《...「慣れ親しんだひとり暮らしを続けたくないという理由はまったくなかったんですが、
ある日
この小さな猫が
招かれたようにどこからともなくやってきましてな、
ぼくの生活は
すっかり変わってしまったんですよ、ヘリオット先生」
私は笑った。
「猫があなたを見込んだんです。
猫はよくやるんです。
あなたにとっては
幸運な日だったわけですね」
「そうです、そうです.....
まさにおっしゃる通りで。
さすがに こういうことをよくご存じですな、ヘリオット先生。
さて、紅茶をもう少しいかがです?」...》
ジェイムズ・ヘリオット『ドクター・ヘリオットの猫物語』より
猫が好きで本が好きな人には きっとおなじみの本かと思いますが..。
猫の本コーナーに置きました。
『ドクター・ヘリオットの 猫物語』
ジェイムズ・ヘリオット
集英社文庫
以前にはハードカバーの方を売りました。
英国の、獣医であったヘリオット先生。1995年に、78歳で他界されました。
10編のお話から成るこの猫物語。
私が初めにすべてを読んだのはあまりにも前のこと..。
先に引用した部分は、
この中の
『エミリー...紳士の家に住みついた猫』というお話から。
エミリーという最愛の猫と出会えた老人とヘリオット先生の会話の一部です。
この本では、私がとくに好きと感じ、何度か読んできたのはこの
『エミリー...紳士の家に住みついた猫』と
『フリスク...死の淵から何度も甦った猫』です。
とくに『フリスク』はもう、何度読んでも
どうしても、
涙なしには読めないのです。
あとのお話は何度も読んでないのでよくおぼえてませんが..。
とにかく、
一度でも
猫を心から愛したことのある人にはもちろん、
そうでない人にも、
ぜひ、読んでほしいと思うお話です。