この記事は2432文字です。(読破予想時間:約5分47秒)
自分は根に持つタイプかどうかと言う話をするとほとんどの人は、自分は根に持つタイプではないと答える。
根に持っていても、その程度は誰にでもあるって範囲を根に持たないと表現するのなら、その答えでいいのかもしれない。
根に持つと言う定義自体が曖昧と言われれば返す言葉もないが、僕は、一切根に持たないと言う人間はほとんど知らない。
もしかして、この人は根に持つと言う感覚がない人なのか?と思える人は、少ないながら出会った事があるが、本音の部分は、僕にも分からないので、根に持たない人と断言出来る人は一人も知らない事になる。
僕も昔は、自分が根に持つ人間ではないと、余り深く考えずに根拠もないままに、おそらく自分の希望も込めて、そう思っていた。
以前、働いていた職場での話だ。
そこの職場で仲良くなった人がいたのだが、その人はその会社の経営陣と意見が合わず退職する事になった。
その人は、その後間もなく、亡くなられたのだが、その時の事だ。
その会社の役員の一人と、お通夜や葬儀の出席の予定について、ちょっとした雑談の中で話したのだが、その人は、かなり根に持っているらしく、表情を変えて語気を強めて「絶対に葬儀になんか行かない!」と言い切ったのだ。
それを聞いていた従業員の間では、当然の事ながら、その役員の言動に対する評判は相当酷いものだった。
僕も、その時は、「もう仏になったんだから、そこは割り切ればいいのに」なんて、ありきたりの事を思っていた。
しかし、その役員と同じ立場、同じ心境にかつて自分が立った事がある事を2、3年も過ぎた頃だろうか、思い出したのだ。
その役員の方と違い、人にその心境を話した事はない。
でも、思い出してみると、口にするかしないかの違いだけで、その役員の心理は自分と同じ物だと分かるし、気持ちもよく分かる。
僕は、その亡くなった方とは親しかったせいもあって、最初は酷いと思ってたのだが、今は、仕方がないと思っている。
話は、僕が十代の時まで遡る。
僕より少し年上の女性でアマチュアバンドのボーカリストと知り合ったのだ。
彼女は、黒人ばりの物凄い声量とテクニックを持つ、天才肌のボーカリストだった。
その人とは、けっこう仲良くしてたのだが、ある時、ちょっとした事件が起こったのだ。
この事件は詳しく語るには、僕の中では大き過ぎてまだ無理な様だ。
僕とその人は、特に男女と言う意識はなく、先輩後輩として接してたのだが、僕は彼女が自分の味方だと思ってたし、信用もしていたのだが、その気持ちを大きく裏切られたと感じる事件だったのだ。
その時に彼女が僕に浴びせた罵倒の言葉は今でも心に突き刺さっている。
彼女は、その後、メジャーからCDも数枚リリースして、それ程有名ではないけれど、そこそこファンもいる実力派シンガーとして活躍していた。
それから何年も経って、彼女の訃報が僕の元に届いた時、正直、僕は悲しさも寂しさも残念感もなく、かと言って、憎悪が湧き出るでもなく、何とも言えない気持ちになっていた。
後に、知人が涙を目に浮かべんがばかりに、彼女の亡くなるまでの様子を語ってくれたのだが、僕の心は一切動く事がなかった。
その訃報は最初メールで届いたのだが、僕が送り返した答えは、「行けるかどうか分からない。行けたら行く」だった。
僕達のそんないきさつは誰も知らないので、その知らせをくれた友人や、葬儀に出た共通の知人達は、僕に対してどんな感想を抱いたのかは分からない。
そして、僕は、彼女の葬儀には行かなかった。
訃報を聞いた瞬間から、迷いなく行くつもりはなかった。
結局、僕は、今でも根に持っているのだろう。
彼女の言葉が、今でも許せないのだろう。
僕は、知り合いでなくても、凄く偉大な人が亡くなったり、自分が好きだった有名人がなくなった場合、つい、両手を合わせる習慣が昔からある。
最近だと、ネットで訃報を知る事が多いので、パソコンの画面に向かって手を合わせる事が多い。
その人の住んでた方角が分かれば、その方角に向かって手を合わせたりもする。
手を合わせて、その方のご冥福を祈る。
日本人なら、僕と同じ事をすると言う人も多いと思う。
しかし、彼女には、未だに一度も手を合わせてはいない。
手を合わせる事くらい簡単と言えば簡単だ。
しかし、ここで形だけ手を合わせる事は、何もかも嘘になってしまうと言う事だ。
それはやっぱりしたくない。
そういう所から考えると、心のどこかで知らず知らずに、やっぱり彼女の事を仏として扱っているのだろう。
普段は思い出す事はないが、やっぱり根に持っている相手や事柄は、自分の中にいくつかあると言う事を、今は自覚している。
根に持つと言う段階は、恨むと言う段階よりは軽い様な気はしてる。
つい、今しがた言った通り、普段は思い出す事もないからだ。
しかし、思い出すとやはり当時の心境に戻ってしまうし、何も解決していない事だと言う事が分かる。
彼女の場合は、まだマシだが、僕の中にはもっと強く根に持っている人間もいる。
これを聞いた人はドン引きしてしまうかも知れないが、僕は、そいつの訃報を聞いたら、もしかしたら喜んでしまうかも知れない様な人間が一人だけいる。
そして「ざまあみろ!」くらいは思うかも知れない。
これも、普段は思い出す事もないが、そいつがどんな不幸に遭おうとも、間違いなく同情心なんかは湧かない。
流石に、目の前で倒れたり苦しんでたら、救急車くらいは呼ぶとは思うが、「お知り合いですか?」などと救急隊員に聞かれても、間違いなく「いいえ」と答えるだろう。
病院まで付き添うなんて、まっぴらごめんだ。
こんな話を聞いて、ゆっくり自分を振り返っても、まだ、「自分は根に持たない性格だ」などと言える人間は、どれくらいいるんだろうか?
【追記】
書き終えてから、ふと思った。
「根に持つ」と言う表現に、皆、抵抗があるのかもね。
「嫌な事柄や人が、心の根っこに残ったままになっている状態」だと言うと、そんなに抵抗感はなくなるのかも。
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
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