「闇の底」 | 月灯りの舞

月灯りの舞

自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

「闇の底」


薬丸 岳:著
講談社/2006.9.8/1500円


月灯りの舞-闇の底

幼女殺害事件のたびに、性犯罪の前歴者が首なし死体となって
発見される連続殺人事件が起きる。
「死刑執行人、サンソン」を名乗る犯人の正体と真の狙いは何か!?
                    <帯より>



少年事件を題材にした『天使のナイフ』で
江戸川乱歩賞受賞した薬丸岳の書き下ろし。

随分前に買っていたのをやっと読む。


一気読みさせるおもしろさ。


性犯罪で妹を殺された過去を持つ刑事がメインで、
何人かの刑事や、被害者側、性犯罪を犯したが
世に放たれた人など何人かの男が登場。


そして、犯人は「男」という表記で登場する。
登場人物の中から、その「男」が誰なのかを
推理していく。

「男」は平和な生活を営みつつも、
性犯罪を犯したものを心より憎み、
司法で裁けなかった性犯罪者たちを「私刑」と
称して残忍な方法で殺害。


そして、驚愕のラスト。
刑事との対決があるものの「完全犯罪」をとげる。


設定としておもしろい本ではあったが、
読み終えて、男の性衝動の深さに愕然とする。


まさにタイトル通り、「闇の底」へと突き落とされる。



性犯罪は再犯率が高く、矯正できないという。
殺さない限り、何度も過ちを繰り返す。

幼女を狙う犯罪は卑劣極まりないというのに、
簡単に欲望を果たさせるため後を絶たないし、
検挙率も低い気がする。


刑を与えられることで抑止力をもたないのだろう。


正月早々暗澹たる気持ちになる本であった。

なんで私は正月早々こういう本を読むのかと思いきゃ、
去年の正月も「ジョニーは戦場へ行った」のDVDを観て
暗澹たる気持ちになってるし、小説は
「三面記事小説」(角田光代:著) を読んでる。