい雰囲気も相まって、いよいよ地の果てまで来たんだという感じがする。



佇むイーさん。

あまりに天気が悪いので長居もできず、早々に退散。


海岸線は風が強いから、今度は街中を歩いて帰る。



ムシアは静かな港街。

でも大きめのスーパーもバールもあるし、天気さえよければ快適に過ごせそうだ。

途中買い物したり会話に夢中になったりしてたら、いつの間にかアルベルゲを通り過ぎてた!


マリア像かな。

ムシアのアルベルゲは誰も彼も無口で、シーンとしている。
夜騒ぐ人もいなければ、リビングで盛り上がっているようなグループもない。
私も軽く近くのベッドの人と少し言葉を交わすくらいで、早めに寝袋の中へ。


明日向うフィステーラは、スペインの最西端。ユーラシア大陸のどん詰まり。
日程的にも体力的にも、明日が本当に本当に歩き巡礼ラスト1日。
フィステーラのアルベルゲまで28キロ、そこから灯台まで3km。灯台からまたアルベルゲに戻らないといけないから・・・
うん、明日も今日と同じ34kmの行程。

どうか無事に歩ききれますように。



頼むから明日は晴れておくれー!!






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